始まりのお昼休み
「はぁ~、やっと休憩だ」
薄暗い雲がより近く視える。ホームセンターの屋上に座り込む男。ビルは5階建て、辺りの景色は一望できる。ビルなども見えるが田んぼも視界の一端を担っている。ボサボサの髪、綺麗な瞳に視えるのは一瞬、目全体から漂う覇気のなさが台無し。屋上にはゲインという大きな看板が飾られている。地元では有名なホームセンターだ。そのため平日というのに駐車場は隙間がない。
こりゃ、昼からも忙しくなるな。
大きく息を吸いながら首を後ろに仰け反らす。反動で首を振ると同時に煙を口から吹き出した。左手のタバコが短くなっていることに気が付くと胸ポケットから箱を取り出し中身を確認すると再びため息が漏れる。
「くそぉ、もうきらしている。あと1箱しかないぞ」
怒りのまま空になった箱を無造作に投げると屋上を飛び越え店の入口付近に落ちた。
「これで客が減ったりはしないかな」
愚痴をこぼす男。グレーの作業着の胸元にある名札にはゲインとその下に堀木 健一と記されている。
短くなったタバコを急いで口に加えながらコンビニ袋からオニギリを手に取る。忙しくビニールを外そうとしたその時だった。
薄暗い天気の中、光が漏れ発光する。光は健一を包み込んだ。
突然の出来事に思わず手からオニギリを落とす。
「なっ、何だ!」
驚きの声、自然とタバコは左手に携えている。健一の声は誰からも聞こえているはずもない、それどころか1人しかいない屋上、外からは大きな看板に姿が隠れる。発光を目撃したものさえいないだろう。
お昼休みに突然、健一は姿を消した。




