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もしかしてこれって異世界転移?  作者: ぬか漬けプディング
第三章 王都 アスガルド
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[106話] 鏡写しの姉妹

ざっくばらんに説明


ムガル:謎多き生物。外見はオオカミっぽい。

    噛まれた所から麻痺が広がる。この症状はムガルの呪いと呼ばれている。


スミス:上の動物に噛まれた。



9月13日     AM3:13


夜。

ニメ=フルフィアの人々は寝床に付き、またアリノもその一人であった。


・・・・・・・・・・・・・・

森の中をひたすら進む。

闇が彼の行く手を邪魔しようとするが、彼の歩みはソレ如きでは止まらない。


彼は木の幹に手を付き、乱れる呼吸を整える。


...この辺りなら街にも被害が出ないだろう。

男は目を瞑った。

瞼の裏に二人の顔が浮かび上がる。

一人はショウヘイ。

もう一人は...見たことが無い少女だ。

髪は黒く、ロングヘア―であり、肌は白い。


彼女は一体...?


その瞬間、灼熱と共にアリノの意識は途切れた。


・・・・・・・・・・・・・・

「っ!!」

アリノは跳ね起きる。

乱れた呼吸を落ち着かせながら先ほどの夢について考える。


何だ今の夢は...。

彼の額から流れた汗は布団の上で固く結んだ拳に滴り落ちた。


―――――――――――――――――――――――――――

9月13日     PM3:26


王都アスガルドにて。

金髪を腰ほどまで伸ばした少女が寝ている。

マチルダだ。


彼女のお気に入りである黒を基調とするゴスロリ風のドレスは丁寧に畳まれてベッド近くの椅子の座面に置かれてある。


因みに彼女が現在着ている衣服については彼女の尊厳のため敢えて言及しないでおこう。

...それはそうと彼女は夢を見ていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私は黒い空間に立っていた。

それはまさに漆黒。

その闇は感覚を狂わせ、空間の大きさを識別できなくしている。


その空間には私以外、何も無い...いや一つだけあった。


それはまるで鏡合わせ。

そこには私がいた。

いや、違う。

私には分かる。


彼女は私の妹、イザベラだ。



彼女の姿は闇の中にも関わらず鮮明であった。

「...どうして今まで私の前に姿を現さなかったの?」

「......。」

私はイザベラに問い詰めるが、彼女は黙ったまま。


「なんで黙ったままなの...。」

「...話さなくても分かるでしょ?私たちは双子よ。」

いや、そうなんだけど...

「あなたは私で私はあなた。」

「どういうことなの...」

「大丈夫。いつも一緒よ。」


徐々にイザベラの姿は闇に飲み込まれる。

「待って!まだ話さないといけない事が...」

私は彼女に向かって手を伸ばす。

しかし何も掴むことが出来ない。触れられない。


必死に手を伸ばす私を見てイザベラはクスクスと笑う。

「大丈夫。マチルダは絶対私を見つける事が出来るから。」

彼女は短くそう言い残し、闇に消えた。


・・・・・・・・・・・・

「ハァッハァッ...」

マチルダは目を覚ました。

呼吸は乱れている。

胸に手を当て、呼吸を鎮める。


...そういえばイザベラが言っていた言葉の意味は何だろう...。

あなたは私で私はあなた...?

意味が分からない。

突然彼女を頭痛が襲った。


「っあ...」

頭の内部をシェイクするかのような感覚。

脳のキャパシティーを超えた痛みが彼女の意識を遠ざける。


遠ざかる意識の中、マチルダはイザベラの声を確かに感じていた。


―――――――――――――――――――――――

9月13日     AM8:23


朝。

ショウヘイは目を覚ました。


昨日付けられたムガルによる噛み傷は完全に消え、痛みも取れていた。

「...やっぱ傷の治りが速いな。」

身体に巻いてある所々血が滲んだ包帯は動きを阻害するだけの物に成り下がったため、ベッドの上でそれを外す作業に入る。


...そういえば双子、それも一卵性双生児は遺伝子がほぼ同じであると聞いた事がある。

彼は見知った双子の姉の姿を思い浮かべた。

魔術は遺伝子によって発現する種類が決まっているらしい。

つまり同じ遺伝子を持つ個体は同じ魔術を発現するという。


「見分け付かないじゃん...」

イザベラを見つけたとしても新たな問題点が浮上しそうなことにショウヘイは嘆息するのだった。


――――――――――――――――――――――――――

9月13日     AM8:34


「で、ムガルの呪いを解除するにはどうすればいいのさ。」

シルフィンは口いっぱいに物を詰め込んだ状態で訊ねた。

...器用だな。コイツ。


「ん~...魔術を解除するには魔術を使用している人物を殺害するか魔力切れを狙うしかないね。」

お行儀が悪いよとシルフィンを窘めながらスミスは言った。


ならばスミスに現在も魔術を掛け続けているムガルを仕留めるしかないだろう。

ムガルが発見されて150年ほど経つというがムガルに噛まれて助かった人物がいるとは記録に残っていない。

ムガルに対して魔力切れを狙うことはほぼ不可能なのであろう。


...いや、待て。

「なぁスミス。お前を噛んだムガルはその時ちゃんと仕留めたよな?」

「え...あぁ確かにそうだね、アリノ...。ん?待てよ?」

俺の指摘によってスミスは気付いた。


そう。

スミスを噛んだムガル...現在呪いをかけ続けていると思われる個体は既に()()()()()()()()()()()

であるならば呪い...つまりは魔術をスミスに掛け続けているのはどの個体なのだろうか。


――――――――――――――――――――――――――

9月13日     AM9:05


「「「「......。」」」」

部屋の中は沈黙だけが木霊していた。

話の内容は現在スミスに魔術を掛けているムガルを見つけ出す方法で止まっている。

そもそもムガルがどのような手段で人に魔術を掛けているのか判明していないのだ。


単純に考えると森のムガルを死滅させれば良いのだが森は広大であり、そこに住むムガルは予想が出来ないほどの数だろう。

仮に死滅させた所でスミスに掛かった魔術に供給されている魔力がどこから来ているものか不明であるため呪いの進行が必ずしも止められるとは限らない。


「なぁ。一回別の視点から物事を見ようぜ。」

ショウヘイが言った。

「スミスに魔術を掛けているムガルを見つけて殺すことは諦めよう。無理だこんなもん。」

手を息を吐きながら彼は吐き捨てた。

「!!ちょっと、スミスを見捨てるというの!?」

シルフィンは声を荒げる。


「まぁまぁ待て。人の話は最後まで聞くように教わらなかったか?話はこれからだ。

 つい先日、タナカ大魔王を捕まえたよな?」

ショウヘイの言葉に俺を含めた面々が頷く。


「元々殺害する予定だったが捕獲することになった原因覚えているよな?」

「傷が回復するからだろ...? まさかお前...。」

俺はショウヘイの言わんとすることに驚愕する。

確かにアレの力さえあればムガルの呪いは解除できなくとも手足の麻痺は治るだろう。


「でもあれはタナカ大魔王が保有している魔術じゃないのか?アイツと同じ魔術を獲得するのは不可能だろ」

俺はショウヘイの考えを否定する。


「魔術は遺伝子によって決まっているらしいな。

複数の魔術を有するのは一つの身体に複数個の異なる遺伝子がないといけない。つまり理論的に不可能だ。

つまり魔術を複数個持っているアイツには何かウラがある。

アイツの尻尾さえ掴めば呪いに侵されたスミスの身体は治るはずだ。」


まぁ...。確かにそうだな。


「よし。じゃあこの方法で行こう。反論は無いな?」

ショウヘイは俺を含めた三人の顔を見渡す。

一同は頷いた。


――――――――――――――――――――――――――――


いまから500年前以上の事だ。

魔術による技術により、この星の人類は繁栄を迎えた。

年中食べ物に困らなくなった。

その身を脅かす外敵も存在しない。

まさに人類の繁栄の勝利であった。

人類がこの星全ての存在に打ち勝った。


そして人類は自惚れた。

その身では有り余るほどの財を築こうとしたのだろう。

人工生物を元に大量破壊兵器を造り戦争が始まった。


数多もの国々がこの星の上で争い、一つ一つと文明が消滅した。

その最中、このままでは人類は死滅すると危機感を抱いた者がいた。

それはこの世界の地形、天候、生態系を元に鏡面世界(アナザーワールド)を作った。

その鏡面世界(アナザーワールド)の名前こそが地球である。


この地球に人類がいつでも避難できる箱舟(シェルター)として活動できるように星の管理者兼労働力となる新たな人類がその人物の手によって作られたのだった。



ハイどうもこんにちは。ぬか漬けプディングです。


唐突ですがカサブタを初めて剥いだ時のことを覚えていますか?

私は忘れました。



これで後書きを終わります。

ここまでお読みいただきありがとうございました。それでは!!

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