24 夜の秘密会議
「まぁ!!さすがはお姉さまね。よくお似合いだわ!!」
二人を待っていたシシィがわざとらしいほどにはしゃぐ。
「さぁ行くわよ。夜のお散歩ってワクワクしますわね」
キラキラとした瞳でいたずらっ子の表情を浮かべるシシィだがリリーには聞こえてしまった。
『夜のお庭での内緒の恋人たちのあれやこれやが見れるかも!!』
(そういうの出歯亀っていうんですよ……)
リリーは心の中でつっこんだ。
リリーを手当することにした理由といいどうやらシシィは好奇心が旺盛のようだ。
「王妃様のお庭の先にはオランジェリーがあるの。王妃様のお国の柑橘類が寒い時期に保管されるためにガラス張りだからとっても暖かいのよ。ご存知?」
冬の寒さが厳しいこの国では南国の植物は冬をこすことが出来ない。短い夏以外の時期は温かさの必要な柑橘類には適さない気候なのだ。
「月明かりに照らされる夜のオランジェリーも素敵なの。薄暗いなかにお花の香りが漂って昼間の太陽の暖かさが残っているから夜だって肌寒くないの」
春とはいえ日が落ちると肌寒く感じられる庭を足早に過ぎながらシシィは話し続ける。
月明かりがあるとはいえすこしも迷わず奥へ奥へと進んでいくシシィの背中をリリーは必死に追いかけた。
『月が出たばかりだから恋人たちの逢瀬を覗くにはちょっと早かったかしら?』
聞こえてきた不純なシシィの本音には目をつむる。
「王妃様のためにオランジェリーがたてられたのよ。遠い国から嫁いでこられる王妃様のお心をなぐさめたいって。釣り鐘の形をしためずらしい花のさく木とかもあって私のお気に入りの場所なのよ。お姉さまにも教えてあげる」
ニコニコと笑うシシィはきつそうな外見とはうらはらにホスピタリティに溢れているらしい。
お気に入りの場所を教えてあげるわ、と言った気持ちに裏はなかった。
アンナが先にたち扉に手をかけた。
ガチャリ。
扉は音をたてたが開かない。鍵がかかっているらしい。
「あら?珍しいわね」
シシィが首を傾げる。が、すぐに何かに気づいたように空を仰いだ。
「誰かが密会に使っているのかも!見られたくないようなことがあるのよ!!」
『どうしましょう!こっそり覗けるところ探さないと!!』
(一国の姫かもしれない方の振る舞いとしてはどうなのかしら?)
「お姉さま、早く!!裏に回って確認しなくては」
ランランと目を輝かせながらドレスの裾をさばきオランジェリーの裏側へと続く小道を指し示すシシィをみて彼女の出自について考えるのをやめたリリーであった。




