全然売れねぇ〜!!
次の日、遥は朝早くから神社の敷地でお守りを売っていた・・・のであるが客が誰も来ない。
そもそも参拝客が普段から全然いないのだから売れるはずもない。
しかし、生活のために無理してでも売らなきゃならないのである。
「このお守りを全部売ってゲームの課金にしなきゃ・・・!」
遥は今やっているスマホのアプリで課金がしたくてどうしてもお金が欲しいのであるが、課金したら今月の生活が苦しくなる。だから何とかしてでもお守りを売らなきゃならない。
しかし、そんな遥の思いは全く通じない。
「全然売れんでは無いか・・・。腹立つのぉ・・・」
全く売れず、そして暇すぎてイライラする。ストレス発散に木でもブッ倒してやろうかと考え始める。
すると1人の子供がやって来た。まだ小学生低学年ぐらいの男の子である。
明らかにお金の無さそうな子供である。
「子供が神社に何しに来た・・・?お賽銭でも投げてくれるのか?流石にお守りは買わないよな・・・?金なさそうだし・・・」
すると子供は遥が売っているお守りに気付いてやって来る。
「お姉ちゃん、このお守りください!」
男の子は交通安全のお守りを指差す。
「良いけど高いぞ?1000円もするんだぞ?お前に払えるかな〜?」
遥はニヤニヤとした笑顔で子供をじっと見る。いつも、こうやって遥は人を観察している
「払えるよ!『あんたは事故りそうな感じがするからお守り買ってきなさい!』って言って1000円渡してくれたもん!お母さんパチンコで負けたから、これがなけなしのお金なんだ。でもこれでお守り買って来いって言ったの!」
その言葉にすかさず遥はこう返す。
「そうか、じゃあお前はお母さんに『必勝祈願のお守り買ってこい』と言ってこい。お前のお母さんパチンコで負けるぐらい勝負弱いからな。必勝祈願のお守りが有れば少しは勝負弱さを振り払えるだろ。」
しかし、小学生低学年の子供に勝負弱い・・・とか言っても分からない様子である。
「お姉ちゃんの言っている言葉意味が分かんないけど早くお守りチョーダイ!てか出せ!」
遥は「うーん、コイツ糞生意気なガキだな」と言いながら前髪を弄りながらどうしようかな〜と考え中だ。
やがて遥の中で考えがまとまる。
「おいガキ、金はいらんからお守り持って行って良いぞ。」
「本当に?やったー!ありがとうお姉ちゃん!!」
すると少年は嬉しさにあまりにダッシュで走って帰って行った。
その少年の後ろ姿を見ながら遥は考えていた。
「パチンコか・・・。勝てば金になる狂気の遊び・・・!」




