第51話 新たな旅立ち
幾たびも打ち出される豚と花マーク。
しかし、それでもオークの群れはあまりにも強大だ。
地面を覆い尽くす大行進は止まらない。
それを目の当たりにしたアッシュは絶対防御のはずの大聖女が張った聖壁をなんの障害もないかのように通り過ぎて、亜人達の列に歩いて行く。
真ん中の猫人族のミイの前に立つアッシュ。
「やあ、はじめまして。皆を助けてくれてありがとう。後は俺が引き受けるよ」
アッシュが礼をする。
「おお!」
「これが駒本家の!」
「凄い威力だ」
亜人の人達がアッシュの会釈に度肝を抜かれる。
全員がアッシュの礼を参考に真心を込めて会心の会釈を発動する。
それを見ているクラスメイト達。
「なんか、みんなで会釈のしあいか?」
剣鬼が言う。
「ああ、会釈教の儀式らしいよ」
エディが解説する。
アッシュはニッコリ笑う。
「やあ、ご丁寧にありがとう。じゃあ、その素敵な礼にお答えしてとっておきの魔法を披露するよ。
世界初の大魔法。
世界魔法、大浄化!」
アッシュはどこまで真剣か不明なことを大音声で宣言する。
レディがアッシュの横で大きく頷く。
アッシュは大仰な動作で大空いっぱいに巨大な魔法陣を描き始める。
それは言わずと知れたマーク。
アッシュが杖を振るとマークは巨大化し、空いっぱいに広がって行く。
「発動!」
叫んだのはアッシュではなくレディだ。
「「「「発動」」」」
次に亜人達が合唱する。
ポワン
ゆるい優しい音が空を駆け巡る。
次の瞬間、山を埋め尽くすオークが一瞬で消滅した。
空から桜の花がゆるゆると降り始める。
「見よ! 奇跡が顕現した。アッシュ様の大奇跡だ。
拝跪せよ。
礼拝せよ」
ミイが叫ぶ。
一方、クラスメイト。
「何を見せられてるんだ?」
「凄すぎて意味が分からん」
「雅だ、雅だ」
「アッシュ様」
☆★☆
軍がそれぞれの国に帰って行く。
その姿をアッシュ達をはじめクラスメイトが見送っている。
「あ、アッシュ。学園長から手紙だよ」
エディが手紙を差し出す。
「何?」
「学園追放は保留だってよ。いつでも帰って来いって伝言だよ」
エディが答えた。
ほのぼのしたクラスメイトの中に一人暗い表情の精霊王子を見てアッシュが尋ねる。
「シア王女は?」
それを聞いた精霊王子が俯いて答える。
「すまぬ。オークに連れ去られた」
「でも、オークの群れにはいなかったね」
エディが言う。
「すみません」
そんな話を聞きつけたのか、セレン神聖国の聖騎士団長が話に入ってきた。
「どうされたのです騎士団長?」
大聖女マリアが尋ねた。
「はい。恐らく我が国の上空を飛んで行った巨龍が女性を連れていたとの報告が入っております」
「「「「なに?」」」」
巨龍、世界でも最強の生き物の名前に皆が驚きの叫び声をあげた。
「助けよう」
アッシュはすかさずに言う。
「俺も行くぞ」
剣鬼ライド。
「じゃあ、お供しようか」
魔導王子バインド。
「わたくしも行きます」
大聖女マリアが続く。
「俺も行かないとな」
商人エディ。
「私ももちろん行くわ」
魔眼のソフィア。
「うん。みんなで行こう」
アッシュが元気に叫んだ。
本編の第1章の最終話になります。
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