第50話 な訳ねぇ
最初に桜の花びらに気付いたのは魔眼のソフィアだった。
「あ、アッシュ」
ソフィアが指さす。
「アッシュ」
聖姫騎士アテナが目を輝かせて叫ぶ。
「アッシュ君」
エディが嬉しそうに叫ぶ。
「アッシュ様」
大聖女マリアが両手を胸に当てて呟く。
「うははは、さすがだ」
魔導王子バインドが笑い出す。
「遅いぞ」
ギネスが悪態を吐く。
精霊王子は無言だ。
ひとひらの花弁は、ゆらゆらとクラスメイトの前に漂う。
リン
リン
リン
それはエバンス魔法学園に合格を宣言する鈴の音。
戦場に、涼やかな鈴の音。
リン
リン
リン
見るとオークと人間達の混成軍の前に様々な亜人が出現していた。
その真ん中には猫人族のミイがいる。
彼女は手に持った魔法の杖を高く掲げる。
それに合わせるように鈴を首から下げた亜人達が同じように杖を掲げた。
そして空に向かって大きな楕円を描く……最後に桜の花びらのマークが打たれる。
それはピンク色に輝く魔法陣だ。
「発射!」
ミイが叫ぶ。
亜人が一斉に杖を前に振った。
豚鼻と桜の花びらの魔法陣が前方に向けて発射される。
ミイが高らかに叫ぶ。
「3、2、1……着弾」
全ての魔法陣がオークの超大軍に吸い込まれるように着弾すると大地を揺るがすような激しい爆発が起こる。
ドドドド
その激烈な大爆発でもオークの群れはまだ、強大で前進を止めない。
「二撃目、発射!」
既に用意されていた二撃目の魔法陣が発射される。
☆★☆
「やあ、みんな大丈夫?」
凄まじいばかりの戦闘のスペクタクルに相応しくないのんびりした声が、クラスメイト達の背後から呼びかけた。
全員が一斉に振り向く。
「「「「「「「アッシュ」」」」」」」
クラスメイト全員が叫ぶ。
「元気?」
「「「「「「な訳ないだろ!」」」」」」
定常のボケとツッコミは戦場に映えわたる。
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