【05-14】ダンジョンを攻略します(その6)
やってきました16階層。
長い螺旋階段を降りた先は、巨大な扉が閉まっており、その扉を護るように立つ2体のオーガキングが、それぞれ巨大な棍棒と巨大な剣を構えて待ち構えている。地肌の色は、何故か赤と青。赤鬼さんと青鬼さんだね。ちなみに、赤鬼さんが強大な棍棒を、青鬼さんが巨大な剣を持っている。
そして、その2体の前には、毎度おなじみオーガの雑魚軍団が500匹ほど、とても広い空間に犇めきあっている。・・・・おなじみかどうかは知らないけど、このダンジョンに限って言えば、『毎度おなじみ』なのだ。
・・・・・・これが、このダンジョンの仕様なんだろう。
まあ、いいや。
やる事は変わらないからね。目の前にある障害を排除して、さらに先へと突き進むのみ!
「じゃあまずは、取り巻き連中からかたずけていこうか。後ろの連中が来た場合は、臨機応変に対応で。」
『了解!』
「それじゃあ、あたしからいくね。」
私の指示に全員が答え、コトリがそう言いながら、衝撃波付きの剣撃を地面と並行に飛ばす。それだけで、(この中では)体が柔らかそうな取り巻きのオーガ軍団の内、前面側に展開していたモノたちの両足が切断される。
「【拡散風烈弾】」
即座に私とマキが広範囲にまき散らす風属性の散弾を放ち、両足が切断されたオーガ軍団を後部に吹っ飛ばす。オーガの取り巻き集団は、戦闘もないまま両足を切断されたうえ、後部で控える取り巻き集団に衝突させた事により気を失ってしまった。死んではいないが、両足から流れ出る血液にが致死量に達した時点で終わりだ。
両足を切断されずに済んだ取り巻き集団は、そのまま意識を飛ばした前衛集団を踏みつけながら、私たちの方に襲い掛かってくる。そして、両足を失ったオーガたちは、仲間に踏みつけられてその生涯を終えた。
乱戦の開始ゴングが鳴らされた。
大きく扇形に広がった私たち。左をナオミチ、中央をぺニア、右をコトリの脳筋3人組。その間に、半分脳筋な私とハルナの徒手空拳グミが並んだ陣営となる。ミオはかく乱要因として、あちこち走り回ってもらう予定で、ヨシナリとマキは後ろで頑張ってもらう。
「【鎌鼬の乱舞】」
私とハルナが極薄の風の刃を、広範囲にまき散らすと、両サイドからは、剣の高速振りで発生させた風圧に、それぞれの得意属性を乗せて広範囲にまき散らすナオミチとコトリ。
これだけで30匹前後のオーガが、一気に命を刈り取られていく。その後は、前に出て1対1体確実に殲滅していく私たち4人。
ナオミチとコトリは、剣技でもってオーガを斬り結んでいくが、徒手空拳である私とハルナは、(示し合わせていないけど)まるで示し合わせたかのように、わたしが北〇、ハルナが南〇な6聖拳を繰り出して、グロテスクなオブジェを量産していく。
私は、ブスリブスリと経略〇孔を突きながら、「お前はもう〇んでいる」というテンプレ通りのセリフを吐き捨てながら、オーガたちに死を振りまいている。ただし、私は女の子なので、着ている服を破り裂いて半裸になる・・・・・なんてことはしていない。そういった趣味もないしね。
ハルナの方は、南〇な6聖拳6を巧みに操りながら、オーガを細切れに加工していたりする。
この2つの憲法は(漫画やアニメなどの)フィクション拳法なはずなのに、何故か再現できてしまうのが、スキルの恐ろしいところだ。
私たちの徒手空拳の原型になっている『今津流格闘総合武術』においても、実際に存在しているモノは取り込めるのだが、存在していないモノはどう頑張っても取り込む事は出来ない。魔法に関しては、地球においても(その姿かたちや名称が変化して)存在していたからね。この世界においては、当たり前に存在しているので、今津流格闘総合武術の中には当然組み込み済みである。
なお、北〇と南〇な聖拳については、今津流格闘総合武術の中には当然組み込むかどうか迷っている段階である。組み込んでしまった場合、意としない攻撃でグロテスクなオブジェを量産してしまう可能性もある。また殺してはいけない対人戦を行った場合に、無意識のうちに殺してしまう可能性もあるのだ。
だって、史上最強の暗殺拳(という設定)だし、使ってみた感じそれは当たっているからね。
なお、盗賊さんの討伐に関しては、魔物と同義という事でデッドオアアライブとなっている。そのため、(首実験のために)首の上さえ無事ならば、そのあたりの事を考えなくてすむのでありがたい。
そうそう。
盗賊団『クレイジイキャット』の首はすでに提出済みであり、首実験の結果本人たちであると確定された。現在、首実験として提出された盗賊団の面々は、オークド村(今はオークドの町だね)の処刑場に晒し首として晒し台の住人になっている。このまま朽ち果てて骨になるまで、晒し続けられるらしく、当然(すでに首から上以外の死体はないけど)お墓も存在しない無縁仏となる。
なお、討伐報奨金と賞金はすでに貰っており、あの時救助された女性陣は、冒険者ギルドの規則に則った結構高額な救助謝礼金(種族・年齢問わず1人ずつ)を支払っている。というか、(財産はすべて没収されているため)支払えなかったので、即座に奴隷落ちとなってしまったが。
なお、こうやって支払われたおカネはすべて合算されて後、あの時討伐に参加した全員で均等割りしている。ちなみに、盗賊団がため込んでいたモノは、救助した者たちの所有物となるのは言うまでもない。またこれらの品物の返還義務はなく、その時々の救助した者の判断に委ねられている。
この判断には、もともとの所有者の意向は一切反映されず、その判断に難癖付けたり、その後襲い掛かったりする事は禁止されている。例え王侯貴族であっても例外はなく、それを行った場合はその身分を剥奪して犯罪奴隷に落とされたうえ前財産没収である。
もちろん連座制が適用されるため、一族郎党が皆同じ運命をたどる事になる。なおこの場合の没収財産は、その身分を管理している在家国家に引き渡される事になっている。
閑話休題。
中央にいるぺニアもまた、100トンハンマーを振り回しながらオーガたちを圧殺し、その際【衝撃波増殖大打撃】というスキルを使用して、広範囲に物理攻撃を衝撃波に変えてオーガ軍団を翻弄していく。なんせ、空気が大きく震え、地面が大きく波打つため、私たちに対しても、その物理的な衝撃の影響下に入ってしまう事もある。
でもまだ、この衝撃波の方がマシなのかもしれない。
時折、昔から愛用している変形戦鎚(頭の部分が鎚と斧になっている)も使用して、その凶悪な斧の部分でオーガたちを切断していく。なお、この変形戦鎚を使用して、【衝撃波増殖大打撃】を使用すると、広範囲に放たれる衝撃波は、空気が大きく震え、地面が大きく波打ったりするのではない。
その凶悪な斧刃を縦方向に振るえば、地面や壁に巨大なクレバスを数百メートル先まで穿つ事になる。そのため現在地面は、巨大なクレバスが放射状に並んでおり、敵味方双方の動きに制限が掛かってしまっている。なお、そのクレバスが最後部に控えている巨大なナオーガキングの1体(ちなみに赤鬼さんの方です)に当たった際、そのまま切り裂いてその命を刈り取ってしまった。
ミオの事は知らない。
知らないというか、私たちの目ではその姿を捉える事は無理である。
ソニックビームが周囲に蒔き散らかされているので、たぶん音速以上でそこいらあたりを走り回っているのだろう。と推測は出来るが、現在地を把握する事はやはり無理である。
なおオーガーたちが、その衝撃波で吹っ飛んでいくのは見ていて爽快である。序に、細かい傷が無数にあるため、通り抜けざまに斬りつけているのだろうと推測は出来るが・・・・・。
ぺニアによって倒させていないもう一体のオーガキングに目をやれば、いつの間にか無数の切り傷が出来ているので、たぶんミオによって斬られて行っているんだろうと推測する。
お隣のオーガキングが一瞬のうちに倒されていて、普通なら(激怒して)こちら側に参戦してくるのに、参戦してこなかったので不思議に思っていたのだ。ミオによる香華にに逮捕していて、こちら側に参加できなかったんだね。
ヨシナリとマキは何をしているのは走らないし、・・・・・見たくもない。何故か知らないが、後ろから甘ったるい空気が駄々洩れしているのだ。
あれには近寄らない方が身のためだと、身体全体で拒否反応を起こしている。他のみんなも同じ感じで、必死に見ないように心掛けている節がある。
先ほどちらっと見てしまった時は、周囲を取り囲むオー合体十数体も、ある一定の範囲がからヨシナリとマキを見ているだけなので、この拒否反応はオーガたちにも伝播している模様。
本当に、何をやっているのか気になるが、気にしたら負けなきがして考えないように心掛ける私たち。何故か知らないが、取り囲んでいるオーガたちが、上空に打ち上げられると同時に細切れに加工されているので、イチャイチャしながら戦闘しているみたいなので放っておく事にする。
何時でも何処でもイチャイチャできるとは、・・・・ある意味才能なのかな?と考えてしまった。
・・・・・いや。
将来的に、私たちもああなる予定なので、あまりがっついてしまうとその時が怖いという事情もあるが・・・・・。
約1時間の戦闘後、無事にオーガ軍団を殲滅し終えた私たちは、戦闘の余波・・・・・・というか、9割以上ぺニアのこの変形戦鎚を使用した【衝撃波増殖大打撃】の衝撃によって、大きくひん曲がった扉の前にいる。まさか、ダンジョン内の構造物にすら影響力のある攻撃とは思わなかったが、『もともとこうなっていた』と言った感じでスルーする事にする。もっとも、私たちがこの階層からいなくなれば、すぐさま元通りになると思うが・・・・・。
取りあえず、いつもの通りぺニアのバカ力によって扉を粉砕?し、中へと突入する私たち。
ちなみに、扉が粉砕してしまったのは、100トンハンマーを使用した【衝撃波増殖大打撃】の衝撃に耐えきれなかっただけだ。
部屋の中に入り、ボスらしき魔物を見据える私。私がこのダンジョンで獲得したスキル【万能透過鑑定】で、目の前にいる魔物のステータスを詳細に鑑定する。見た事もない魔物(あのゲームの中にもいなかった)であり、ここは慎重に事に当たらないとパーティが全滅すると本能が訴えかけてきたのだ。
「え~~~~っと。あいつの名前は、キングコングトロール。
ゴリラ系の魔物の最上位であるキングコングって魔物がトロール化したやつだね。
本能のみで生きる脳筋で、理性は欠片も残っていない。あっちのほうも本能の赴くまま、種族関係なく襲ってくる。
強靭な肉体を持つゴリラ系の魔物がトロール化してしまったため、再生能力が高く筋肉の鎧を貫通しない斬撃や打撃はすぐに回復する。」
そこまでスキルによる説明を終えた後、もう一度目の前にいる魔物・・・・キングコングトロールを観察する私たち。
外見的特徴は、体長50mほどの巨体で、分厚い筋肉を纏い、8つに別れている胸。お腹や胸以外は、真っ白な剛毛に覆われ、長い尻尾を持っている。
真っ赤に光る眼、鋭い乱食い歯、全身筋肉モリモリで、そして腕が長い。
ついでに凶悪なアレも、股間の間で惜しげもなく曝し、何故か元気100倍の状態である。
肌の色は白みがかった灰色で、基本的には武器も持ってない。
本能の赴くまま、種族関係なく、女と見るや即座に襲ってくるそうだが、あれとあそこのサイズが大幅に違っているため、入れられた方はたまったものではないが・・・・。そもそも、どうやっていれるのだろうか?
サル系(ゴリラは、サル系統の派生型)の魔物に共通する柔軟性とすばしっこさに加え、トロールは再生能力が合わさっている。さらに言えば、トロールの特性である、地肌がとてつもなく硬く、並みの武器では歯が立たない。いちおう、火で焼かれたトロールは再生能力を著しく制限され、さらに硬い地肌も炭化した影響で脆くなるため戦いやすくなる。が、あの全身を覆う体毛は、そもそも火に弱いのかどうかすら今は解らない。
また、火で全身を隈なく焼かれても、その強大な再生力故10分も経たないうちに、焼かれた皮膚が再生してしまう。その上、脆くなるといっても元が元だけに、普通の鉄の武器では歯が立たず、なんらかの魔法を付与した武器か、上位の素材で作られた武器しか硬い皮膚を貫く事は困難ときている。
ある意味、脳筋系の最強魔物である。
さて、どうやってこいつを倒そうかな?
ちょっと実験しながら答えを導いていくしか、キングコングトロールを討伐する方法はないのかな?
まあ、やるだけやってみましょうか。




