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ドラゴン(AGI)を倒すための1000の方法  作者: Manpuku
第一章 うっかりファンタジー

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王とキンカ

「王よ。しんはキンカにございます。何なりと、この身に仰せ付けくだされ」


王は、未だ幼ききみであらせられた。

かしこまる我が前に、ただ無言のままにしましている。


遠き国よりの旅路の疲れにや、その小さき王は、かすかに身震いをしておられた。 これよりのち、私は王の近習きんじゅたる護衛、かつ侍女長じじょちょうとして、かしこまって仕えることとなったのである。


王には、日々欠かさぬお勤めがおありであった。 あしたゆべ、下界をあまねく視察されること。


暗雲の垂れ込める嵐の底にあっても、神々の怒れる雷鳴の轟く中であっても、王は私をともない、視察へとおもむかれる。己の汚れを気にせずに草をなぎ払い、深く生い茂る森を進む。ひとたび何事かの異変を察知されるや、その場にたちまち結界を張り巡らされた。そうして、毎度の視察の折には、必ずや尊きかてをその手より生み出されるのであった。


王の成長は、目を見張るほどに早かった。

わずか数年のうちに、たくましき青年の姿となられた。


これぞ高貴なる血脈けちみゃくあかしであろう。その姿は美しく、気品に満ちあふれておられる。王は視察に万象ばんしょうつつがなきを確かめ、御心みこころを安んじられたのか、その足取りも軽やかになられる。


城下の民どもは、王の御姿を仰ぎ見るや、誇らしげに道を譲りたてまつる。

王は隔てなく民どもに視線を注がれ、自ら歩み寄られるのであった。

王の御言葉をたまわった者は、誰もが自然と笑みをこぼした。


かかる尊き王の御許みもとに仕え奉りて、早くも十五年の歳月が流れ去った。


王の血脈は、成長こそ早けれど、ある定めの年端としはを越えるや、その肉体しんたいは急速に衰えゆく。それは逃れられぬ呪いであり、抗えぬ宿命さだめでもあった。


王の務めとしてこの地へ加護を授け続けたがゆえであろうか。

あるいは、長きにわたる視察の折、幾度も結界を張り巡らされたが故であろうか。

されど、かすかに震える御身を励まし起こし、王はなおも視察へと下界へおもむかれるのであった。


ある夜、私は王に召しだされた。

王は、私に目配せをされる。

近くへ寄れ、と無言のままに促すかのように。


私は王の御身に、そっと触れ奉る。


聖水を調合したるしずくに、女神の涙にて織り成したる布を浸し、王の御身体を優しく拭い申し上げた。


それから、しばらくのちのこと。

王は、静かに、動かれなくなった。



——長き歳月を共にせし友、我が若き王——アーサー(享年16歳)に捧ぐ。

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