第22話
「ふぅ…ついたー!」
朝早く出発し、夕方には着いた。途中で馬車を拾えれば良かったのだが運が悪かった。それでも間に合ったのだから、結果良しだろう。
「来た事はあるんだろ?」
「うんっ、案内は任せて」
王城街ヨンリ……大陸中央にそびえ立つ、巨大な王城を核にした大規模な街。最新の技術が集結した街、人の賑わいは夜も絶えることがない。ヨンリに住む王族の警護を騎士達が受け持っていることもあり、街には騎士が多く見られるが、そのほかの剣術士もまま在る。
背の高い家々が多く、殆どの建物が三回建以上、白石造り。白都とも呼ばれる。
彼女の後ろをついていく。結われた後ろ髪が揺れる度に、なんとなく笑ってしまう。
ザ・それなりの宿、という宿へ。時間が遅かったのもあり、その日はこれで終わりとなった。
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白都はその日、人に溢れ賑わっていた。というのも本日世界は『王女生誕祭』という祝日であり、街の中央部では祭り化粧がされ、ここぞとばかりに商人達が声を上げて屋台を営業、我こそは、と世界中から踊り手歌い手が集まるという、片田舎から飛んでくる人もいる大きな祭りの日だからである。
馬車も風使いによる転送も人気で、取れなかった者は歩くしかない。彼らは運悪くそうなってしまったが、それでも宿が取れただけ幸運だろう。
身なりの良い少年少女が駆けて行き、紳士淑女も百を優に超える。彼らは側からはカップルに見られているのだろうか?
「…ないな」
「うん?どうしたの?」
「いや、なんでもない。少し早いがステージにもう行くか?」
「うんっ!前の方で見られるといいなぁ」
宿を出て少し歩くとすぐに人混みが姿を見せる。
「…うわ」
「人、多いね…」
「…ユウ」
「うん?」
「そこらへんの屋根伝っていけば?」
「あー…でも、澪はどうするの?」
「まぁ俺は普通に行くけど」
「うーん…いや、いいよ。あんまり目立つことしたくないし、人混みもお祭りのアトラクションの1つだよ」
「そっすか。…道はこのまま真っ直ぐで良いんだよな?」
「うんっ」
ならせめて盾になろう、と人混みの前で彼女の前に出る。2人は息苦しくも人混みを潜り、数分で街の中央、ミクナの集会所とは段違いに大きな広場に辿り着いた。
噴水を中央に据え、ベンチがいくつか。十字路の中央のそれは城下町南区画の中央地点。噴水から南西には大規模な雑貨店。南東には大衆食堂。北西には富裕層御用達の宿があり、北東に、彼らのお目当、赤と白で彩られた大きなステージ。
既に人はちらほらといたが、それでもかなり前の方だ。騎士が数人ステージ前に立っており、先日の子供のようなことが起こらないようにしている。まぁあれも守衛がいたが。
ステージの下、地の神秘で作られた柵の手前、真ん中より少し右にずれた場所に陣取った。
一時間ほど雑談で潰し、人が集まり始めた頃。予定時刻よりもすこし早めにステージは始まった。
…数日前に聞いたばかりの同じ曲。だがそれでも、もう一度聞きたくなったのだから仕方ない。
「―――?」
不意に、空を見上げた。…雲の割れ目から何か『黒』がその顔を覗かせる。
…遠すぎてよくわからないな。




