その一
今はまだ、人間以外にも他の『種族』が存在する世界。その種族は『神族』『悪魔族』『妖魔族』『魔の一族』『妖精族』の五種族で、人間と共に世界を構成していた。
これまで六種族とも平和に過ごしていたが、ある日、人間は「人がより住みやすい世界」にするため、ある作戦を開始した。その作戦の名は『全滅作戦』。人間は新技術を駆使して、あらゆる兵器を作り出し、その全てを破壊していった。
それから半年後。
僕等の話はここから始まる。
・・・
僕の名前は雪那・トワイライト。里親の姓だ。
僕の住んでいる村はククス村といって、グラルフリード共和国の中の自然が豊かな村だ。
僕は五ヶ月前に両親を亡くしていて、親戚もいないため、故郷から一人で歩き、道端に倒れていた所を
隣村の施設の職員に拾われた。それから里親に引き取られ、このククス村にやって来たのだ。
二日ほど前、この村に一つの知らせが届いた。
内容は「キャピタ山にて『魔の一族』の残党を確認、殲滅のため山には立ち入らない事。」だった。
キャピタ山はククス村より東の方角に位置しており、キノコが豊富な山だ。
そこで一人の少女が捕えられた。
『魔の一族』とは、『悪魔族』と『神族』の間の種族で、共通して左手の甲に魔の一族の紋章がある。
その紋章は月のような形をしていて、普段は肌色なので傷跡に見えるらしい。
一族の能力を発揮すると全身に黒い痣が広がり、その痣は翼や触手になるという。
その少女は『魔の一族』で、少女の両親や仲間は殺されたという。
明後日に少女はこの村の広場で公開処刑されるという知らせがあった。
僕はこの少女と少し話がしたい、と思った。
少女に聞きたい事があったからだ。
次の日。義母に「公園に行って絵を描いてくる。」と言って家を出た。
あの少女は役所の近くにある『異種族特別牢』にいると義母が言っていた。
この村の噂なら何でも知っている義母に聞いておいて正解だった。
『異種族特別牢』に着くと、やはり入口に2人兵士がいた。
建物の裏へまわると、花火に火を付けて後方へ投げた。
花火は「ヒュー」という音を出しながらくるくると回って飛んでいった。
するとすぐに、
「な、何だ!?」「何者だ!!」と言って先程の兵士が来た。
すかさず入口から入って少女を探す。
少女は奥の『厳重警戒牢』の中にいた。
僕は少女に話しかけた。
「初めまして。僕の名前は雪那・トワイライト。君の名前は?」
──ガチャン……
重い金属音が鳴り、少女の声が聞こえた。
「──誰だ。人間か?」
可愛らしい声なのに口が悪い。少し残念だ。
「まぁ、人間だけど。君の名前、何て言うの?」
小さく舌打ちが聞こえたが、聞こえなかった事にする。
「………ン…………ル…………」
「え?」
「………葵海・シーブルー………」
僕は二コリと笑って言った。
「いい名前だね。葵海。」
また舌打ちが聞こえたが無視しよう。
「……何しに来た、人間の子供。」
「まぁ君に用があってね。」
一歩近づいて葵海の目を見て言った。
「君に協力してほしい事があるんだ。」
To be continue…




