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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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先任海曹戸村哲也曹長

 日本海軍もなめられない実力があることは、証明された。本来なら、日本海軍終末期にあるはずなのに、厳龍の登場によってそれが狂ってしまったのは、確かである。

 毎日が死と隣り合わせにも関わらず、厳龍乗員64名は生き生きとしていた。やはり、軍人というものの本分は戦争にあり、戦争の中でしか、生きる場所を見つけられないのだろうかと思ってしまう。そんな目の輝き方だった。

 そんな沖縄迎撃戦で、頭角を現した男を紹介しよう。

 戸村哲也曹長が、その人である。先任海曹という下士官では、最も偉い地位にあり士官(少尉以上)クラスの人間と下士官・兵(曹長以下)クラスの人間との橋渡しをする役目の人物である。

 このポジションの人間の役割は、階級以上に重要なものであり、このポジションの変わりはいない。潜水艦という狭い世界ならば、尚更の事だった。戸村曹長は、ほぼ毎回出撃時に乗船し厳龍の活躍に貢献していた。

 戸村曹長は、40才になったばかりで、海上自衛隊ではエリートコースを外れた、ベテラン下士官の地位を固め始めた男だった。兵隊の数の割りに自衛隊が精強で、世界のトップ10にランクされる軍事力があるのは、この戸村曹長をはじめとするベテラン曹士隊員の力が大きい。

 単純な兵力で強さを測る事が出来ないのが、現代戦の厄介な所であり、それが逆に良い所でもあるのだが、下士官の質だけをフォーカスすれば日本は間違いなく、世界一である。それは奇しくも、大日本帝国陸・海軍時代からの伝統とも言えるものであった。戸村曹長の役割は、とにかく厳龍乗員の人間関係のバランスをとる事にあった。

 下士官・兵と士官のコンビネーションが噛み合わなければ、艦はしっかり戦う事も、しっかり前に進むことすらままならない。戸村曹長は艦のバランサーであり、潤滑油であった。

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