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守られてきた時間
「深兄についてですか?」
ある日の縁側。
あられをつまむユーリスとサイガ。
「うん。ただ者じゃないでしょ?あの人」
サイガがあられに手を伸ばす。
「兄は前世の記憶持ちですから。
頼りには、なります。
私のことも……兄が育ててくれました」
「シンヤが?」
ユーリスが目を見開く。
「歳も、それ程離れていないようだが……」
「4つ上です。
でも、小さい頃からずっと兄が育ててくれて。
桜の継承者になったあとは、毎日扱い方や稽古に付き合ってくれて……」
「ま、毎日……?」
サイガの頬が引き攣る。
「はい。
桜継承者の私を、親族から守ってくれたのも兄でした。
……私が、まっすぐ育つように」
一瞬の静寂。
「……大切に、されてきたのか」
ユーリスが呟く。
「……はい」
黒の瞳を僅かに伏せる。
「……大切、で済む話じゃないよね」
サイガがぽそりと呟く。
「何か言いました?」
結花が首を傾げる。
「ううん、なんでも。
……ユーリスも大変だね」
サイガが肩をすくめる。
ユーリスは何も言わない。
まっすぐ前を見つめている。
3人の間を、暖かな風が通り過ぎていった。




