11.5 作間 淳平
東京の夜の繁華街には、俺と似たような奴が多くいたんだ。ろくに学校へも行かず、路上でたむろして、恐喝や暴力に明け暮れる日々。気に食わなければ喧嘩をふっかけて従わせる。従わなければ、徹底的に潰した。そこに仁義もなければ大義名分もない。ドブネズミのような面立ちで赤い薔薇のような情熱もない。
過剰に薬を摂取する奴、その日しのぎの売春に勤しむ奴は路地裏へ消えて行く。闇金に手を出した奴はとことん追い込まれて、夜逃げを図ろうものなら、その親子もろとも奪われる。汚ねえ大人社会から逃げて来た奴らは、またクソみてえな大人に搾取されるんだ。
当然さ。
因果応報、自業自得な報われない奴ら。社会は弱者に厳しいんだ。頼れるまともな大人はどこにもいない。それが世の常、世の理だろ?
それでいいんだ。
本来、それが動物の生き方じゃねえか。弱肉強食、食われる奴が悪い。救いなんてねえよ。弱い奴らが悪い。───弱い奴らが悪いが、それを救えるのは俺らみてえな悪人しかいない。俺がやって来たことは、暴力という手段であり、仏や神のような救いの手じゃない。それでも救われた奴が一人でもいればと思っていた。それがある種、社会に対する必要悪だと信じていたんだ。
いつのころか、どうしてこんなにも世の中が腐っているのかを考えるようになっていた。俺の目には、この世界がやけに汚れて見えたんだ。
ある日、親父が田園都市ユートピアのばあちゃん家へ引っ越すように勧めてきた。今、思えば親父たちは啓示現象が起こることを知っていたんだろうな。なぜ知っていたのか、結局、聞けなかったが。
ばあちゃん家に初めて訪れたとき、俺の見えていた汚れた世界が晴れてゆくような感じがした。無垢な子どもたちが駄菓子屋の前で遊んでいる。その無邪気で楽しそうな子どもたちの表情に、俺は感動した。そして、この場所を守りたいと強く思った。




