実践課題当日
いよいよアンデッドと戦うのです!
今日の空は雲一つない快晴。これで今日がアンデッドの討伐等ではなくピクニック等であれば、さぞ楽しい一日になっただろう。
整列している生徒達も緊張しているようで、気を紛らわすためなのか雑談をしている人がいつもより多い。下手をすれば命を落とす可能性があるのだ。緊張するな、不安になるなという方が無理だろう。
今回、本来討伐軍が防衛戦を張るラインの一割程が生徒達の為に割り当てられている。生徒達の前に討伐軍の兵達がある程度アンデッドの数を減らし、わざと数体を後ろへ通す。それを生徒達が倒すわけだが、安全の為に討伐軍の兵が各パーティに一名ずつ付いているとはいえ、安全が確保されているわけではない。
それに強い個体により前にいる兵達が倒されれば、生徒達は為す術もなく命を落とすだろう。アンナも対策をしていないわけではないが、アンナは学校にいなければならない為に直接生徒達を助けることは出来ない。
「強い個体が出現した場合は、即撤退命令を出す! 撤退命令が出たらすぐに、後方に下がるように! 撤退時の殿はパーティに付いている兵が行うように! 各員無駄に命を散らすことのないように注意せよ!」
「「「「「はい!!」」」」」
この日の為に態々本部の位置をこちらに移してくれたオズワール将軍の激励の言葉の後、生徒達もパーティ毎に所定の位置へと向かっていく。
いよいよ、課題の開始だ。
開始してから30分が経過し、視界にアンデッドが迫ってくるのが見えてきた。間引き担当の兵達とは1km程離れているからか、戦闘が始まってからこちらに到達するまでは時間がかかっている。
接近してきているのは、スケルトンが二体、ゾンビがその後ろに二体。移動速度の関係でスケルトンの方が速い。
「行きます!」
ミルーフがクトラの魔法の射程ギリギリで戦闘を開始する。スケルトンの攻撃を誘い、カウンターで頭部に剣を叩き込むことで早々に一体処理することに成功する。
「<水よ、貫け>!」
完全な矢ではなく、尖った針の様な形状にしたことで、発射までの速度や魔力の消費、身体への負荷を抑えることに成功したクトラの魔法が、スケルトンの足に飛んでいく。
スケルトンの身体を貫けない可能性を考慮し、足止めの為に足に狙いをつけたのだが、クトラの魔法はスケルトンの足の骨を砕いた。
それでも腕を使って這ってくるスケルトンを、ミルーフが剣を振るって倒す。
その間に、ラニカは魔装球の二つを使ってレーザーでゾンビ二体の頭を切断していた。
「よし! 余裕だったな! この調子でいくぞ!」
「「「はい!!!」」」
三人という少ないパーティだが、これなら問題は無さそうだ。
左右にいる他のパーティは5人以上いる為、分担して負担を減らしつつ確実に一体ずつ倒している。スケルトンやゾンビが相手なら安定して戦えるだろう。
左側のパーティが少し遅れて敵を倒した頃、スケルトン達が再び抜けてこちらにやってくる。先程より数は多いが、そこまで時間はかからないはずだ。左側は休憩無しで連戦となる。
先程と同じように、ミルーフが敵を食い止め、クトラがそれを支援し、ラニカがその間に残りを殲滅する。これでスケルトンを八体、ゾンビを二体倒したので課題達成となる。
課題自体は達成したが、課題の時間は戦闘開始から一時間の為、あと20分程残っている。終わるまでは気は抜けない。
このまま無事終われば、夕食前には帰れるだろう。
このまま、何事もなければ───
更新しました。この文字数だと物足りないと感じる方もいると思いますが、ご了承下さい。更新は続けていきますので、よろしくお願いします(`・ω・´)ゞ