41. 危機
アングニュートルに戻ったリアンはすぐさま女王に連行された。
現在、二人は人払いされた執務室にいる。
「リアン、戻ってきて早々で悪いけど、これ、読みなさい」
ーーそこには北の方にある小国群の消滅があった。
「んなっ……!」
正確には小国の一つ、ヤバルカがリアンがイドルイデに向かっていたこのタイミングで全て征服してしまったとある。そして新しくヤバライカとして国家樹立したとあった。
「それに付属して、ヤバライカがうちと同盟を組みたいと先程伝令がありました」
同盟というのは、基本的には自国から離れた場所とする。その場合、自国と同盟国の間に挟まれた国を攻めるという意思表示に他ならない。そして、そのヤバライカとアングニュートルの間にある国といえば――
「……イドルイデかっ!」
「ええ。相手はおそらく同盟を組んだことを知りません。そして、もし同盟を組んだと知られても、取り消すことはないでしょう」
「どういうこと……?」
「寝返ったのです。公爵家の一つ、リグベル家が」
リアンは絶句した。
「リグベル家が小国群の西の方にあるクロノア公国と手を組み、アングニュートルを乗っ取ろうと目論んでいます。そのために小国群を消滅させ、一つの国を作りました。……もう、お分かりですね?」
つまり、国を乗っ取るために政略結婚という理由でリアンを国から追い出そうとしているのだ。
「そうなると、世継ぎが……」
「います。……先日、リグベル家から消息不明になっていた第一王子のアデルが保護されたとありました。
もうすでに三分の一の貴族が同意しています。このままでは間違いなくあなたは政略結婚の駒となります。……流石に公爵家が率いるだけあり、時間稼ぎで手一杯なのです」
突然のことで中立派の貴族が多いのだろう。
どっからどう見てもリアンはピンチなのだが、リアンはニヤリと笑った。
「わかりました。要は、嫁がず平和的に解決すればいいのですね? ……条件があります。これが達成できた時には、私を立太子してください」
女王は目を見開く。まさかここまで図太いとは思わなかったのだ。
「……ふふっ、いいでしょう。なら、この紙に血判を」
女王は素早く契約書を書くと、リアンに渡した。リアンは指先を少し切って、紙に押し付けた。




