リメンバー・ザ・セカンドワールド・war
来るべき決戦に備えて、沖田は近田中佐、倉沢少佐、井浦少佐、戸村先任海曹長ら、厳龍幹部が東京に揃って呼び出されていた。
五人の頭のいない厳龍は、山村中佐ら五人の中佐を、代理幹部として擁立していた。
「山村中佐、少しの間厳龍の留守は、任せましたよ。」
そう言って、呉基地をたってきた。
わざわざ、厳龍乗員の幹部が、呼び出されたという事で、五人はただならぬ事を言われるのではないかと、緊張していた。
五人が向かったのは、海軍省の最上階にある会議室であった。
すっかり着なれた、日本海軍の制服姿はもう、彼等にとっては、部屋着も同じ事であった。
余談はそのくらいにしておいて、いよいよ重要な会議が、始まろうとしていた。五人が緊張する中、米内光政海軍大臣、井上成美連合艦隊司令長官という日本海軍のトップにたつ二人と、左官尉官クラスの人物が、ざっと20人程はいた。
まるで、これから大博打をしますよ、と言わんばかりの、顔ぶれに五人の緊張は一層高まった。
「本日、諸君らに集まってもらったのは他でもない。重大事項の共有をしてもらうためだ。」
「私と米内海軍大臣、そして天皇陛下と陸軍大臣の4人で決めた。」
「何をですか?」
「第二次日米決戦を終わらせる事だ。」
「腹をくくりましたね。ついに仕掛けますか?」
「流石は日本海軍のエースサブマリナー分かっているな?」
「まずは8年前と同様に、パールハーバーを攻めたい。」
「確かにあの港には、性懲りもなくアメリカ海軍太平洋艦隊がいますからね。」
「やるからには、勝たねばならん。分かっているな?」
「皇国の興廃この一戦にあり。正にそれだ。」
「航空機や、空母機動部隊は万全なのですか?」
「8年前より数は少ないが、クオリティーはあがっているよ。」
「それに加えて、今回はマリアナや沖縄でも同時に作戦を考えている。」
「リメンバー・ザ・セカンドワールド・warってことですね。」
何故に総攻撃を今頃になってやろうというのか?沖田には、まるで理解に苦しむ様だった。しかし、開戦に引きずり込まれたうさを晴らすには、今しかなかった。




