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異世界ネコ転生! ゲーム世界に転生したら、ネコでしたが、くっそ強いロリ美少女のお供として、俺は生き抜くっ!  作者: MITT
第二章「クロネコの章 グラドドドス討伐戦編」

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第十六話「空のまにまに」②

「お、いい感じに安定してきたし、高度も下がってきたね。やっぱり、魔石だけでも全然問題ないんだね……。こうなるとユリアちゃんの場合、定期的に魔石をフルチャージして、後はサボってても大丈夫そうだね」


「なんか、そんな感じもしますね。でも、ナスルさん、すみません……お手数おかけしてしまって……」


「いえいえ、人には得手不得手がありますから。その代わり、私は魔物と戦えるような技術も力もありませんからね。ユリアちゃんの足りないところを補う。それが私達と思ってください」


「さすがナスルさんです! 皆のお姉さんなだけはありますね!」


「そうだね。まさにサポート職人って感じだよね。と言うか、その精密魔力制御技術、ボクから見てもハンパない繊細さだよ? こんな凄腕がシレッとC級とかに居るとか、帝国の冒険者も侮れないね」


「あはは、私も治癒術士として長年やってますからね。治癒術って、繊細な魔力微細制御が要求されるんで、これくらいならなんとかってところですね」


 俺は治癒術とか詳しくないけど、アマリリスなんかも、傷を塞ぐ場合は魔力で傷口を覆い隠すとか、糸をイメージした魔力で、縫い合わせる感じでやるらしい。


 ナスルさんとかになると、千切れた手足を繋ぎ合わせたり……神経系の再接続とかもやってるだろうから、半端ない繊細さを要求されるってのは、想像に難くない。


 まぁ、なんにせよ、ミレニアムちゃんとナスルさんがフォローに付いてるから、ユリアちゃんも問題なさそうではあるね。


 ユリアちゃんも直接魔力供給を行い続けるんじゃなくて、定期的に魔石にチャージする運用にして、魔石から魔力を取り出すのは、繊細な魔力制御が得意なナスルさんがやると、役割分担することにしたらしい。


 なるほどね……これは悪くない運用だな。


 ダンテといい、ナスルさんといい……ホントいい拾い物だったよな。

 ホント、このままユリアちゃん専属冒険者って事で、長期雇用契約とかも考えてもいいかもな。


「クロイノ君、そろそろ、ダンジョン上空に到達する時間みたいなんだけど、ちょっといいかな?」


 暇そうにしてたら、隅っこの方でガサゴソやってた、ミレニアムちゃんが声をかけてきた。


「おお、もうそんな時間か。まったく歩いて二日の行程も飛行船だとあっという間だな」


「そうだね。そろそろ、目視でもダンジョンの周りも見えてくるんじゃないかな、ちょっと下に行って見てきてくれないかな。そこのハッチ……どうも、見張り台に通じてるみたいなんだけど、ボクじゃ無理そうでね……」


 ミレニアムちゃんはすでにチャレンジしようとしてたらしく、床のハッチが開いたままになってる。

 何やってるのか思ったら、そう言うことだったのね。

 

 ハッチの中を覗き込むと、高さ30cmくらいの隙間しか無い。


「こりゃ、どう見ても、人間様用の通路じゃねぇな……おっけ。俺に任せときな……」


「やっぱり、そこナックル用の通路だよね? ごめん、ちょっと行って来てっ!」


 ミレニアムちゃんに拝むようにお願いされる。

 まぁ、俺の仕事っても特に無くて、暇だったしなっ!


 ブリッジに居たのは何となくで、ジルやアーニャみたいに昼飯用のじゃがいもの皮むきでもやってても良かったって思ってたからな!


「あいさー。まぁ、俺らならこんな隙間余裕だっつのー」


 言いながら、床下に潜り込む。

 高さ30cmとか、人間にはキツいけど、俺らは四足になれば余裕だからな。


 ちなみに、ネコって10cmくらいの隙間でも軽く抜けてくるからな。

 柔らかボディは伊達じゃねぇのよ?

  

 床下はもうペラペラな鉄板一枚下がもうお空の上なんだが、支柱の鉄骨があるからそこに沿って歩くのが、多分コツ。

 実際、鉄骨に沿って肉球マークが点々としてるから、そう言う運用だったらしい。

 

 通路には、明かりもないけど、前の方から光が射してるから問題ないね。

 何気に綱渡りやってるようなもんなんだが、尻尾がオートバランサーみたいに勝手に動くから、なんか余裕。

 

 まぁ、この手の見張りや対地監視は目のいいナックルの仕事だからなぁ……。


 やがて、船首ギリギリのせっまいガラス張りの床になってる見張り部屋に辿り着けたので、窓にへばりついて下を見る。

 

 なにげに激しくデンジャラスな場所なんだが、ガラス板の上にもちゃんと鉄の支柱が入ってるから、ガラスが割れても落っこちることはない。

 

 まぁ、大丈夫って解ってても足元丸見えなこの光景は、タマヒュン感覚がしてならんのだがね。


 ……あれよ。

 どう見ても映像のユーチューブ動画とかで、吊橋渡りまーすとか、ビル渡りやります! とか見ると、大抵のやつが同じ思いをするはずだぜ?


「おう、俺だ! 見張り部屋に入ったぞ……コレどこに通じてるんだ?」


 伝声管があるので、蓋開いてとりあえず、声掛け。

 まぁ、二本しか無いから、一本はブリッジのどっかだろう。


「なんだ、クロイノかよっ! おお、丁度良かった……下方見張り部屋があるって聞いてたんで、誰かに行ってもらうつもりだったんだ」


 ダンテの声ってことは操舵手席か。


「一応、言っとくけど。ここナックル専用って感じだぞ。くっそせめぇええええっ!」


「そ、そうか、すまんな……とりあえず、そこから下は見えるか? 高度は地表基準で4000m、グラハムアイランドからだと、3000m上空でまぁまぁの高さだな……まぁ、今は浮力も絞ってるから、どんどん降りていってるけどな。なにか目標物は見えねぇか?」


「ああ、見えるには見えるが、下はなんか灰色一色って感じだな。なんか分厚い雲が出ててきてるみたいだな。これじゃ、全然解かんねーよ。ダンテ、雲の下に降りられるか?」


「どのみち、そうせざるをえないな……。姫さん、ナスル……浮力はやや下げで頼む。ナックル共、両翼目一杯広げっ! 両舷翼角ダウン、角みっつ! 両舷全速……前傾姿勢にして、一気に降りるぞ。クロイノ! 対地警戒頼むぜ! こっちからは真下なんて見えないからな! お前がタイミング指示してくれ!」


「解ったぜ……いきなり責任重大だな」


 ちなみに、飛行船って、各部所とのやり取りは基本、伝声管。

 

 通信札ってトランシーバー的な便利なものもあるんだが、あれって2枚セットで通信する代物だから、軍艦みたいに一人であちこちに指示出すような感じだと、もうグダグダになるとかで、意外と飛行船では、この伝声管方式が根強く使われてる。


 なお、翼の角度調整とかは人力ならぬナックル力で操作する。


 ハンドルをぐるぐる回すことで、ゆっくりと翼全体の角度が変わるようになってる。

 ハンドル一回転で一度とかそんな感じでナックルが直接操作してくれる。


 要は伝声管でナックルに指示すると、向こうは何も考えずに指示通りの操作をやってくれるって訳だ。

 

 推進力のプロペラの回転数調整も、機関室に直接指示して、調整。

 マンパワーをフルに使ったチームワークが重要な昔ながらの操艦方式ってとこだな。


「……おぉ、雲の中に入ったな……。まだ辺りは真っ白だ。座標はあってるのか?」


「計算上は合ってるはずだぜ? 多分そろそろ抜けると思うが……こりゃ普通の雨雲じゃないな。抜けたら、いきなり地面スレスレって事もありうるからな。各員、すぐに動けるよう警戒待機! ユリア様も緊急上昇が必要かもしれねぇから、魔力直接供給の準備頼む!」


 ダンテも結構有能。

 冒険者になる前は、交易船の船員やってたとかで、一通りの仕事経験してて、俺らにもちゃんとレクチャーしてくれた。


 帝国の飛行船では、このナックル作業員による操艦ってのは割と一般的で、ナックルのお仕事でも給料良かったりで、割と人気職だったりするらしい。


 まぁ、俺ら体重も軽いし、コンパクトだから、作業部屋も狭くても文句言わないから、人間の作業員使うよりも全然いいって事なんだろうな。


 用語なんかも教えてくれて、翼角調整なんかもアップひとつってのは、翼の角5度アップって意味で、アップ三つは15度上げろって意味。


 機関出力は、全速がフルスロットル。

 半速はハーフ、微速はアイドル。


 まぁ、操舵手もざっと三段階くらいで指示するんだが、機関室側ではギアチェンやら蒸気機関の出力を微調整しつつ、リクエストに応じる感じ。


 機関室は、機関の左右にファンがあって、ギアとかシャフトで接続されてて、その回転数を調整して推力を調整するんだが。

 出力バランスを調整することで、船体も左右に振れる感じになってる。


 ダンテの居る操縦席の舵輪は、船首側の操舵フィンとワイヤーで繋がってるんだが、船と違って、舵を切ってもそこまで派手に曲がらないから、限りなく飾りなんだとか。


 この世界って、船なんてほとんど使われないまま、飛行船という形で独自進化しちゃったから、その辺地球とは随分違うらしい。

 

 まぁ、なんだかんだでだいぶまとまってきたし、ダンテも昔の勘を取り戻してきたとかで、いい感じになってきてる。

 

 まぁ、泥縄チームなのは、否めないから、何かとグダグダなのはしょうがない。


 ……不意に、視界がひらけて、森の木々が割と目の前に迫りつつあった。


「雲を抜けたぞ! か、かなり近いぞっ! 上昇転舵! アップアップッ!」


「了解! こっちでも見えてる……やべぇな、こんな雲が低かったとはな……。両翼角一旦水平戻し、そのあとすぐさまアップひとーつっ! ナックル共急げっ! 機関室、両舷微速まで推力落としてくれ! 各員とにかく、船体姿勢を水平に保つ事を優先してくれ……ユリア様とナスルは出力そのまま、とにかく浮力の安定が最優先……なぁに、まだ慌てるような時間じゃねぇぜ?」


「は、はいっ! 頑張ります……さすがに地面が見えてくると緊張しますね……」


 ユリアちゃんの不安そうな声が聞こえてくる。


「そうですね……けど、ダンテも元本職ですから……信じてあげて下さい」


「そうですね! なんか、ダンテさん、船長さんみたいでカッコいいです!」


「へっへっへ、ユリア様にそんな風に言われると、ちょっと照れるぜぃ……まぁ、ここは俺らにまかせとけ!」


 ユリアちゃんって、物語の中の人大好きっ子だから、目の前でかっこよく指示出しとかしてるのを見るだけで、大はしゃぎって感じ。

 

 キモが座ってると言うか、のんきと言うか……。


 しっかし、操舵手って舵輪持って、グルグルやる仕事だと思ってたんだが、やってることは口頭指示の連続で、意外といえば意外だった。

 

 機関室も両翼もナックル作業員が操作してんだが、アイツらもよくやってくれてるよ。

 伝声管が開いてるみたいで、ダンテのとこを経由してるのか、腹減ったみたいな感じで、のんきにニャゴニャゴ言ってるのが聞こえてくる。


 むしろ、この程度余裕らしい。

 こっちはヒヤヒヤものなんだがな。


 ……海の男共ならぬ空のネコ共もなかなかキモ座ってるんだな。


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