壱話_成宮さんちの尊くん!!
*布留辺市市民病院
「母さん!!」
うーん。俺は成宮尊。結構地味系な派手な名前だよね、と。
幼馴染の柴田草子には言われたりするんだけど。
その草子から、俺の携帯電話|(90年代モデルの怪しい電話機。色々弄ってあって、スマホ時代の今でも通話できるんだぜ?)に、連絡があって。
うちのかーちゃんの葛葉ちゃんが、病院に救急車で運び込まれたって連絡があったんでね。いそいで、俺たちの住んでる地方都市の布留辺市市民病院に駆け込んだわけだけど。
「あ! 尊くーん!!」
笑顔満面で。葛葉ちゃんが病室のベッドの上から手を振っている。おい、かーちゃん? どういうことだ?
「ああん! 尊くーん!! きな粉持ちってこわいね! 7個食べたらのどに詰まって!! 死んじゃうかと思ったわ!!」
おうわふ!! うちのかーちゃんの葛葉ちゃんらしい! いつもこうだよ!!
「尊、意外と早かったわねー。今日はアルバイト無いの?」
あれ? 病室には、草子の奴もいた。
「私は磯部餅だったから。きな粉のパッサパサで水分とられて喉が詰まった葛葉さんみたいにならないで済んだから。救急車を呼べたのよ」
草子はそんな事を云う。なるほど、そういうことか。
「で? お前は何個食べたの? 磯部餅」
「12個」
「食いすぎ」
「もう三月も終わりなのに。お餅が残ってたんだからしょうがないじゃないの!!」
「? 今年の正月のか?」
「そうよ!!」
「お正月に餅食わなくなったよなぁ、俺ら」
「そういえばそうねー。おいしいけどさ、まちにカイゼリヤできたじゃない? 私は中卒で陸上自衛隊入っちゃったし、尊は高校生だけどアルバイトだもん。お金あるから外食で食べちゃうわよね」
「まあなー。正月に餅つき機でデカイ延べ板の餅作り過ぎるから。毎年こうだよな。ウチって」
「まあねー。旧家だからしょうがないんじゃないの? 尊のお家は」
「むむむー」
そこで。俺の九十年代Soul携帯電話がピロリポー!! と鞄の中で音を立てた。誰だろな?
俺は、携帯電話を鞄から引っ張り出して。発信者の名前を確かめる。
「なんだ、晴彦の奴かよ。あのいけ好かない背のクソ高いイケメンめ」
「あら? 晴くんなの? おうちの会合、抜け出せたのかしら?」
「しるか!! 七面倒臭い旧華族の残骸なんざ!! とかあいつなら言いそう」
「あるあるー! それ晴くんぽーい」
「でよ? 草子。晴彦の奴、何コール放置したら、電話切ると思う?」
「うっわ! 尊くん悪魔やー!! まあ、8コール」
「晴彦意外と執念深いから。18コールまで引っ張りそう」
「500円賭ける?」
「おっしゃ!!」
ははははは!! イラつくイケメン晴彦~!! 電話に出んわ!!
*旧財閥家系・蔵山家本宅
あーあーあーあーあ!!
私は蔵山未央奈っていうのですけれどねーね?
クソ面倒臭い、いえ。おクソ手間のおかかりすることを。母上から申し付けられちゃったのよね!! お金持だからウチは!! 鉄工所5つに、農園2つ。更にはステーキハウス「くらやま」のチェーン展開をしてる、旧財閥のブルジョアジー家庭! それがわが家だし、蔵山家!!
「晴彦呼び出そうか? あの安倍晴明の末裔とかブラフばっかり言っている、クソインチキのイケ男。話術凄いし、見た目雰囲気128点だし。ぬ~~~~~!!」
まあいいや。DecomoのPaxel18proでポルルルル~!! とっとと出なさい、安倍晴彦!!
でない!! 何やってんだあのモヤシ!!
1話 END




