ボロネーゼは魔法の言葉
見切り発車したから既にネタギレ
「なんで遺言書読んでないの!!!!」
祖父は怒っている。
僕は祖父に怒られている。
僕の本名は祖父江で、今怒っている祖父は僕から見て内祖父なので名字は祖父江である。
つまり何が言いたいかというと、祖父である祖父江が、僕であるところの、祖父江を怒っている。ということである。
祖父祖父パラダイス。
さてさて、今までずっと居ないと思っていたはずの人が、仮に今自分の目の前にいたら、人はどのような反応をするだろうか。
結果は、無視を決めこむのである。
ということで、僕は祖父を、祖父と思わしき人を、祖父江と思わしき人を無視した。いったいなぜだか、目の前で僕に対して怒っている内容は検討がついたのだが、僕は無視したのである。
世の中というのは、たとえそれがなにであっても、白黒ハッキリすれば良い。という話ではない。曖昧にしておくべきことや、知らないことがマストである事柄だってあるだろう。
好きなあの子が僕のことをどう思っているのか。僕は同じ学校のクラスメイトから陰でなにを言われているのか。僕はバイト先でどう思われているのか。人間は死んだらどこにいくのか。宇宙はビックバンが起きる前は何があったのか。これからの僕は、日本は、地球は、どう変遷していくのか。
そのどれもが知っていてはならない。
決して知っていてはならないのである。
「おーい。おいおーーい。無視するな。」
目の前にいる何かが僕に向かって話しかけているような気がするが、きっと気のせいであろう。
「あれ?聞こえてないのかな。こっちのマイクがミュートになっていたのかな。えっと・・・。こうかな。おーい。」
目の前に自分のマイクの音声をミュートにしたために、自分は懸命に話しているけど、自分の声が誰にも拾って貰えないのかな。と疑っている何かがいるような気がするが、きっと気のせいであろう。
「あれえ。おっかしいなあ。なんで聞こえないんだろう。マイクはミュートになっていなかったし。向こうのヘッドホンが音切っているのかなあ。もしも仮にそうだったのなら、私には手の出しようがないけど。」
目の前に自分のマイクはミュートになっていないけど、相手が音声をミュートにしているために、自分の声が誰にも拾って貰えないのかな。と疑っている何かがいるような気がするが、きっと気のせいであろう。
「うーん。なぜだろうか。既読すら付いていないなあ。もしかして私ってブロックされているのかなあ。」
目の前に自分の送ったメッセージが既読になっていないため、もしかしたら相手にブロックされているのではないか。と疑っている何かがいるような気がするが、きっと気のせいであろう。
さて、いよいよ話を進めるべきだろうか。このままだと前回に続いて今回も目の前に祖父が居る状態で僕が小さいボケを三つやって終わりになってしまう。たとえメタフィクションの世界下でも話を進めていくことは考えなくてはいけない。
覚悟を決める。
「あれええ?!?!?なんでおじいちゃんがあ?!??!!」
少しオーバーリアクションすぎてしまっただろうか。もうすこし、!と?の数を減らした方がよかったのかもしれない。
祖父はニマニマと、してやったり。というような顔をしている。
「この世に未練を捨てきれなくて、戻って来たわ!」
なるほど。
だかしかし、僕は知っているのである。
祖父は死んでいない。




