再開
「ご馳走さま。美味しかったよ。」
「はい、どうも、」
「なぁ、アルファがなんでここに来れたか知ってるか?」
「どういう意味?」
「私が事故にあってすぐに来れるほどアルファだって暇じゃないだろ、それに今日も休みだって。何か代償をかけたはずなんだけど。」
「……そうだよ。聞いた話だとアルファはこの先数年の休みを犠牲にして昨日と今日の休みをとったらしい。」
「はぁ!?なんだそれ!?」
「多分アルファはこの先数年、たとえ君に会えなくても今君に会いたかったんだよ。じゃなきゃ、こんなことにはなってない。茜ちゃんが倒れるなんて滅多にないからね。」
「………はぁ、そうか。だったら、私も会いに行かなきゃなぁ。」
「うん、友達は大事にしないと。」
「……そうだな。」
(最後にアルファのやつは、やっぱり私としたかったのかな?)
アルファは大きな乗り物に乗っていた。
(あーあ、あーちゃんのかわいい声、最後に聞きたかったなぁ。もう会うのはずっと先かな、あーちゃんは会いには来てくれないし…確かに私の支部の方が規則は緩いからなぁ、仕方ないか。次はいつ会えるかな?あーちゃん…)
そのあと数ヶ月間、何も変化のない日々を皆して過ごした。アルファは本当に休みもなくただただ、指令を全うしているだけであった。
「あー、今日も終わった。流石にこう働き詰めだと精神が参るなぁ。」
アルファはトコトコと街の中を歩く。夕焼けが赤い。
(今日は早く眠れそうだね。あーちゃんは今日どうしてるんだろう?サイボーグ同士の連絡はとってはいけないって言ってたけど連絡したいなぁ。でも、あーちゃんに迷惑かかるし…)
「はぁ…早く家に帰ろう。」
家に着いたアルファはそのまま倒れるように眠りに入ってた。それから少し経った後、呼び鈴が鳴る。
「んー、誰?こんな時に。」
アルファは目が半開きであるが、扉を開ける。
「あはは、寝惚けた顔してるな。アルファ。」
アルファの表情が一瞬にして華やいだ。
「あ、あーちゃん!!ど、どうしたの!?」
アルファは栄を部屋に引きずり込んだ。栄はベッドの上に座る。
「今日は、ただ遊びに来たんだ。」
「遊びに?あーちゃん仕事は?サボったら国から…」
「違う違う。国からの指令でここに来た。」
「え?何で?」
「何でも私らの支部のラボのメンテナンスをするらしくてな、壊れると修理できないからって一週間くらい他の支部に行けって言われた。」
「他の?」
「うん、だからここにした。」
「でも、今遊びに来たって。」
「本当は寮があるんだけど、泊まるとこがあるならそこで良いって言われたから、ここに来た。」
「で、でも、メンテナンスしてるからってブロッカーたちが暴れたらあーちゃん責任が…」
「それは大丈夫、高嶺たちが調査で街の巡回をしてるから、それにブロッカーたちをつけてある。」
「危なくないの?」
「あぁ、ここ数ヶ月で何回かあいつらと他のブロッカーが対峙したけど、あいつらはどうやら、私の味方みたいだからな。」
「で、でも、」
「アルファ、私は国の指令でここに来たんだ。安心しろって。な?」
栄は屈託のない笑顔を向けた。
「あーちゃん…グスッ。えへへ。」
アルファは笑顔である。
(本当は残るって言ったんだけど、高嶺たちが追い出してきたからなぁ。大丈夫だろうか?でも、ブロッカーたちもついているし、アルファの顔も見られたから良しとするかな。)




