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クラス転移に巻き込まれた僕、魔王に殺された後、なぜか幼女に転生させられてしまいました…  作者: sironeko*
3章 蠢動

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久々のお話

「ただいまー」

「――お姉ちゃん!」


 家の扉を開けると、ドタドタと慌てたような足音が近づいてくる。

 かと思えば、靴を脱いで家に上がった私の所へユイが飛びついてきた。


「おかえりなんだけど、それどころじゃないの! 大変なことになっちゃいそうみたいで!」

「……どうやらその反応を見るに、ユイも聞いたんだね。王国が動きを見せたことについて」


 私がそう言うと、ユイは驚いたように目を見開いた。

 ユイが知っていることにはビックリしたけど、ここが革命団のアジトの一つであるということを考えたら納得はできる。連絡でもきたのだろう。


「お姉ちゃんも知ってたんだ」

「うん、ゼノから聞いたの。急いで伝えなきゃと思って帰ってきたんだけど、説明する必要はなさそうかな?」

「うん。ってそうそう、いま遠坂さんに通信が繋がってるから、お姉ちゃんも話しに行ってくれる?」

「え、そうなの? もちろんだよ」


 どうやって通信したんだろうと疑問に思いつつも、ユイに連れられて私はリビングの方まで歩いて行く。

 すると、そこには何やら電話みたいな道具を耳元に当てて話しているキョウくんの姿があった。

 物置的に使っていた窓枠のところに、電話の機能を持った魔道具が置いてあったとは……気がつかなかった。

 この家についてそろそろ、隅から隅まで教えてもらった方がいいのかもしれないなぁ。


「キョウくん、ごめんね? ちょっと代わってもいいかな」

「あ、おかえりなさい! 分かったよ、ちょっと待ってね。……咲ねぇちゃん、そういう事だから電話代わるね」


 キョウくんから受話器?を渡される。

 久しぶりに咲と話してたのに申し訳ないけど、状況が状況だから許してほしい。


「もしもし?」

『……あら。声が聞こえた時はもしかしてと思ったけど、やっぱり帰ってきたのね?』

「聞こえてたんだ。うん、今帰ってきたところだよ。それで、久しぶりで色々と話したいこともあるけど、とりあえず今一番重要なことについて話し合おう」


 私は冷静になるためにも、一度意識を()の方へ切り替える。

 大事なことを考えるときは、何かと僕が考えた方がまとまりやすい。


『そうね、そうしましょう。で、その口振りからして、翔くんも今起こってることについて、大体は知ってると思っていいのかしら?』

「そうだね、でも一応齟齬(そご)がないように聞いてもいい? 簡単でいいから」

『もちろん』


 受話器越しに、紙をめくる音が聞こえてくる。

 資料か何かだろうか。


『昨日の深夜から早朝にかけて、国境付近でリュピュトーネの小隊がこそこそと何かしている様子が発見された。状況からして偵察のようね。付近には魔族の監視施設があってそこの様子を伺っていたと思われるわ。けれど、それ自体は今回が初めてじゃなくて、数年前から定期的に行われていた。じゃあ何が問題かというと、彼らが国境ギリギリまで偵察しにきたのは今回が初めてということと、比較的開けた場所で監視を行ってたってことね』

「開けた場所で偵察して見つかるって……そんなこといくら何でもある? 流石にそんなヘマをする人なんていないよね、魔族との関係がかかってるから尚更」

『ええ、この行動には挑発の意味も含まれていそうね。元々、彼らの動きが魔族側にバレてる事は察していたようだし、だからこそ問題はないと考えたのかしら……? それにしても、なかなかに踏み切った行動ね』


 本当にその通りだ。とはいえあの国って元々変な判断をしてるところがあったし、こんな風になったのもその影響があったりして。

 あの王様、部下を気に入らないとかの理由で切ったりしてるのか?

 分からないけど、僕を処刑せずに国外追放にするとか言い出していたり、何かと変だ。

 何か裏の意図があったのかもしれないが、僕には分からなかった。


「確認だけど、今すぐ何か起きるわけではないのかな? 魔族軍の人はその可能性は低いって言っていたけど」

『そうね……魔族側はまだ好戦的じゃないようだし、王国の出方次第かしら』

「そっか。そういえば勇者たちって今どうなってるの? 彼らの様子は分かる?」

『勇者ね。彼らに関しては私も追っているところなのよ。大方は首都にいるようでこちらは簡単に追えるけれど、数人、各地に散らばってる勇者がいるのよ。そっちの様子はわからないけれど、他は特に変わった動きは見せてないわ』

「そっか、じゃあこのタイミングで彼らが出てくる事はないのかな」


 僕は咲からの言葉を聞いてそんな風に思った。


『……一つ懸念点と言えば、転移魔法の存在ね。王国からここまで転移してくるのは現実的とは言えないけれど、予定を狂わされるかもしれない。そこには十分注意しなくてはいけないわ』

「転移魔法、可能性としては全然あるのか」


 何かと僕にとっては因縁深い魔法だ。

 向こうには確かに転移魔法を使える奴がいる。

 フランゾーネ・フォン・リュピュトーネ――彼女のことは決して忘れることはない。

 彼女も王国に利用されている側なのだろうが、僕のことを魔族領へと飛ばした張本人だ。

 恨みがないと言ったら嘘になる。

 彼女が居れば少なくとも一人は転移魔法で勇者を連れて来れる。

 彼女の力量で何人まで転移させることができるのかは謎だが、彼女の存在は念頭に置かなければ。


「あの国の王女サマの動向は、きちんと確認しておいた方がいいかもしれないね。それと、王国の勇者たちも。彼らについて何か分かったら教えてよ。それと、他の勇者達について――――いや、やっぱり何でもない」

『あなたが望むなら私は調べたって構わないけれど……取り敢えず、分かったわ』


 咲は何かを察したように、そう言った。

 別に大した意図はないんだけどな。ただ単に、彼らのことを僕は知らない方がいいと思ったんだ。

 それに、今そこに労力を割く余裕もなさそうだし。私怨も混じっているから、そのために革命団(かれら)を使うのはよくない気がした。


『あと、あなたに話しておきたいのは周辺国家についてよ。どうせまともに知る機会はなかったでしょう? 話せるうちに話しておきたいと思って』

「あはは……助かるよ。たしかにそういうのは全然分かってないんだよね」

『そういうことならちゃんと聞いておくことね。まず、王国の周辺諸国は魔族からの反抗を恐れて、王国への支援を渋ってる。けれど、思想は王国寄りで、国力もこの一帯では王国一強だから、王国の圧力には逆らえないでしょうね。少し離れた東方の島嶼(とうしょ)国であるアズマは、王国とはあまり仲が良くなさそうで、王国に加担することはないでしょうね。むしろ、この国は魔族側に対しても友好的な反応を見せてる』

「へぇ、珍しいね」


 てっきり人族はみんな魔族と敵対しているものだと思っていた。

 そんなこともないのか。それが分かったのはちょっと嬉しい。


『ふふっ、翔くんは本当に何も知らないのね? あの国はつい1年ほど前に建国されたばかりなのよ』

「ええっ、一年前!? そんなことある!?」

『ええ、驚くべきことにね。何かとあの国は異質すぎて、周辺国からはあんまり認められていないところもあるから、そのせいで情報が回っていないのかもね。翔くんが元々いた場所なんて王国の外れでド田舎みたいなものだし。.……まあ、あの国へ行けば異質っていう理由も分かるわ』

「そうなんだ。まあ行くにしてもしばらくは先になりそうだけどね」

『そうね、一先ず考えるのはこの状況が落ち着いてからになりそうね。その時はぜひ一緒に行きましょう。またあの国の技術を盗――もとい、視察しに行こうと考えていたから』

「あはは、ソウダネ.……」


 僕の反応に、咲はふふふと楽しそうに笑った。

 そういえば前に、作った建物の構造は何処かから()ってきたものだとか言ってたっけ。

 さてはその国から持ってきたのか?

 だとしたら、相当その国は面白そうだ。


「それで、他の国は?」

『ここから少し西方にある国の、フリンツェルンという学園都市は、どこに対しても中立な立場ね。けれど、その戦力と影響力は小国ながら警戒しなければならないほどよ。あとは、南方の島国ユーステティスね。ほぼ赤道直下の国で「世界の中心」とも言われているわ。あの国は多種族が入り乱れているから、特定の国、種族に対して何かを行うことはないと思っていいわ。だから気を付けるべきはリュピュトーネ王国とその周辺国家、またフリンツェルン以外の西側諸国も警戒した方がいいかもしれないわね』

「なるほどね、意外と魔族と敵対していない国もあるんだね。まあ同盟国がいないって点では相当厳しいけど。それに、その一部の国以外は敵対感情を持ってそうだし」


 咲の説明を聞いて僕はそう感じた。

 もし仮に王国と開戦したとして、共に戦ってくれそうな国がないっていうのも厳しいところだ。


『魔族の戦力は確かに高いけれど、一国家の戦力には限りがある。当然王国もね。だからこそ王国は他国と同盟関係を結ぼうと画策するし、ゲームチェンジャーとなりうる戦力を手に入れるために勇者召喚も行った。現時点では魔族側が不利と言わざるを得ないわね』

「そうだよねぇ」

『そういえば聞いたわよ。魔族の軍の方に入り込んでるらしいじゃない? どう、上手くやれてる?』

「さすが、耳が早いね。まあなんとかね……」


 これまでの日々を思い出すと遠い目になってしまう。

 いろいろと(しご)かれたからね、僕も相当強くなったんじゃないかな。

 ていうか、そう思いたい。じゃないとやってられないから.……。


「ところで、そっちはどんな状況なの? 戦力的な話で」

『深くは話せないけれど、まあ上々といったところね。今のところ心配はいらないわ』

「そっか、ならよかったよ。じゃあ、こっちもこっちで頑張らないとね」

『ええ、ええ。私もこっちで健闘を祈ってるわ』


 咲は楽しそうにそう言うけど、絶対楽しんでるよね? 僕がこんな状況にあることをさ。

 まあ僕だって何とかしますよ、やってやりますよ。

 とりあえず状況は分かった。

 何とかして魔族側と人族側の均衡を取らなくてはならない。

 その為に何ができるのかちゃんと考えておかないと。

お久しぶりです。生きてますよ!

総合評価が気が付いたら440pt.を超えていて、嬉しさのあまり部屋で一人舞い踊ったsironeko*なのであった――。

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