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28話 強化祭り




 最後の一撃は、切ない。


 そんなどこかの名作ゲームの言葉が浮かんできた。

 あれだけ恐ろしかった赤角熊を下し、俺は達成感というか、ちょっと虚しくなっていた。

 ふ、強くなりすぎてしまったぜ……。


 まぁ、そんな冗談は置いておいて、結構本気で呆然としてます。

 必殺のつもりで放ったキックだったけど、赤角熊なら必ず反撃してくると思ったんだよ。

 まさかそのまま直撃して、しかも倒せるなんて……。

 がむしゃらに突っ込んで暴れてやろうと思っていたのに、この肩透かし感。

 もちろん倒せて嬉しいんだけどね。

 なんだか、実感が追い付いていない。


 レベルが随分上がったようだし、スキルも獲得したみたいだ。

 そんで称号も手に入った?

 まぁ、見てみれば分かる。





《ステータス》

名前:カサンドラ・ヴォルテッラ/菅野 照彦

種族:ブラックスケルトン

Lv.11

HP:850/850

MP:2550/2550

SP:1250/1250

攻撃力:1070+214(-200)

防御力:500

素早さ:6440


◇スキル

『不死属性』『魔力自在』『千思万考』『骨融合』『無手の天才』『足掻く』『中級鑑定』『言語理解』『覗き見』『王の威圧(New)』『呪術』『邪気』『練気』『渾身』『剽悍無比』

『幸運』『根性』『無茶』『豪腕』『物理抵抗(小)』『HP自動回復(微)』『念話』『指導者』

『闇魔法』『斬撃付与(New)』『貫通付与(New)』『超振動(New)』『王の咆哮(New)』

『闇吸収』『恐怖耐性』『毒無効』『麻痺無効』『睡眠無効』『光耐性弱化』

『進化条件解放』



◇称号

【転生者】【重度修行中毒】【融合魔獣】【ユニークファイター】【教え導く者】【恐怖の体現者】【お客様はクレーマー】【王種殺し】





 ……強くなったなぁ。

 以前もレベルアップの時に思ったけど、かなり強化されてるよ。

 これあの赤角熊の《ステータス》の一部を吸収しているんだよね?

 凄い上がりっぷりだ。

 特に攻撃力。四桁の大台に乗りました。

 ていうかもう四桁いってないのがHPと防御力だけなんだよ。

 これ、初期値10とかだったスケルトンとは思えないな。

 本当『骨融合』は恐ろしい能力じゃあ。


 あ、そうだ。俺の腕をさっさと修復しよう。

 上手い具合に赤角熊の死体があるんだから、残った骨は全部使いましょう。

 頭蓋骨から足の指先の骨に至るまで、全部『骨融合』で取り込むよ!



〈 スキル『骨融合』の効果により“ ラースベア ”の固有スキル『金剛力』を獲得しました 〉


〈 スキル『骨融合』の効果により“ ラースベア ”の固有スキル『激怒』を獲得しました 〉


〈 スキル『骨融合』の効果により“ ラースベア ”の固有スキル『煉獄火炎』を獲得しました 〉


〈 スキル『骨融合』の効果により“ ラースベア ”の固有スキル『火炎無効』を獲得しました 〉



〈 スキル『骨融合』の効果によりステータスが上昇しました〉



〈 スキル『豪腕』『渾身』『金剛力』『斬撃付与』『貫通付与』『超振動』の取得により天位スキル『勇猛無比』を獲得しました。『豪腕』『渾身』『金剛力』『斬撃付与』『貫通付与』『超振動』は『勇猛無比』に統合されます 〉



 わぁお、強化祭りですね!

 いや根性だした甲斐があったわ。

 そして《ステータス》チェックが二度手間になったという。

 もっかいチェックですね。

 ついでに新スキルの確認もしちゃおう。





《ステータス》

名前:カサンドラ・ヴォルテッラ/菅野 照彦

種族:ブラックスケルトン

Lv.11

HP:1350/1350

MP:2550/2550

SP:2100/2100

攻撃力:2570+514

防御力:960

素早さ:6700


◇スキル

『不死属性』『魔力自在』『千思万考』『骨融合』『無手の天才』『足掻く』『中級鑑定』『言語理解』『覗き見』『王の威圧』『呪術』『邪気』『練気』『剽悍無比』『勇猛無比(New)』『激怒(New)』

『幸運』『根性』『無茶』『物理抵抗(小)』『HP自動回復(微)』『念話』『指導者』

『闇魔法』『王の咆哮』『煉獄火炎(New)』

『闇吸収』『恐怖耐性』『火炎無効(New)』『毒無効』『麻痺無効』『睡眠無効』『光耐性弱化』

『進化条件解放』




◇称号

【転生者】【重度修行中毒】【融合魔獣】【ユニークファイター】【教え導く者】【恐怖の体現者】【お客様はクレーマー】【王種殺し】



『王の威圧』

 王種固有スキル

 王種ではない対称への『威圧』の成功率が100%となる。



『王の咆哮』

 王種固有スキル

 敵対者に『威圧』を放つ。恐怖状態になった敵対者に応じて、味方と認識する対称の《ステータス》を上昇させる。



『激怒』

 上位スキル

 激しい怒りを感じた時、《ステータス》を大上昇させ、全身に『煉獄火炎』を纏う。

 狂化の状態異常に陥る。



『勇猛無比』

 天位スキル

 攻撃力を極大上昇。攻撃力の成功率極大上昇。

 攻撃に任意の効果を付与できるようになる。

 SPの消費に応じて攻撃力を極大上昇させる。



『煉獄火炎』

 上位スキル

 MPを消費し、煉獄の炎を召喚する。

 この炎は自らをも焼いてしまう。

 純粋な力としての炎である。




 『火炎無効』はそのまんまだから省略しときましょう。

 しかし、なんだかとんでもないことになっちゃったぞ。


 赤角熊の骨を融合させたことで《ステータス》が軒並み上昇し、もう四桁に入ってないのは防御力だけ。それも1000まであと僅か。

 そして『剽悍無比』に引き続き手に入りました天位スキル『勇猛無比』。

 攻撃力がぶっ飛びました。

 『無手の天才』のプラス分を換算してもまだまだ素早さの半分にも及びませんが、上昇率を考えれば将来的に追い抜く可能性もありますよ!


 やべぇ、王種とやらが美味すぎる。

 他に王種っていないのか?

 赤角熊がもう二、三匹出てこないかね?

 《ステータス》がアホみたいに上がっちゃったから、多分もう敵じゃあないけどね。


 スケルトン強いな。

 誰だよスケルトン弱いだなんて言ったヤツ。

 強いよ、強すぎるよ。

 もうこの島支配できるよ。

 俺が新たな王になれるよ。

 うぅっふーぅ!

 テンション上がるわー!


 やっぱ強くなるっていいな。

 努力というよりかはスキルの力でモリモリ強くなってるんだけどね。

 お手軽感があるのが少しだけ気に入らないけどね。

 それでもやっぱり強くなるって嬉しい!

 もちろんお手軽な『骨融合』を狙って狩りをするなんてことはしないぜ!

 あくまで俺は修行の人。

 狩りはエルカ族やその他の亜人の平和と、人間への手土産の為であり、俺が手軽に強くなることは目的じゃあないのです。


 あ、自分で言って人間の生存圏に渡ること思い出したわ。

 手土産とかすっかり忘れてたわ。

 どうしよう。この熊の皮とかでいいだろうか?

 んー、剥ぎ方も鞣し方も知らないよ。

 ボスモンスターだから良い素材になると思うんだけどなぁ。


 流石にここら辺はゲームとは違ってモンスターに触れたらインベントリが開いてアイテムが取れたり、死体が宝箱になったり、ということはない。

 素材が欲しければ自分で剥がなければいけないのです。はぁ。


 俺にそんな技術は無いよ。

 大人しくエルカ族の集落に持って帰って剥いで貰おう。

 確か女性チームがよく皮を鞣していたはず。

 そうと決まれば即実行。

 赤角熊の死体を肩に担ぎ、俺は歩きだす。


「ギュウ! ギュウ!」


 帰ろうとする俺の背後から、何処かで聞いたことがあるような動物の鳴き声が聞こえた。

 振り返ると、角が折れた肉食ウサギが俺を睨み上げて鳴いていた。


「ギュウウイ!」


 あー、俺が赤角熊を殺したことを怒ってるのか?

 それとも死体を持ってくなって?

 すまんね、これも野生の習いよ。

 生存競争に俺は勝ち残り、この熊は破れた。

 勝った以上は、殺した命をしっかり有効活用し、肉の一片までも残さず食べて差し上げなくてはならんのよ。

 それが供養ってもんです。


「ギュウ! ギュウ! ギュギュギュ!」


 角折れウサギは遂には俺の前に回り込んで抗議するように跳び跳ねた。

 分からんやっちゃねー。

 どうしても欲しけりゃあ力尽くで奪うしかないでしょ?

 それが野生のルールなんじゃないのかい?

 俺だって両腕砕かれてまでしてやっと手に入れた戦果を早々簡単にあげたりしないの!


 例外はヤディカちゃん。

 ヤディカちゃんがどうしても必要と言うなら上げます。

 何故ならばあの子を甘やかすのはカサンドラ王国の国是だからです。

 ご両親と触れあうことが出来るようになって、今までの時間を取り戻すようにたっぷり甘やかしてもらってるみたいだけど。

 それくらいではヤディカちゃんが頑張り続けた月日には足りない。

 まだまだ一心不乱の甘やかしが必用なのです!


 まぁ、簡単に甘えてくれないんだけど。

 あの子も努力型だからなー。

 もっと子供らしく遊んでも良いと思うんだけど、修行したり組手したりやってる時の方が表情がキラキラしてるもんなぁ。

 まさか……、俺の所為か?

 俺が修行ばっかしてるからヤディカちゃんがそれ見て真似するようになっちゃったのか!?

 【修行中毒】も感染っちゃってるしね!


 か、帰ったらヤディカちゃんと遊ぼう。

 子供チーム総動員して、全力で遊ぼう。

 よし、今から計画を練るんだ。

 うっかりすると修行になっちゃう危険がすごく高いからね!

 鬼ごっこのつもりが森中を使ったサバイバルになるとか、缶けりが隠密合戦になるとか、ドッチボールが模擬戦闘になるとか。

 最悪大人チームも交えた本気の戦闘訓練になるかもしれん。

 うむ。我ながらとても鮮明にそんな未来が思い浮かぶな!

 これじゃあいけない。

 ヤディカちゃん皆でちゃんと遊ぼう作戦。

 略してY.M.C.A.作戦確実にするために、全力を尽くすのです!


「ギュウイ!」


 なんだ君、まだいたの?

 もう良い子は帰る時間ですよ。早く家へ帰るんだな、お前にも家族がいるだろう。


 角折れウサギくん、もう諦めなよ。

 君が俺と戦うなんて、レベル1の俺が赤角熊に挑むよりも無謀だから。

 悪いこと言わないから、マジで。


 ん……?

 なんだかよく見ると様子がおかしいな。

 怒ったり悲しんだりしている感じじゃない。

 挨拶……、そう、挨拶をしようとしている様に見える。

 え? 俺に?


「……何か言いたいことがあるのか?」

「ギュッ、ギュウ!」


 すまん、まったく分からん。

 多分角折れウサギくんも俺が言ってることを理解してないな。

 うん。

 面倒だ!

 俺はこれからY.M.C.A.作戦を漏れのない完璧な作戦に仕上げヤディカちゃんに楽しんでもらうという大切な用事があるのだ!

 意思疏通の出来ないウサギに用はない!


 だから君は置いていきます。

 ふぅーわははははは!!

 見たまえこの素早さ6700の圧倒的な速度を!

 角折れウサギくんなど既に遥か後方。

 追い付くどころか影を踏むことも出来まい!

 ぬはははは!


 本当に、素早さ6700という数字は伊達ではない。

 エルカ族の集落からここまで、来るときは一日かかったというのに、全力で走ったら十分で着きました。赤角熊を抱えたままで、です。



「おぉ、カサンドラ殿。因縁のあるモンスターと戦ってくるとのことでしたが、どうやら無事快勝なされたようですな」


 おんやぁ? 俺、瞑想してくるって言わなかったっけ?

 バレてたのねー。



「ただいま。村長。私が居なかったのは一日だけだが、変わったことはあったか?」

「いえ、特にございませんな。皆、狩りか修行に明け暮れておりますぞ」

「そうか。それならばいい」


 うーん、狩りか修行かぁ。

 そうなんだよねぇ、もともと農耕民族みたいなエルカ族だったけど、鍛えまくったから狩猟民族みたいになってるんだよねぇ。

 エルカ族を筋肉の塊にした俺が言うことじゃないけど、今まで耕してた畑全部ほっぽりだすのは良くないと思うんだよね。


 俺がそんな懸念を伝えると、村長は笑って安心して下されと言った。


「しっかりと役割を決め、交代制で畑も見ておりますぞ。まぁ、以前よりも縮小致しましたが、その分は狩りで充分賄えておりますな」


「モンスターも先を見ずに狩り続ければいずれ絶滅してしまうかもしれないからな。自分で食料を生産できる手段は絶対に必用だ」


「ほっほっほ、理解しておりますよ」



 マジか、理解してんのか。

 凄いな、人間なんてそれを理解する前にどれだけの種族を絶滅させたことか。

 偉い人や知識人だけが理解してるんじゃなくて、その場の生活に根差している人たちが理解していると言うならば、ろくな知識がない俺が心配することではないな。


 まぁ、それはそれとして。


「村長。話がある」

「ほほ、なんですかの? そのモンスターの処理ならばこちらで承りますぞ?」

「それは是非お願いする。私がやったら商品にならないんだ」


 そこは期待してましたよ。

 本当にもう伏してお願い致します。

 この熊の皮を商品に仕手やってください!

 手間賃として熊肉を進呈致します!

 でも味見はさせてください!


 しかし、話したいのはそれだけではないのだよ、村長くん。


「村長。考えていることがあるんだが……」

「ほほぅ? 何やら面白そうな匂いがいたしますなぁ」

「うむ。まさにそれだ。面白いことをしたいと思っている」

「是非お聞かせください」


 村長の食い付きが思ったよりも良くてびっくり。

 そうだよねー、生活が安全で安定したら、次に求めるのは娯楽だよねー。

 エルカ族の場合、修行と狩猟が娯楽になってたんだけど、やっぱ現代日本の知識がある者としてはね。もっと求めたいよね。


 では、村長を交えて始めるとしよう。

 Y.M.C.A.作戦企画会議を!




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