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第八十二話 シャルル・アルカード

ヘリオトロープの操作する端末の画面に、恐らく施設内中央にあったロビーと思われる空間が映る。

ただし自分が見たものと違う点がある。

その映し出された空間にはおびただしい戦闘の跡が残っており、真っ赤な鮮血があちこちに飛び散っていた。


『アイゼン、これでいいのか?』


しばらくすると少し間延びした男の声が聞こえてくる。

そうしてすぐに、その声の人物が画面の中に映り込んだ。

年齢は二〇代半ばくらいだろうか。

痩せ型で癖のあるブラウンの髪と丸メガネが特徴的な、どちらかというと野暮ったい印象を受ける男。


『あーあー、大丈夫かな? 写ってる? OK? じゃあ始めようか』


共通語で話すその男の名は、シャルル・アルカード。

そう、フェリスの父親だ。





この少し前。


夕食を取り終えた俺達は、一旦集まってこの先の方針を話し合っていた。

この遺跡に調べるべき点は多々あるが、一つ一つ見ていくには時間も人も十分ではない。

施設の規模が大きい事もあるが、問題は施設の用途だ。

稼働不可能とは言え軍事施設だ、しかも超が付く技術がてんこ盛り。

まさにオーパーツの山である。

普通の国なら国王が三メートルほど飛び上がってショック死するくらいのインパクトがある、特大級の掘り出し物なのだ。

だが今回の場合は様々な事情が複雑に絡み合っている。


まずこの遺跡の場所だ。

地図で見ればフィガロとラギウス帝国の国境線付近、微妙にフィガロ領に入っていると言えるが、本当に微妙な位置だ。

山脈のど真ん中にある湖など、通常であれば誰も領有権を主張しない。

なので普通はこんな山奥の土地など、どこの領地だなどと揉める事もない。


しかしこの遺跡が見つかったとなれば話は別だ。

間違いなくフィガロとラギウス帝国間での領土問題へと発展するだろう。

そしてそうなればフィガロに勝ち目はない。

国力の差も当然あるが、何よりもこの場所が公になれば、天族が黙っていないからだ。

施設はもとより、アイゼンもヘリオトロープも処分されてしまうだろう。


つまり俺の立場からすれば、この場所の存在は絶対に秘匿する必要がある。

しかしここを見つけたのは俺ではない。

エルフ族のフローワなのだ。


「だから頼むフローワ、ここの場所については秘密にしておいてくれ」


そう言いながら俺は地面に手をついてフローワに深々と頭を下げる。

フローワにしてみれば、数百年に渡る研究の成果がやっと出せるというところなのだ。

役立たずと罵られながら、それでも続けてきた事がやっと報われるはずだった。

それを無かった事にしてくれと俺は言っているのだ。

虫がいいなんてレベルの話ではない。


「……分かった」


「いや皆まで言わなくても分かっているんだ、フローワがこの場所にどれだけ心血を注いできたのか。

もちろんタダでなんて厚かましい事は言わない、俺に出来る事なら何だってする、何だって要求を聞く、だから……え?」


猛反対される事が予想されたので、初めから出し惜しみなしのフルオープン戦法で攻める。

カズマからダメ出しされた例の戦法だ。

しかし夢中になって話していた俺の耳に確かに何か聞こえたと感じたのは、俺の話が一区切り付く頃になってからだった。


「あえ? え?」


「分かったと言っているのだ。私とて事の重大性が分からぬほど目は曇っていない」


フローワからの了承は、あっさりと取れた。


「数日前までの私なら、分からなかっただろう。

しかし我々は今や運命共同体と言っても過言ではないのだ。

アリスの事情然り、ルビーナの事情然り。

この場所を天族に差し出すという事は、君を窮地に立たせる事に繋がるのだろう?

なら……それ選ぶことなどできないではないか」


そう言って少しだけ寂しそうに笑うフローワを見て、俺の胸が傷む。

そして同時に、抑えようのない感謝の気持ちが湧き上がってきた。


「フローワ、ありがとう!」


思わずフローワの手を取って再度頭を下げる。


「へ? あ、ち、ちょっと……」


「ありがとう、済まない、ありがとう!」


「え、ああ、うん……」


非常に難しいと思っていた問題が解決した安心感から、俺は何度もフローワに感謝の気持ちを伝える。

そうしていると、不意に俺とフローワの手は引き剥がされた。


「はいはいはいはいはいそこまでそこまで、そういうのは後でやって下さいね後で」


そう言って割り込んできたのはアリスだ。

何故か面白く無さそうな顔で俺とフローワの腕を引き離している。

前を向けば、当のフローワは顔を真赤にして俯きながら何やらもごもごと独り言のようなものを口にしていた。


「お母さんチョロすぎます、そんなんじゃとてもフィガロでやっていけないですよ?

出会って三秒で怖いお兄さん達に連れ去られちゃいますよ?」


「う……うう、無理を言うな」


「とにかくまだやる事がたくさんあるんですから、こんな所で盛らないで下さいね」


「何でお前が怒ってんだよ」


「怒ってないですよ!」


口ではそう言うが、明らかに機嫌が悪くなっている。

アノ日でも始まったのだろうか。

エルフにそういうものがあるのかどうかは知らないが。

だがそんな事よりも、もっと気になるセリフが俺にはあった。


「おいアリス、フィガロでやっていくってどういう事だ」


「ええ? お母さんを連れていくに決まってるじゃないですか」


「は?」


「あ、大丈夫ですよ、ノアさんのお家に迷惑はかけません。何と言っても私、顔パスですから」


「はあ!?」


よく話が見えないが、どうもアリスはフローワを連れてフィガロ城辺りに泊まり込むつもりらしい。

まあエルフ族は恐らく丁寧に扱われるだろうし、出来なくはないと思うが……


「先程あなた達があちらに行っている間にアリスと相談したのですが、私もこのまま貴方達とフィガロに行くことにしましたわ」


アリスの隣にいたルビーナからも予想外の話が出てくる。


「おい、そりゃ急な話だな」


「無理やり私をここに連れてきた貴方に言われたくありませんわね。

もっとも、今となってはそれで良かったと思っていますが」


「私もこうなるんじゃないかと思って、ルビーナちゃんと相談していたんです。

お母さんがここの研究を公開出来なくなったら、ますますエルフの村に居場所が無くなっちゃうし、それなら……って」


「ノア、私からも頼むよ。

フローワは知識が深くて話していて楽しいし、一緒に研究できるならもっと嬉しい」


何とメイアからまでもフローワ推しの援護が届いた。

つまり今ここにいるメンバーの中では、誰もフィガロに移り住む事に反対する者はいないという事だ。


ああ、確かにできるよ、できるさ。

土地はあるし金だってまあ無い事はない。

人が増えたところで何とかなるアテはある。


「あ、それとヘリオも連れてきてね。ノアだけだとニホンゴしか分からないし、最近全然作業が進んでないじゃない?

それにアイゼンの体も調べたいしさー」


みるみるうちに要求が増えていく。

といいますか、それって結局全員フィガロに連れて行けって事じゃないか……

ヘリオトロープは何とかなるとしても、四メートルの鉄の巨人をどうやって目立たないように連れて行けと言うのだ。


「アイゼンは無理だ、どうやっても目立ちすぎる、少なくとももっと根回しをしてからじゃないと」


「ちえー」


メイアはつまらなさそうに口を尖らせるが、そりゃあ俺だって連れていきたいさ。

アイゼンに家の門番を任せたらカッコイイに決まってる。

だがそれは全てを承知してる俺達だけの感覚だ。

何も知らない一般人から見たら、不気味な鉄の人形、発掘された古代兵器。

それはもう不安と混乱しか生まない、そして程なくラギウス帝国にもその情報が届くだろう、そうなれば冗談では済まなくなる。

フィガロが全世界に喧嘩を売るつもりなら強硬策もありだが、アイゼン一体でそんな真似出来るはずがない。

残念ではあるが、アイゼンにはしばらくここで留守番をしていてもらう以外に無いのだ。


そうしてこの先の話もある程度固まり、今日はとりあえず休んで、明日は一度引き返そうという話になってきた頃。

端末を操作していたヘリオトロープがとある映像記録を発見したのだ。




そうして話は冒頭へ戻る。


『さてさて、これが別の誰かに見られているという事は、きっと僕は何らかの理由でここに来られなかったという事なのだろうね。

でもご安心、そんな時のために、君達の疑問を払拭する為の説明を残しておくよ。

ちなみに今日の日付は西暦二八四八年八月二六日です、そっちはいつごろかな~?』


「現在時間は西暦四〇七〇年十二月二二日です」


画面の説明に会わせてヘリオトロープが補足する。

つまり一二二二年前の映像が今写っているという事だ。


映像の中の男――シャルルは軽い調子でこの施設の概要を話し始める。

それは俺がヘリオトロープに聞いた内容とほぼ同じものだったのだが、次にシャルルは衝撃の事実に結びつく事を話しだした。


『……でねえ、何で僕がここに来たのかって事なんだけど。

ここにいた人間達てのが旧時代の人類と一部の魔族を中心とした、天族殲滅論者達でね、いわゆる過激派ってヤツ?

そいつらがこんな施設作って、あんなゴツイもの作っちゃってさあ。

正直困るんだよね、もう戦争終わって四〇〇年以上経って種族間抗争も一段落してきた頃なのにさ、また戦争の火種作ってもらっちゃねえ。

だから以前からちょくちょく大人しくしていてもらえるようにオネガイはしてたんだけどね。

先日、あのゴッツイ兵器のテストだって言って、近くのエルフ族の集落を吹き飛ばしちゃったらしいんだよ。


気持ちは分からんでもないよ?

エルフ族はムカつくよね、メチャクチャプライド高くて常に上から目線でさぁ。

しかも未だに天族を支持してる集落が多いから、僕としても他種族との仲を取り持つのが大変なのよ。

でもねえ……問答無用はダメでしょ、もう戦時中じゃないんだからさぁ。

これからの時代は話し合い、コレね。

殺し合いの時代は終わり、終わったの、だから僕も話し合いに来たんだけど……』


そこまで話してシャルルがカメラの前から身を引く。

するとその後方に広がる凄惨な光景が映し出された。

あのロビーと思われる空間に、血肉が飛び散り、大量の人間と思われる遺体が転がっている。


『話し合いにならなかったんだよ……なんかいきなり攻撃されちゃってさ、流石に飛び道具とゴーレムの相手は割と苦戦した』


そう言ってシャルルは自分の服を払う仕草をするが、苦戦したと言う割にはシャルル自身が怪我をした様子はない。

衣服に返り血も殆ど無く、とても先ほど映った凄惨な現場を作った直後とは思えない。


『話し合いにならない上にあんなモノ持たれちゃったら、もうこうするしか無かった訳だよ。

何度も戦闘を止めるように言ったんだけどね……

何も兵器開発やめろって言った訳じゃないよ、天族が再始動しないように監視するのは賛成さ。

だけど今いる地上の民を殺していい理由なんて無い。

それが例え、天族に作られた新しい人類であったとしてもね。

ここにいた彼らは……僕も含めてだけど、もう過去の人間なんだよ。

世界は既に変化した、だから僕らもそれに合わせてやっていくしかないんだ。

それが……彼らには受け入れ難かったんだね』


それまでの軽い調子から一転して、寂しそうに目を伏せるシャルル。

この時既にシャルルはヴァンパイアであったのだろう、そしてどれ程の力をもっていたのだろうか。

恐らく彼ほどの力があれば、幾つかの種族を支配し、好き放題に生きる事だって出来たはずだ。

だが先程の口ぶりだと、彼はこの変わってしまった世界で、他種族との融和を実現させる道を選んだのだ。

きっとその志の中で人と結ばれ、フェリスが生まれたのだろう。


旧人類の気持ちも分からなくはない。

きっと今までの俺のように、世界から捨てられた人間であるかのような酷い疎外感を感じる者も多かっただろう。

その中で積もりに積もった憎しみが、すべての元凶である天族と、その支援者に向くのも仕方がないと感じる。

何百年もかけて、こんな恐るべき施設と兵器を作り上げたのだ、それはまさに憎しみに囚われたが故の執念と言うべきものだったのだろう。


どちらが正しかったのかなんて、軽々しく言えるものではない。

しかし今になって思う。

もし彼ら旧人類にエルフ族の友人が一人でもいたとしたら、きっと違う未来もあったのではないだろうか。

今の俺のように。

そしてそれは、憎しみからでは決して得られないものなのだ。



その後シャルルは数十分に渡り、ヘリオトロープとアイゼンについて説明をしていた。

アイゼンはヘリオトロープを守護する為のゴーレムであり、各種センサー類や、魔法を軽減し自動修復できる装甲を持っている事。

そして総重量は約三五〇〇キログラムと、金属で作られたゴーレムとしてはかなり軽い事などが説明されていた。

シャルルはアイゼンのセンサーに細工を施し、自身の血縁者を識別できるようにしたらしい。

何で俺がそれに引っかかったのか正確には分からないが、もしかしたら普段からフェリスと吸ったり吸われたりしているのが影響したのだろうか……


その他にも、ヘリオトロープは施設の制御用ユニットであり、旧人類をベースに作られた人造人間という事。

緊急時にはアイゼンの胸部格納スペースに入れるよう、成長を抑えられ、少女のような姿である事。

時には慰安目的での使用も想定されている事。

どれだけ待つことになるか分からないので凍結処理をして行くが、途中で解除されてしまっても孤独死しないように眷属化した事など、目新しい情報も数多くあった。


『そして最後に、これを見ているという事は、君もヴァンパイア種族という事なのだろう。

今、君がいる時代がどうなのかは分からないが、ヴァンパイア種族はいずれ危険視されるようになるはずだ。

僕は戦争以外でこの力を極力使わないようにしてきたが、それでもこの力はインパクトが強すぎる。

一部の天族寄りの種族は、ヴァンパイア種族を悪魔の手先だという人もいる。

実際は天族の血でこうなったのだから、どちらかと言うと天族の出来損ないって事なんだろうけどね。

だから最初は意地になって、名前もアルカードなんてしてみたんだけどさ、アハハ。

元の名前はシャルル・ミシェーレっていうんだ、ミシェーレって天使の事ね、要するに名前のモデルが昔の天族、笑っちゃうだろ?


ああ、話が逸れたね。

要するに僕が言いたいのはね、嫌われているからこそ、他人に優しくして欲しいという事さ。

僕達は強い、マナも上手く扱える、大抵の事は自分で出来る。

だから嫌われたって構わない。

そんな風には思わないでほしいんだ。

孤独は傲慢を生み、傲慢は憎しみを生む。

そうなってほしくない。


僕は生きている間はずっと、今の種族が繁栄する為の手伝いをするつもりだ。

今は趣味で城作りとかやってるけどね、昔サン・マリノって国があった場所なんだけど分かるかな?

多分ここから東に三日位進んだ所。

まあ山の天辺に建つ城なんてそうないと思うから、見ればすぐ分かると思うよ。

ここから持っていった使えそうな物も運ぶ予定さ、もし役に立つなら僕の書斎を探してくれ。

一応隠しておくけど、僕の血族なら地下の倉庫で平家物語の冒頭読み上げてくれれば道が開くから。

分からなかったらクロウ・ヨシツネにでも聞くといいよ、あいつ平家物語を含め色んな書物を全部暗記してるから、頭おかしいよね。

クソウザイガキ大将だけど悪人じゃないから根気よく話せば大丈夫。

あとあいつ羊羹大好きだからモノで釣るのもいいかもね。


ああ、また話が逸れてしまった。

伝えたい事は山ほどあるのだけど、この辺りでお開きにしよう。

これを見ている未来の君達が、幸せであることを祈っているよ。

ヘリオトロープをよろしくね。

彼女の姉はこの手にかけてしまったからね……

できれば彼女には、普通の女の子としての人生を歩ませてやってくれ』


映像の中のシャルルはそう言うと、人懐っこい笑みを浮かべて手を振る。

そこで映像は終了していた。



皆がしばし無言で、映像の消えた画面を見ている。


「あれが原初のヴァンパイア、シャルル・アルカード……なんだか、想像していたのとはだいぶ違いましたわね」


ボソリとルビーナが呟く。


「俺も顔を見るのは始めてだけど、そうか……ああいう人だったのか」


「私の知っているシャルルはもう少し落ち着いていた。でも、今のは確かにシャルル」


「知っているのかティアマト?」


「あまり話した事は無い、たまにグラーナ島に来ていた時に見た程度」


「……伝説の魔族、す、凄いものを見てしまったな」


皆はさっき見たモノについてあれこれと意見を交換している。

特にエルフ族にとっては、伝え聞いていたヴァンパイア像と大きく違っていたので困惑しているようだ。

その性格もさることながら、最も興味を引いたのはその成り立ちだ。

彼は旧人類であった人間が天族の血を浴びて変異した存在。

つまり所属は魔族であっても、そのルーツは天族にあるのだ。

この話は、フローワとルビーナを大いに驚かせた。


そんな中、アリスが俺の方をじっと見つめ、フッと笑みをこぼす。


「何だよ」


「いえ、何でフェリスさんがノアさんの事好きになったのか、何となく分かっちゃったかなーみたいな」


「おい、どういう意味だ」


「べっつにー、何でもないですよー?」


この野郎……あれは絶対に何か企んでる顔だ。

一体今度は何をネタにして俺をいじるつもりなんだ。



それにしても、今の話は非常に有益な情報だった。

義父の顔を拝めたというのも嬉しかったが、何より、大きな謎が一つ解けたのだ。


この施設にシャルルが訪れ、そして壊滅する原因となった出来事。

ミサイル兵器の発射実験。

その対象に、近隣のエルフの村が選ばれたと言っていた。

それはつまり……ユニコーンが所属していた村の事ではないのか?

いや、そうとしか思えない。

たまたま同じような時期に、エルフの村が別の理由で二つ壊滅しているとは考えにくい。

自然に考えれば、恐らくそういうことなのだろう。


確かユニコーンは、村を出た後にシャルルと会っているはずだ。

シャルルの話の中にユニコーンに関する事が出てきていればもっと確実になったのだが、それについては触れられていなかった。


「ヘリオ、さっきの映像で言われていた一二〇〇年前のミサイル発射実験、どの辺が目標だったのか分からないか?」


「はい、記録を確認します」


ヘリオトロープが端末を操作する。

程なくしてその答えは出た。

ここから北に七キロメートルほど進んだ山中だ。

当時その操作を行っていたのはヘリオトロープの前の担当ユニットだったが、彼女は既に死亡している為、話を聞くことは出来ない。


「場所、正確に分かるか?」


「この座標情報があれば数メートル単位の誤差で着弾地点にご案内できると思います」


「分かった、明日そこに向けて出発したいから、案内を頼む」


「承知しました」


実際にミサイルが落ちた場所も分かる事を確認できた。

後は問題の場所にユニコーンを連れて行って、そして確認してもらう。

一二〇〇年も経っているので覚えているかどうかは分からないが、友人の長年の心残りが解決するかもしれないのだ。

例え無駄足になったとしても、確かめないという選択はない。


寝る前にコウモリを使ってユニコーンに簡単なメッセージを送る。

今日は施設の中で休む事と、明日、一二〇〇年前の謎が解けるかもしれないという内容だ。

俺達はめいめいに居住区の中にあった家のベッドに寝転がって休み、これからの事について思いを馳せる。

程なくしてユニコーンからの返信が帰ってきた。

内容は一言「楽しみね」というものだった、実に彼女らしい。


俺はコウモリを懐に入れて横になると、年内にフィガロに帰るためのスケジュールを頭の中で立て始めた。


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