第39話 沸き起こる不安
ボコっ!
ブハっ!
古い時代から『魔力ダマリ』と呼ばれる場所に、今異変が起こっていた。
泥のような黒く粘つく物。
それは魔力が黒く澱んで変化した良くない存在だ。
ブスっ!
ブハっ!
黒くドロドロの物から魔力が噴き出す。
そこから黒い塊が起き上がる。
それは一般にオークと呼ばれる凶悪な魔物の姿を取っていた。
「ギシャー!」
生まれたばかりのオークが叫ぶ。
森にオークの声のこだますると、それに呼応するようにオークの吠える声がする。
ギシャー!
ウオオオ!
するとまたそれに呼応するように、吠え声が。
そしてその吠え声は森中に、何千、何万と響きわたる。
吠え声は、次第に森全体に広がり、さらに広い地域に広がって行く。
遂には吠え声は地鳴りのようにその地方全体を狂気の怒号の響きで震わせるのだった。
☆★☆
その生き物は、巨大なアギトを開いて吠えた。
それは、形容し難い吠え声。大きなドラムを連打するように空気を震わせる重低音だ。
慌てたように飛竜が飛び込んで来た。
「大地が悲鳴をあげた」
その生き物が吠える。
「は、大王様、様子を見て参ります」
巨大な存在は、飛び去る飛竜には目もくれず背後に視線を向けた。
「お前たち、準備しろ」
その存在の背後には、飛竜とは比べ物にならない巨龍達が何十も頭を下げて命令を受けていた。
☆★☆
「アッシュ様。また掃除ですか?」
レディが尋ねる。
「ああ、ここも汚れているね」
「お兄ちゃん、誰?」
「やあ、君たちは?」
「ポロロクル。妖精族です」
背後からレディが答える。
「え? 僕たちは、メイアー族って言う誇り高い一族だよ」
小さな男の子が反発する。
「こんにちは、メイアー族の戦士よ」
アッシュが手を胸に置いて頭を下げて挨拶した。
メイアー族の男の子が嬉しそうに返事をした。
ミイ。
ミイちゃんが声をあげる。
彼らの前には小さな集落が見える。
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