番外編 クローデリアとユウマの断罪1
「ほう、君が噂に聞くユウマ君か」
レーヴェンハイト公爵——クローデリアの父の一言目がそれだった。
クローデリアの父だけあって、顔立ちも整った壮年の男で、貴族院のトップに相応しい威厳もあった。
レーヴェンハイト公爵家の応接室で、公爵と対峙している俺は、断罪台に立たせられるよりも緊張していた。
「はあ、ちなみにどんな噂を……」
俺はすでにこれ以上ないくらい萎縮していた。
「私の大事な大事なかわいい娘のクローデリアが、君をとにかくベタ褒めするのだよ。うるさいくらいな。本当にうるさいのだ。はっはっは」
なんか……怖いな。
「王国は大きな変化を迎えている。……私は身分のことは今さら気にしないが、娘に変な虫がつくとなると少し神経を尖らせてしまってな。それが王太子であろうと平民であろうと、娘を悲しませるような者なら、タダでは済まさん、と常日頃そんなことばかり考えているのだよ。はっはっは」
笑っているようで、ぜんぜん目が笑ってないんですが。
「ところで、我が娘、クローデリアの犯した罪を知っているか?」
何だと? この質問は……罠だ。
「クローデリア様の罪ですか? クローデリア様が罪など犯すわけがないじゃないですか。あんな清廉潔白な方はいらっしゃいませんよ」
「たとえば『かわいすぎる罪』」
そう来たか。こいつ……親バカというやつか。
「かわいすぎることは認めますが、なぜそれが罪になるのでしょうか?」
「かわいすぎて周囲の者が心を乱されるのだよ」
あんたが言うと何か説得力あるな。
しかし、確かにあのかわいさは罪だな。
「じゃあ、こういうのはどうです? 『優しすぎる罪』」
「ほう、どういうことだ?」
「優しすぎて、自分のことを好きなんじゃないかと惑わせる罪です」
「君も勘違いしているのか?」
「え? いや」
「あの娘は気に入った相手にしか優しくはない。なので、それは罪にはならん。
そもそも人になかなか心を開かない娘だから友人も少ないのだ。
……気に食わん。減点」
何の点数!?
「何のお話をされているのですか?」
そこに美しい声が響いた。




