第74話 「ランドルへの帰路」
ランドルへの帰路は、来た時よりも、どこか穏やかな空気に包まれていた。
俺は馬を進めながら、これまでの旅を振り返っていた。
フォルネで、ミレイと出会った。王都でバロンに会い、ドレクと対峙した。始まりの塔での、始祖の意思との対話。
全てが、あっという間の出来事だったように感じる。だが確かに、多くのことを学んだ。
エリナが、隣で馬を進めていた。
「疲れたか」
俺は聞いた。
「少し」
エリナは答えた。
「でも、いい疲れ」
「どういう意味?」
「色んなことがあったけど」
エリナは続けた。
「全部、無駄じゃなかった気がする」
俺は頷いた。
アルクが、前方から声をかけてきた。
「フォルネまで、あと二日だ」
アルクは言った。
「そこで、少し休もう」
「賛成だ」
セルマが答えた。
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道中俺はエリナと、これまでのことについて少し話した。
風が、心地よく吹いていた。
「ゼロ」
エリナが、ふと言った。
「何だ」
「私、鍵としての力を、これからもっと成長させたい」
エリナは続けた。
「今回、ドレクが力に飲まれるのを見て、思ったんだ。力は正しく使えば、誰かを守れる。でも間違えれば、自分も他人も傷つける」
「その通りだと思う」
俺は答えた。
「だから慎重に、でもしっかり、力をつけたい」
エリナは言った。
「ゼロの隣に、ちゃんと立てるように」
俺はエリナを見た。
「エリナは、もう、十分に立っている」
俺は言った。
エリナは、少し照れたように笑った。
「ありがとう」
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ラグドへの道中で立ち寄った、あの大きな街フォルネに到着すると、俺たちはギルドに立ち寄り、ラグドの件を報告した。
「南部の内乱、収束に向かっていると聞きました」
受付の男は言った。
「あなたたちが、関わっていたんですか」
「少しだけ」
俺は答えた。
「これで、南部との取引も、再開できそうです」
男は続けた。
「ありがとうございます」
俺たちはフォルネで一泊し、翌日再びランドルに向けて出発した。
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道中俺は、王国のディーンに、簡単な報告書を送った。ラグドの内乱の経緯、ドレクという無冠の残党の存在、そしてその結末について。
「王国もこの情報を、重要視するだろう」
アルクが言った。
「無冠の残党が他国の政治にまで、影響を及ぼしていたという事実は、無視できない」
「これからもこうしたことが、起こり続けるんでしょうか」
俺は聞いた。
「無冠が完全に解散するまでは」
アルクは答えた。
「セインとレイの努力が、実を結ぶことを願うしかない」
俺は頷いた。
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ランドルが見えてきたのは、出発から五日後のことだった。
城門をくぐると、見慣れた街並みが、俺たちを迎えた。
「戻ってきた」
エリナが、少し嬉しそうに言った。
「戻ってきたな」
俺は答えた。
俺たちはまず、カルロのもとに向かった。
鍛冶屋の跡の扉を開けると、カルロがいつもの場所に座っていた。
「戻ったか」
カルロは言った。
「無事で、何よりだ」
「カルロさんも、元気そうで安心しました」
俺は言った。
カルロの顔色は、以前よりもずっと良くなっていた。
「ラグドでのことを、詳しく聞かせてくれ」
カルロは言った。
俺はエリナと交互に、これまでの出来事を詳しく話した。
ドレクとの戦い。始まりの塔の崩壊。始祖の意思との対話。
カルロは、黙って聞いていた。
話し終えると老魔法師は、しばらく沈黙した。
「始祖の意思と、直接話をしたのか」
カルロは、静かに聞いた。
「はい」
俺は答えた。
「そうか」
カルロは、少し目を細めた。
「私が生きているうちに、その話を聞けるとは思わなかった」
俺は少し驚いた。
「カルロさんも、知らなかったんですか」
「伝承としては、知っていた」
カルロは答えた。
「だが実際に、それが起きるとは、思っていなかった」
俺は、ステータス画面を確認した。
ゼロ Lv.13
HP:58/58
MP:31/31
筋力:18 敏捷:21 魔力:11 耐久:15 知力:22
スキル:なし
備考欄:◇◇◇◇◇◇
エリナも、自分のステータス画面を開いた。
エリナ Lv.6
HP:24/24
MP:15/15
筋力:8 敏捷:16 魔力:13 耐久:9 知力:12
スキル:精密投擲
数値は、まだ変わっていなかった。
だが、この旅で得たものは、数値では測れないものだった。
「これから、どうする」
カルロが聞いた。
俺は、少し考えた。
「まずは、ゆっくり休みます」
俺は言った。
「そしてまた、日常に戻ります」
カルロは、頷いた。
「それでいい」
老魔法師は言った。
「休むことも、大事だ」
俺はエリナと、目を合わせた。
エリナが、小さく笑った。
俺たちの旅は、まだ続いていく。
だが今日は久しぶりに、心から休める気がした。
**次回・第75話「日常への帰還」**
> ランドルでの、久しぶりの平穏な日々。だが、その静けさの中に、次の物語への、小さな予兆が、静かに芽生え始めていた。
ラグドから、ランドルへの帰還です。カルロとの再会、これまでの旅の報告。大きな山場を越えて、久しぶりの休息の時間です。次回、日常回を挟んで、また新しい展開へと繋がっていきます。
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