表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/37

・9・遭遇及び潜入

 音が聞こえた


「汽笛?まさか・・・・・」


 錆びた自転車のチェーンみたいな音がする。自分の声だと気づくまでき数秒、間が空いた。


「やっぱ人と話さないとすぐこうなるな・・・」


 別に驚くことじゃない。昔、金曜から月曜の朝まで部屋でパソコンいじってた頃は、週末の恒例行事だったことだし。でも今回は特にひどい。当たり前だ。今まで二週間話さなかった事なんてなかったんだから。


 「♪〜〜」

 

 わお。

口笛が思わず出たなんて人生初だ。

汽笛が聞こえたから船が来たんだろうとは思ったけど、まさか軍艦が来るなんて。最高だ。一生分の運を全部使っちゃったかもしれない。これで風呂に入れる生活どころか、食料、医療、身の安全が全部保証されたんだ。幸運以外の何物でもない。心からの祈りを神に捧げよう。人生で二度目の経験だ。素晴らしい。人生で二度も心から祈りを捧げるなんて。


「主よ。私はあなたの星の下に生まれて幸せで・・・ゴホッ、ゴホッ」


 迂闊だった。こんな喉がカスカスの状態で叫んだらそりゃむせるに決まってる。水を持っていたことをこれほど感謝したのは人生初、なにかに人生で初めて感謝したのは今月だけで三回目。これも自己ベスト更新だ。


「ーーーっ!!」


 乾いた音が響いた。

銃声だ。完全に僕の方を狙って撃ってきてた。あと一瞬気づくのがおそかったら今頃見つかって蜂の巣だ。やっぱり僕には守護天使がついてる。


 やっぱり脳内でも笑えないジョークを言うと気まずくなるんだな。僕は今ひとつ賢くなった。


 よく見たらあの船、イギリス国旗がついてない。けど見た目は昔プリマスで見た軍艦そのままだ。どう考えてもおかしい。しかもよく見たら甲板にウサギ耳生えてるやつが乗ってる。・・・・・・。うん、一回室内に戻ろう。危険だ。


 さてどうしよう。

あの銃撃が間違いだったってことはないか?

でも、もしそうだったとしても獣人が乗ってる。しかも結構立派な服で。見たときは気づかなかったけど、多分かなり上にいる様子だった。

獣人が仕切ってる可能性が高くて、間違いかもしれないけど、銃撃してきた船。

どう考えても、離れるべきだ。


 でも、一つ重要なことを僕は忘れている。

そう、あの船は多分お風呂がついてる。それを考慮したら、あながち離れるべきとも言えなくなる、と思う。しかもあの船の乗組員にしてもらえたら食料、医療、身の安全が全部手に入る。条件良すぎないか?

いや、たしかに危なそうな船ではあるけど、安全だった場合のリターンを考えたら、離れたらむしろ損な気がする。


 いや、でも危険は危険だ。どうしよう。

いちどあの船の危険度を確かめたい。具体的に言うと、一回中を見てみたい。

その時に見つからなければ、危険でも帰ってこられるはずだ。

結構いい考えだと思う。ローリスクだし、上手く行けばほしかったものが全部手に入る。


 よし、侵入しよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ