ゲームのルール
ゲームの日が来た。
事前にアンケートの記入を行い、目隠しをされ、どこかの建物に連行された。
椅子に座るよう指示され目隠しを外されると、五十平米ほどの会議室のような窓のない部屋だった。
目の前にはパイプ椅子が五脚並んでいる。傍らには福助人形とデジタルタイマー。これもパイプ椅子の上に置かれている。
手元にはペンとメモ帳。
背後には、壁一面をカバーするくらい大きなマジックミラー。
これから一体どんなゲームが始まるのだろうか。
《やあ平木直太君。気分はどうだい?》
突然福助人形がしゃべりだした。
といっても、福助にはマイクとスピーカーが内蔵されているようで、誰かが他の場所で声を当てているだけだと思われる。
《早速だが、このゲームについて説明しよう。重要だから、よく聞いてメモしておくように》
俺はあたふたとペンをとった。
《今からこの部屋に五人の男が入ってくる。
その中に一人だけ童貞がいる。
君にその一人を探してもらいたい。
残りの四人はセックス経験者の非童貞だ。見事童貞の存在を見抜くことができたら君の勝ち。約束通り借金はチャラ。加えて副賞の百万円をプレゼントしよう。
答えを外したら君は強制労働行きだ。
君は司会者となり、五人の対象者達と自由に会話することができる。
童貞には自分が童貞だとバレないように念を押してある。
童貞は卓越した演技力を持つプロの役者だ。全力で非童貞を演じるから、そう簡単には見破れない。
ただし、非童貞も必ず本当のことを言うとは限らない。嘘をついたり、間違えたり、隠したり、黙秘したりすることもあるだろう。素人の一般人の言動は制御できないからな。
確実なのは、私、福助は絶対に嘘をつかないということだ。
制限時間は九十分》
一呼吸おいて福助は言った。
《では、スタート》
その合図とともにタイマーが動き出した。