第21話 聖女の大魔法は王都を震わせた──わたくし無関係ですわ、全部あなたのせいですの
「本当です。あれは聖女が起こした奇跡です」
ギネスは強い調子で言った。
相手は公使だ。
「噂では、またまたアッシュ君が関係しているそうじゃないか」
「いや、奴は彼女に聖女服を寄進しただけです。
そのお礼にマリアが祝福を与えたのです」
ギネスは必死に伝えた。
王都では、『桜の花びらの奇跡』と大変な騒ぎになっていた。
「あれは聖女の奇跡です」
「そうか、本国に奇跡の報告をする。聖王もお喜びくださるだろう」
公使は、嬉しそうに言った。
「これほど早く聖女の能力が発揮されるとは嬉しい誤算だ」
☆★☆
「あの花吹雪、綺麗だったな」
「それな」
「今年学園に入学した聖女さんの奇跡らしいぜ」
巷では聖女の噂で持ちきりだった。
「聖女様。凄い評判ですよ」
魔眼のソフィアが嬉しそうに言う。
「いいえ、あれはアッシュ様がなさった奇跡です。わたくしは何もしていません」
聖女は首を左右に振りながら言った。
「でも皆は聖女様の奇跡っていってますよ」
「本当にわたくしは何もしていません。ただこの服を着て、桜の木の下に立っていただけです」
「ええ、ええ。それは何度も聞いたけど、アッシュ君は自分は関係ないとはっきり言っているし、聖女様が桜に何かしたようにしか見えませんでした」
ソフィアが笑って言った。
それに、とソフィアは付け加える。
「聖女様。魔力量がとても多くなっているんでしょ?」
魔眼持ちのソフィアにはそれが分かるようだ。
更にとソフィアは付け加える。
「魔法の恩恵もとても大きくなっているわよ。聖なる魔法の効果も凄く上がっているんじゃないの?」
どう? みたいな得意げな顔で聖女を見るソフィアだ。
「それはそうだけど……」
聖女は納得いかないようだ。
☆★☆
「聞いたか、聖女の奇跡を称えて銅像が建てられるそうだぞ」
「それはありがたい。いつでも聖女様が見ていてもくださる」
「聖王が聖女に名誉称号を贈るそうだよ」
「凄い方がいらっしゃって嬉しいよ」
「ああ、あの日、たくさんの人の病が治ったと言うぞ」
「ありがたや、ありがたや」
☆★☆
噂は王都から世界中に広がった。
聖女には大聖女の称号が贈られる。
一人、聖女だけが納得いかないと、顔を曇らせていた。
そんな中、聖女ほどではないが、アッシュも少しずつ名を知られるようになっていた。
「派手な服を着てる変な奴いるよな。あいつ、聖女に言い寄って断られたらしい」
「いや、聖女の靴を磨きたいと言って聖女の守り人に蹴られそうだ」
「なんか変な趣味を……」




