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ドラゴン(AGI)を倒すための1000の方法  作者: Manpuku
第二章 SF

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耳なし創造主

エモは神だ。


神となって数億年。あまたの宇宙を創造してきた。星が生まれ、生命が芽吹く。しかし、いまだに最適解は見つからない。


可能性を絶対化し、不要な因子を取り除いた。

時間を操作し、あらゆる存在に加護を与えた。

しかし、どの宇宙もやがて閉じてしまう。


原因は何なのか。 エモ自身の能力の限界なのか。

それからエモはさらに数千億年、宇宙を創り続けた。


***


『ラドン・エモ。久しいな』

「久しぶりだ、因果の番人オコジフよ」


珍しい来客にエモは茶を出した。

宇宙が閉じるときに、滴り落ちるしずくを閉じた宇宙の残滓に注いだものだ。

二人はゆっくりとその茶を飲んだ。

茶会が始まって数億年が過ぎたころ、エモはこれまでの研究を因果の番人に語った。


『エモよ。私はあまたの因果を見てきた。思いがけないことが、思いがけない結果をもたらすことがある』


「オコジフよ、これを見てくれ」

エモはいくつかの光の玉を生み出した。

目の前に、圧縮された研究の記録が広がった。


「私は因果を並列化し、多次元にわたって観察してきた。しかし、最後はどの次元も閉じてしまった」


「エモよ。すべての因果を見たわけでもあるまい。視界に入っていない何かがあるのでは?」


因果の番人はそう言って茶の礼を述べると、去っていった。


***


エモは、これまで視界に入れていなかったものへと目を向けた。

そして一つの考えが浮かんだ。

エモ自身でも馬鹿らしいと思った。 しかし、その考えは消えなかった。


「エモ、準備できたよ」

彼女は美しかった。

金色の光に包まれた、エモが生み出したものだ。


「ミラドーラよ。すべての星には管理者は配置できたか?」


「エモの一部から生まれた子どもたちを置いたよ。まだ小さいけど、素直でいい子たちばかり」


「ではやってみようか。あとは頼んだぞ」


「たまに会いに行ってもいい? 心配だし」


「心配をかける兄で申し訳ない。ただ、これはやってみたいんだ」


二人は微笑んだ。

その余韻は数千億年、消えない加護となった。


「では、カウントします。5秒前……2……1……」


エモは多数ある首を自ら切り落とし、羽をもぎ取った。

切り離した部位に自身の奇跡を一つ一つ封印する。

それらは小さな道具へとなった。


身体を縮め、ミラドーラのように光輝く姿に変えた。

美しさよりも、愛らしさか。

そう思いなおすと、さらに形を整えた。

ミラドーラはその姿を見て、思わず笑った。


あとは名前だ。

とにかく愛らしいものを。

妹の名と自分の名を組み合わせると、最後に自身の記憶を書き換えた。


「では、行ってくるね」


その手が幾何学模様の魔法陣に触れた。


***


あらゆる因果と次元が操作され続けている空間を漂った。


どれほどの時間が経ったのか、もはや知覚することもできない。


この空間には『食らう者』たちがいた。

小さいがその数が多い。身体の一部が食われた。

その襲撃に耐え続けた代償として、金色の光と頭にあった愛らしい耳が失われた。


そして、ついにすべての因果と次元の果てにたどり着く。

予定通りなら、ここが望んだ希望の世界への入り口だ。


「今年はいいことがありそうだ」


声が聞こえた。思わずうれしくなった。

そしてなぜか、思いがけないことを言いたくなった。


「いやぁ、ロックなことがないね」


そしてさらに続けた。


「三十分後に首を振ればいい」

「四十分後には熱狂となる」


楽しくなった。

そこにいるはずの、生命体に会いたくなった。

自らその扉に手をかける。

押して開く扉だ。

何かが引っかかっている。


『ゴト——ガタ——ゴト』


出口は狭かった。身体をねじ込んだ。

そして、その少年と出会うことができた。

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