腐れ縁
今日の当直は、小田島少尉(三村曹長、福川軍曹)の第12班であり、3人は発令所にあるスクリーンにくぎ付けの任務を任されていた。
母港の呉基地にいようが、いまいが見張りやエンジントラブルがないように、見ておくのは、当たり前の事であった。
12個に分けられた班の中から、順番に当直が平等に割り振られる。今日はたまたま12班の担当であった。
「12日に一度はやってくる、この当直が嫌なんだよな。」
「そうですよね。でもここで自分達が気を抜く訳には行きません。」
「さっすが、三村曹長。貴方は隊員の鏡の中の鏡です。」
「まぁ、その気合いがいつまで持つかな?」
「読み手の心をくすぐる、ナイス突っ込み。さすがは、エリート少尉。」
「こういうノリの良さが3人とは言え、12班の好きな所なんですよ。」
「まぁ、何もかも運命で、ただの腐れ縁だ。」
「じたばたするなら、見張りの役でも買った方が良い。」
「曹長?それどういう意味ですか?全然分からないんですけど。」
「きっと無駄なエネルギーを使うよりも、今を見つめろって事だろ?」
「そういう事です。小田島少尉は、やっぱり理解がある。」
「こんなさっくりしてる班なんて、12班の中でうちくらいでしょ?」
「ビスケットや煎餅は、さくっとしてた方が美味いだろ?」
「揚げ物やポテチもサクッとしてた方が美味いですよね。」
「いやいや、そりゃ小田島少尉や三村曹長の好みでしょ?」
「馬鹿だな。福川軍曹は。物の例えだよ。例え。」
「頭が、硬いようではスマートとは、とても言えないな。」
「自分、良いアイデアが浮かんだんのですが、聞いてもらえますか?」
「暇だから仕方ない。特別に許可する。」
「ただ、つまらなかったら、覚悟は出来ているよな?」
「暗闇で、目先が利いて、タフネスや、孤独な狼これぞ、サブマリナー。」
「90点だな。もう一捻りあると良いと思うよ。」
「目先が利いての所なんかそのままじゃねぇか?」
「出直してきます。私の力ではまだお二人を唸らせるものではなかった様です。」
深夜でもしっかり安心して、航行出来るのは、当直がしっかりしている証拠である。




