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その二


「君に協力してほしい事があるんだ。」


・・・


「協力……か…。」

少年、雪那が帰った後。私は一人考え込んでいた。

何故、雪那は私に協力しろなどと言ってきたのか。

私には人間の思考を理解する事など出来ない。

それは他の者達もそうだと思う。

そんな事を考えているような体力も無く、もう寝ようと思った。

明日、私は処刑される。

もう余計な事は考えたくなくて、そのまま目を閉じた。

あの少年、雪那に一つの疑問を抱いて。


・・・


そして朝が来た。

私のいる『厳重警戒牢』には日が差さない。

人が入ってくる気配で目が覚めた。

「おい、お前。時間だ。」

まだ寝ぼけている頭の片隅に昨日の話を思い浮かべる。

正直それはどうでも良くて、入って来た人間に連れて行かれるがままにされていた。


処刑予定時刻。

私は火炙りになることが決まっていた。

藁が敷き詰められた上に柱があり、そこに鎖で括りつけられた。


目の前には人間の軍隊の指揮官であろう男が立っていた。

名札を見ると「フィード」と見えたが階級までは見えなかった。

指揮官はただじっとこちらを見て、執行兵の動きや言葉を聞いていた。


「何か言い残した事は」

「そんなものは必要無いだろう。さっさと執行せよ。」

執行兵が私に対して言った質問を、指揮官はどうでもいいとばかりに刑の執行を促す。

それに怒りを覚えた。


「ねぇ、アンタ。」

まわりがざわつく。だがそんな事はどうでもよかった。

「何だ。心残りでもあったのか。」

フッと嘲笑うかのように指揮官は鼻で笑って言った

「アンタら人間が、別種族を殺してるのって何の為?」

「それは貴様が知ることではない。さぁ、刑の執行を」

「質問に答えなよ。人間の軍の犬。」

その言葉に指揮官は腹を立てたようで、私の顔面(かお)に一発拳を振った。

「……ゔっ……」

「人を見た目で判断するのはやめたほうがいいぞ、魔の一族の娘。」

「何も罪の無い者達を上の命令で虐殺して、自分は成り上がりたいだけだろ?

アンタに“良心”ってもんはないの?」

そう言うと指揮官は、

「貴様ら別種族にかけるような良心など無い。さっさと死んだ方がいいぞ。」

と言い捨てた。その言葉に私は怒りを覚えた。

「アンタも人じゃねぇからそうなるんだろうな。」

「何………?」

私の言葉に更に怒りを露わにした指揮官の額には青筋があった。

「良心の無い奴は何の種族でも無い、人でもないんだよ。

罪の無い者を殺す奴は、どんな種族でも最低なクズなんだよ。」

そう吐き捨てると指揮官から『ブチッ』という音が聞こえた。

そしてその叫び声が広場に谺響(こだま)する。

「今すぐコイツを処刑しろぉぉぉ!!!!」

そして刑の執行を告げる鐘が鳴った。


たいまつが近付いてくる。足元の藁にもうすぐ火が移って……───


───来なかった。


「……………え……?」

たいまつの火が藁に近付いた瞬間、火が消えたのだ。

兵士も驚いていて、すぐに別のたいまつを近付けたが、消えてしまった。

「何故だ?何故、火が消える?」

指揮官も驚いていた。近くにある火は全て消えていた。

「おい!火はどこにある!速やかに持ってこい!」

指揮官がまた叫ぶと、


「火ですか?火なら、ここにありますよ。」


何処からともなく声が聞こえた。

だが、その声を発したとされる人影は何処にも無かった。

「誰だ?何処にいる!」

指揮官が問うと先程の声が聞こえてきた。

「ここですよ。指揮官様の後ろに……」

「何っ……!?」

指揮官の後ろをよく見てみると、青い炎が浮いていた。

やがてその炎は大きくなり、巨大な火柱となった。

それを見た野次馬は逃げ、兵士や指揮官らは銃や剣を構えていた。

火柱がだんだん細く、次第に消えていくと、火柱のあった中心に何かが立っていた。


それは──────


───『狼』だった。


to be continue……




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