関係
栄の家の扉がゆっくりと開いた。
「ただいま、」
「キ、キ、キ、キ、キ。」
「おまえらにも迷惑かけたな…お詫びだ。」
栄は色々食材を買ってきた。
「キ、キ、キ。」
ブロッカーは吸収しようとしない。
「いいんだよ、今日だけだ、三匹で分けな。」
ブロッカーは急いで吸収し始めた。
「お義姉さん、おかえり。」
「うん、ただいま…辞めてきたよ…なんかすんなりだった…」
「そう…ご飯作ってるよ。食べる?」
「うん、ありがとう。もらうよ。」
栄はベルマの料理をゆっくりと食べている。
「グスッ、アルファはそんなにだけど、おまえはうまいなぁ…」
「アルファお姉ちゃんは、君に丸投げしていたって言ってたよ…相当美味しいらしいね…」
「そうかな?自分では分からないけど、アルファはいつも美味しそうにしてたよ…」
「……はぁ、話を変えよう、お姉ちゃんのことは今は思い出さなくていいよ、辛いだけだから。…と、あの子達はどうしてついてくるの?」
「あ、ベルマ、おまえ仕事は?」
「人の話聞きなよ。仕事は、まぁ、辞めた。」
「そっか、どこで仕事してたから知らないけど、また新しく見つかるといいな。」
「うん。」
「………」
「え?私の質問は?」
「ん?あぁ、えっと、あいつらはそうだなぁ、私があの中の丸いやつ、ボルって言うんだけど、あいつがな、私の討伐対象で戦ったんだけど、私は負けそうなって、仕方ないから潔く食べられようと思ったら、急に止まったんだ。そこで私は恐る恐る持っていた団子をあげたら、なんかついてくるようなって、他二匹はそれを見てたらしくて、ついてきた。」
「……桃太郎?」
「そんな感じかなぁ、アルファもよく笑ってたよ。この話で…」
「はぁ…元気出してよ。落ち込んでもお姉ちゃんは戻ってこない。乗り越えなきゃ…復讐するんでしょ?」
「でも、私は一体誰に復讐するべきか分からないよ。私はこのままだとこの機関のサイボーグ全てを殺してしまいそうで…」
「………旧型の君には無理だよ。ネオが出たからね…」
「ネオ?何それ?」
「あっ!それより、お姉ちゃんの部屋から出てきた手紙がある!ちょっと待ってて!」
「あ、うん。」
ベルマはその手紙を取りに行った。
(危ない、危ない、私が開発側の人間だとバレたらヤバイよね?お姉ちゃんは許してくれたけど、お義姉さんはどうか分からないし。)
戻るのに時間はかかっていない。
「はい、手紙…これ中身は読んでない。多分次に会った時に渡そうとしてたんだと思うよ。」
栄はその手紙や封筒が傷つかないように時間の流れが止まったと感じるほどゆっくりとテープを剥がした。
「アルファは昔のものが好きだなぁ…」
(あーちゃん!本当に本当に嬉しい!!ありがとう!!!私、本当は諦めようと思ってたんだ…でも、諦めきれなかった。そんな思いで四苦八苦してる時にまさかのあーちゃんからアプローチ!!びっくりした!!こんなに嬉しいことがあっていいのかと思ったよ!!私本当に本当に嬉しくて…でもあーちゃん、私で本当に良かったのかな?あーちゃんが連れ去れた時も、一緒に仕事していた時も、何もあーちゃんにしてあげられなかった…そんな私を選んで本当に良かったの?あーちゃんは幸せになれる?あーちゃんが幸せになれないなら、私のことはいいよ…気にしないで………でも、あーちゃん、私はあなたと幸せになりたいです。大好きなあなたと一緒なら私はいつだって幸せです。だからできれば選んでほしいな……なんて……)
「あはは、アルファはやっぱりずれてるなぁ、あんなことして選ばないわけないよ……私もおまえと一緒に生きていきたかったよ、おまえと幸せになりたかったよ、何もしてなくなんかない…私にとっていつだってかけがえのない存在だったんだ…おまえがいたから、私は生きてこられたんだよ…」
栄は涙を流し、手紙が濡れる。
「………ねぇ、二人はいつから恋人なの?」
「……いや、ずっと親友だったよ…恋人にならずに結婚だったんだ…」
「でも、かけがえのない存在って…」
「…アルファは私のために自らサイボーグになったんだ…なんて馬鹿なことをしたんだって怒ったよ…それでもアルファは私一人に辛い思いをさせたくないって、一緒に笑いたいって…」
「……家の中でもお姉ちゃんがサイボーグになるのは猛反対されていたよ。理由もお姉ちゃんは言わなかったし、あぁでも、私がやりたいからするんだって言ってたのは聞いた。」
「私は二年生の時に国に拉致されてサイボーグにされたんだ…その拉致されたのが授業中という謎な時間、それをみんな誰も止めてくれなかったよ、アルファ以外は。アルファは必死に抵抗してくれたけど、それでも当時の私たちにとってその人たちは強すぎた…手も足も出なかったよ。私は手足を折られたし、アルファに至っては、何ヶ月も目を覚まさなかったって、それは本当?」
「うん、理由は教えてくれなかったけど、ただ、私が悪いんだって言ってたよ。」
「そうか…そんな目に遭わされてそれでも私と一緒がいいなんて…本当にかわいいやつだよ…」
「お義姉さん、お義姉さんはこの先どうするの?また、誰かと恋をしたい?」
「……したくない。アルファと出来なかったんだ…もう、誰とやっても楽しくない…辛いだけだよ。」
「峰さんは?」
「高嶺はもう論外だ…それこそアルファに申し訳ない…でも、アルファに許される時が来たら…しようかな?なんて……」
「お義姉さん…自分を許す気ないでしょ…分かるよ、よくお姉ちゃんと一緒に三人で家にいたから…私だって君のことは少しくらい分かるよ。」
「あはは、そうだなぁ。」
「そういえば、峰さんとは幼馴染なんでしょ?峰さんも同じ高校?」
「あぁ、そうだよ。私が高嶺と話していると必ずと言っていいほど、アルファは私にくっついてたよ。当時は少しウザかったけど、今思えば、可愛いことしてたんだな。」
「あはは、そんなことしてたんだ…」
「キ、キ、キ、キ、キ。」
「ん?あぁ、食べ終わったのか…でも、それ今日だけだからな?明日からは普通に戻すから、覚悟しとけよ。」
栄の笑顔と共にイヤリングが少しだけ光を反射した。
(うん、少しずつ元気になってきてる…)
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ベルマの思い出
「ベルマ〜!!!」
「何?私忙しいんだけど。」
「ごめんね。急に電話して。でもでも!!聞いて!!」
「うん、聞いてるから。早く言ってよ。」
「んふふー私嬉しいことがあったんだぁ…えへへ。」
「ん?ホントに嬉しそうだね。」
「あーちゃんがね、結婚してくれるって言ってくれたんだよ!!」
「茜さんが?アルファと?あはは、何の冗談?」
「ホントだよ!!ホントに結婚してくれるって!!私ホントに嬉しいんだ。というかお姉ちゃんって呼んでよ。」
「やだ。じゃあ、茜さんは私のお義姉さんになるのかぁ…アルファとなんて苦労するのに。」
「えー、しないよ。」
「アルファは茜さんのこと幸せにできるの?」
「どうだろう?わかんない。自分が幸せになれる自信はあるんだけどなぁ…」
「自分が幸せになれるのなんて大前提だよ。それに加えて、相手のことを幸せにできるのかどうかじゃないかなぁ…結婚って。」
「そうかも…」
「でもさ、良かったね。茜さんも幸せになれると思ったから、OKなんだと思うよ。あとはそれこそアルファの頑張り次第だね。」
「うん!!頑張るよ!!」
「それじゃあ、幸せになりなよ。おや
「待って、ベルマ…ちゃんとご飯食べてる?ちゃんと眠れてる?何かあったらすぐお姉ちゃんのところに来ていいから、ほどほどにね。」
「分かってるよ。おやすみ。」
「うん、おやすみ。」
(全く、心配性なんだから…)
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栄はブロッカーに対して笑顔を向けていた。
(お姉ちゃん…お姉ちゃんが守りたかった人は私が代わりに守るよ。だからどうか、安らかに眠ってね…)
栄の家の扉が開いた。
「キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ。」
「誰だ?勝手に入ってるなんて、非常識なやつだなぁ…」
「お邪魔しまーす。」
ベルマが銃を構える。
「ベルマ?」
「しっ!……きた…これはチャンスだ…待ってたよ…ゴミクズども…!」
ベルマの顔が笑いながら歪んだ。




