グットモーニングな朝日
前回は生まれて初めて書いた時の、もう何年も前の作品を載せましたが、今回は今書いています。
「私が死んだら、この人達にあって欲しい。」
という祖父の遺言書を僕は無視していた。
無視していた。というと人聞きが悪いかもしれないので、より正確に表すならば、忘れていた。のだった。
母経由で僕に遺言書が回って来たのだが、僕はなぜだかそれを見るのが嫌で、見てしまったら何かが変わりそうで、僕は躊躇っていた。
躊躇っていたのである。
躊躇の読み方の難易度レベル、99999999999ぐらいないか。
しかし、いよいよ遺言書を見ないといけない時期になった。このまま見ないという考え方もあったのだろうが、もしかしたら大事なことが書いてあるのかもしれない。
そうならば、僕は遺言書を早急に見るべきなのだ。
冷蔵庫にプリンが入っているから早く食べてくれ。という遺言書だったら、とっくにプリンは残念プリンへと成り果てているだろう。グッパイプリンをするのを拒否したくなるくらいに悪臭プリンに変貌を遂げているだろう。
そして、いよいよ遺言書を見ようと思った僕は、タンスの一番下の、ゲームが入っている棚を開けて、そこに閉まっていた遺言書を出した。
遺言書を出して僕はふと、あることに気付いた。
誰でも気づくことだ。
「遺言書、開いてるじゃん!」
衝撃である。
僕は母から遺言書を貰った時、たいして見もせずに、タンスの一番下にポイッとしてしまったので、てっきり誰も遺言書を見ていないものと思っていたが、誰かが読んでいたようだ。
ということは、もう誰かがチェックしているのだから、仮にプリンが冷蔵庫に入っていたとしても、おおよそ父か母か、それか親戚の誰かが、プリンがグットプリンであるうちに食べているだろう。
じゃあ僕は見なくてもいいじゃん!!
いやったぜ!!!!
よっしゃあ!!!!!!!!
面倒なことをしなくてすんだ!!!!!!!
ということで、僕は遺言書を見ないで、さらに数か月が過ぎた。
まとめると、祖父の遺言書を見るのを忘れていた。ということである。
そして今、目の前には葬式を済ませたはずの祖父が居る。
「なんで遺言書読んでないの!!!!」
祖父は怒っている。