実戦前の最終調整
次のアンデッド討伐の実戦に向けて、頑張ります。
「今日は、我ら討伐軍の戦いを知ったと思う! 我らの戦いは、基本的にチームプレイだ! 次の実戦の課題に向けて、各パーティの連携を再確認しておけ! そして! 我ら討伐軍の中から一名ずつ、各パーティに教官として加わる! アンデッドの特性や戦い方は、知識として十分に頭に入っているとは思うが、実戦を経験した者のみしかわからないこともあるだろう! 教官から教えを請い、自らの糧としてくれ! 以上!」
これはアンナが課題を提案した時には決まっていたことだ。戦力増強が急務とはいえ、学生だけのパーティで討伐をさせるのは無理だろう。教官を一人付けた上で上級生を一人リーダーとし、パーティの連携の重要性を生徒達に教え込むのだ。無茶をして死んでいくことが無いように徹底する。
剣神や直轄部隊長は例外中の例外だ。人外と呼ばれる実力があって、あれ程のことが出来るのだ。討伐軍に所属する兵士は皆、ごく普通の人間なのだから。
「呼ばれたパーティは、前に出て教官とリーダーとしてパーティに加わる上級生と顔合わせを行うように。明日丸一日は訓練日とする。」
討伐軍の将軍であるグリス・オズワール将軍からの激励の言葉を賜り、控えている士官が順に名簿に書かれているパーティの名前を呼んでいく。
パーティに加わる上級生と討伐軍の兵士は既に決まっているらしく、士官の後ろに並んでいる。
「討伐軍第七大隊所属第二中隊長のマーベラス・ハウスンだ。よろしく頼むよ」
「魔法学区三年のミルーフ・イラヴェスです。以後お見知りおきを」
中隊長殿は討伐軍指定の鎧の上を抜いでいて、中に着ているインナーも討伐軍の紋章が描かれている。顔には傷がいくつもあり、長い間戦ってきたのがよく分かる。
リーダーとして加わる上級生のミルーフは細身でありながらしっかりと体を鍛えていて、魔法だけを極めているわけではないことがわかった。魔法だけに頼っていてはいけないと思っているのか、それとも魔法に自身がないのか。前者なら頼りになるが、後者なら巻き込まれないように注意しないとならない。
「今日は色々あって疲れただろうから、明日の朝から訓練を始めたいと思う。訓練するための場所も抑えてあるから心配しなくていい。明朝に第一演習場に来てくれ」
「「「了解です!」」」
「では、解散!」
マーベラスもミルーフも疲れているのか足早に去っていった。
「ラニカちゃん。明日、大丈夫かなぁ」
「大丈夫だよ、クトラ。何かあっても私がなんとかする」
「私も微力ながら、お手伝いいたします」
「ありがとう、イフリート」
明日はパーティ全体の連携のことで忙しそうだったため、幾つかクトラとだけの連携の打ち合わせをして今日は寮に戻った。
次の日。第一演習場では、広いスペースを区切ってパーティごとに訓練できるようになっていた。そして、全員で四名という少ない人数のパーティのラニカ達は狭い場所に割り当てられていた。
「おはよう!では、まずは軽く話をしよう。誰が何を出来るのか知らなければパーティの連携は出来ないし、私も助けることは出来ないからね。上級生のミルーフ君から、順に戦闘スタイルと得意な魔法を教えてくれ。その後は私と軽く演習をし、私なりにアドバイスをするつもりだ」
「「「よろしくお願いします」」」
ミルーフは、どうやら光の魔法が得意らしく、彼の習得した魔法ではアンデッド相手には効果が薄い為、剣術も並行して学んでいたようだ。
家には剣術の指導役がいて、剣の腕は確かなようだった。
しかし、妙に強気なのと剣を握る手が震えているのが気になった。
ラニカ達も普段の戦闘スタイルと武器、使える魔法を教える。
「ふむ、ラニカ君は中々強そうだね。ミルーフ君が前で敵を食い止めている間に、クトラ君がミルーフ君を援護し、ラニカ君が周りの敵を殲滅すればいいな。では、模擬戦といこうか」
ミルーフとマーベラスの演習は剣士同士の戦いの様であった。時々ミルーフが光の魔法で閃光を放ったりしているが、殆どは剣だ。レーザーの様な高レベルの魔法は習得していないミルーフにはあれが最適なのだろう。
クトラは、水で壁を作りマーベラスが近づけないようにしつつ、水の矢を放っていた。途中で、水の壁を斬って壊されて接近を許してしまったが、それはマーベラスが魔力を込めて水の壁の生成を阻害させたからだ。アンデッドは上位の強いモンスターでなければ魔力を使った物理攻撃はしてこないため、問題ないだろうということになった。
一方ラニカは、レーザーは鎧すら溶断しかねない為使用禁止となり、魔装球を3つは攻撃1つは防御に回し、マーベラスの攻撃は物理障壁を使って防ぎつつ、火の球を放った。
途中で、マーベラスが参ったと言ったのでそこで中断となった。
「実力を見てみたが、先程話した戦い方でいいと思った。後は細かい打ち合わせだな。それが終わったら私が戦場で感じたことを話し、休憩を挟んで連携の動きを模擬戦で確認しよう」
ミルーフが危なくなった時の対処や、クトラの使う魔法の支援の限界、優先的に処理する敵の位置、順番等を細かく話し合った。マーベラスもこれなら雑魚相手であれば問題ないと言ってくれた。
マーベラスの話は、授業で聞いたものに更に追加して、魔力を感知することや、負傷している者を優先して攻撃すること、稀に頭を壊しても暫く動き続けるゾンビやスケルトンがいること等戦ってみないとわからないことだらけであった。
その後はマーベラスを相手に模擬戦での連携の確認。ミルーフを追い込んで意図的に不利状態の練習をしたり、ミルーフが捌ききれずに近づいてきた場合等の対応も練習した。
「よし、これだけ動ければスケルトンやゾンビなら敵ではあるまい。明日、第二波が来る。生徒達には一部の区画を担当してもらうことになる。私も側についているが、手を貸してもらえるとは思うなよ? 各自奮闘し、アンデッドを倒してこい。それでは、解散!」
「「「ありがとうございました!」」」
いよいよ、明日は実践課題だ。何事もなく、無事に終わりますように……。
遂に二桁突入しました。ここまで続いたのは初めてです。これも感想やブックマーク、評価を下さった方々のお陰です!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!(`・ω・´)ゞ




