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理の魔術師は育てる。  作者: アイネ
対抗戦
14/16

⑤1回戦目・橋本ジーン3




再び結界が崩壊した。


内側にある全てを打ち砕く魔力銃砲たちの怒号と魔力が衝突した時に生じた衝撃で、全て煙で隠れるほどの状態となった。



全観客が息を呑む。


誰もが騒つく中に煙が段々と晴れていく。よく見るととある人物が倒れ込んでいる。その人物はもう諦めたような顔をしている。肉体は欠損はしてい無いものの、あまりいい状態には見えない。


とはいえ、すぐ隣で立ってる男もかなりの痛手を負ったような、そんな様子だった。


「…………結界内で指向性を捨てた何本もの槍の雨、その全てを君の魔力だけでは補うのは恐らく難しいだろう。後付けで魔力吸収効果を付属させた、だから私の攻撃が君に真に届く前に私は負けた、違うかな?」

「そうですね。あとは貴方が命を削って魔力を得たように、即席に”自身をも巻き込む攻撃”の準備をすることで、多分ある程度の短縮はされたんじゃ無いですかね。でもそこの足し引きは正直分からないです」

「…………なるほどな。偶然の意思がもたらした誓約の結果か。興味深いな。因みに魔力吸収効果は意図的に出来たのかい?」

「それも偶然ですね。出来たらいいなぐらいの感覚で付属させました。既に結界にはベースとなる別の効果を乗せていたので、少しの解釈の溝があったら出来なかったかもしれないですね」

「………………ふふっ、そうか」



「ギャレンが負けた理由は、あいつ自身の間抜けの油断かと思ったが、結局私も負けることになるとはな。愚弟と一緒とは」

「その排他的な考え方は捨てた方が今後のためですよ」

「………じゃあ捨てるよ。じゃなきゃこれから君には一生追いつかないだろう。でも以前君はG組だったが、勝った優越感には浸らなかったのかい?」

「浸りましたよ。そりゃあもう自分が変わってしまうと思うぐらい。この沼は本当に恐ろしいですね。差別されていた人間が上辺で勝つことを覚えると、差別された時の苦悩なんて忘れて、また浸りたくなってしまう」

「…………皆根底は一緒というわけか。だが君はそれでも抜け出せた、本当にすごいな。私は君を見つけるまで、その排他的な気持ちで満たされていたよ」

「変わる瞬間があるなら、そこが分岐点です。罪はあっても罰を受け入れるだけで罪は少しだけ気楽になる」

「………………そうだな、私も反省しよう。勿論君に負けたからではなく、君という人間と対峙して人間的な感性に感化されたからでね」

「…………決闘は楽しめましたか?」

「そりゃあ、もちろん。君はもう一級を超える魔術師だよ。こんな試合中々出来ない。有難うね」



「…………この戦いは私の負けだ!!!!!」


誰もが見ても和気藹々と話している様子から、審判すらも声をかけない状況だった。しかししっかりと声を上げことから、審判も漸く責務を思い出して、

「真ハイム魔術学院・橋本ジーンの勝利!!!!」


と白星を取った。


僕は治癒術式で、治しながら控室に戻る。


「お疲れ様。楽しかったかい?」

「まあまあかな、でもこんな疲れるのはちょっとごめんだ。しばらく休ませてね」

「オッケー。今度なんか甘いものでもあげるよ」



「次の決闘だが、緑山グラント君に出てほしい」

「…………………………はい」

ジーンの戦いは短くなっています。それほど短期に戦えるように成長したってことですね。

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