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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第1章】トンネルを抜けたら異世界でした
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【01-04】VRMMO『リアルメーカー』と特異体質持ちな私

異世界に来たからには、思い切り楽しまないと損だ。

そのために必要な事は、もちろん決まっている。


1つ目は、この世界の身分を持つ事。

当然地球での身分(私の場合は日本国の国民)を持つ事は、何よりも優先したい事柄でもある。今の私たちは、当然身分な師であり、何処の国家にも属していない事になる。言ってしまえば盗賊などと変わらない事になるが、この辺りは異世界のテンプレでなんとかなるだろうとは思っている。

異世界のテンプレ・・・・・、つまり冒険者もしくはハンター(この世界ではどう呼ばれているか知らないが)になれば、必要最低限の身分を持つ事は可能だろう。

どんな名称の身分かは、・・・・・・わからないがね。

まあこの辺りの事は、人里ないし、大きな町に行かないとどうにもならないので今のところ棚の上に、ポイ!だ。


まあ1つ目の事は、なるようにしかならないのだから、私がどうこう考えちても仕方のない事だ。

だけど、問題は2つ目の事だ。


2つ目は、私たち自身が何ができて、何ができないのかの把握。

戦闘や生産など、すべての事柄において、どんな事ができて、またできないのかをしっかりと把握しておかないと、異世界を堪能する前に詰んでしまう。

人里に着いても、おカネを稼ぐ手段がないと途方に暮れてしまう事になるし、抑々戦闘能力がないと、この森すら脱出不可能である。


そういうわけで、まずは自分自身が持っている能力を把握しておかないとね。

とりあえず、これができるかどうかだよね。できなかったら、その時考えようか。

では・・・・・。


「ステータス!」


私は、声高にそう唱えてみる。

たいていの場合念じればいいという設定になっているが、ここはやはりしっかりと宣言する場面だろう。


結果は、・・・・・ステータスを見る事は出来なかった。

ん~~~~~~。

これは、あれかな?何かの動作とともに、対応する対応する言葉を発するとか?ゲームやラノベでは、同じ能力だが、違う表現をしている場合もある。

私は異世界物のラノベに書かれている、ステータス関連の言葉や動作等を、考えれる限り試した。


しかし、知りうる限りの言葉を唱えたり念じたりしてみたが、結局視る事は出来なかった。


その結果、この世界では、そもそもステータスといった概念が存在していないのだろうと結論付ける。スキルについてはどうかは知らないが、(ステータスなどで)それらを確認する手段がない事になる。


しかし、あれだね。


この『ステータス』っていう言葉、成功すればあれだけど、失敗するとなんだかむなしくなってくるね。・・・・・・いろいろな意味で。寿李も私と同じ事やっていたし、恥ずかしさはなかったけどね。


別に、ステータスが視れなくても・・・・・、何とかなるだろう。ステータスの確認ができない以上、地道に能力の確認をしていかないといけない。


ふと私は、とある事を思い出して寿李に尋ねてみる。


「そういえば、寿李。あのゲーム、どこまで進んでいる?」

「あのゲームって、光莉ちゃんのとこの会社が出していたあの『リアルメーカー』の事?」

「そう、そのゲーム。そのゲーム内のスキルで、『現実に持ってこれたモノ』って、どれだけある?

ゲーム内でのみ身に着けていたスキルはたぶん無理だろうけど、・・・・・・現実に持ってこれていたスキルに関しては、ここでも使う事が可能だと思うんだよね。現に、地球では可能だったから。」


今の今まで、VRMMOの『リアルメーカー』での特殊な環境が頭から抜け落ち、その事についてて思い出した私。このゲームで現有共有したスキルは、地球の大地上でも使用する事が出来た。

それならば、このゲームで現実と共有化できていたスキルについてならば、この世界でも使用可能だという事だ。

だって、私達はこの世界に、”転生”ではなく、”転移”してきたのだから。

私たちが遊んでいたVRMMOの『リアルメーカー』では、とあるスキルを習得し、ゲーム内で条件を満たせば、そのスキルが現実世界でも使用できるようになったいた。

このシステムの事を、リアルメーカーでは『現有共有』と呼称していた。


このゲームは、もともと私のような『特異体質』の者たちのために、その特異体質を訓練するための空間として開発されたのが、この『リアルメーカー』というゲームだからだ。日常生活を営んでいると、どうしてもその能力を特訓する時間が限られてくる。

誰も彼もが引き籠りであったり、何処かの人里離れた山奥で修業の毎日を送っているわkではないからだ。

いろいろな理由で時間の作れない『特異体質』持ちのために、流れる時間を数倍にしたVR空間が作られ、現実とリンクさせて修行をできるようにしたのが、このVRMMOの『リアルメーカー』というゲームである。


「ちなみに私は、自分の特異体質を伸ばしていく過程で、ゲーム内の設定された全属性魔法を、現実世界でも使えるようにしたよ。スキー研修に行く前日に、最後の属性も使えるようになったから、全属性の魔法を、現実世界でも使う事ができる。

そして、『スキルマスター』なんて言う称号持ちだから、ゲーム内にあったスキルは全部習得済み。だけど、現実に持ってこれたのは、その中の8割くらいかな?

特異体質系では100%現実に持ってきていたから、それ以外のスキルでいうのなら全体の4割くらい。」

「あたしは、ゲーム内では全スキルの8割くらい、現実に持ってこれたのはその中の5割かな。ほら、(ゲームの中での戦闘時の)ポディション的に、あたしが前で光莉ちゃんが後ろだったじゃない?

そして、地球上での(戦場)実習の時も同じだったからね。現実に持ってこれていたのは、ほとんど物理攻撃のスキルばっかりだったし、光莉ちゃんよりもゲームの時間が短かったからね。

あたしって、『特異体質』が1つもない一般ピープル枠のベータテスターだったから。」


先ほども話したが、VRMMOの『リアルメーカー』は特異体質の者たちの修行場として開発された通信型のゲームだ。つまり、稼働当初はそのプレーヤーのすべてが、何らかの特異体質持ちだったという事。特異体質といっても千差万別だったため、それぞれの体質に合わせた環境が整えられていたが・・・・・。

そして、開発されてから半年くらい経った頃、何処かの文屋がこの事をすっぱ抜いて大騒ぎになったのだ。


『特異体質持ちを優遇。各国政府も介入?』


そんな見出しが各紙面を踊っていた気がするが、この記事には(見出しには)大きな誤りがある。

確かに、一部特定国家の政府が資金を出し合って、民間企業でしかない私の実家が経営している会社の立ち上げた通信ゲームであるVRMMOの『リアルメーカー』を支援していた。

しかしそれは、自国にいる特異体質持ちの修業環境の支援という名目があり、しいて言えば自国の国力の強化という事になり、結果的には支援した国家が有利な立場になっていくのだ。実際、特異体質持ちは(私も含め)、年齢・性別・家庭環境、それこそ学力すら関係なく、国家公務員の資格を持っていたしね。

まあ日本の場合は、私が通っていた『私立鷺宮学園』の生徒であったり、職員であったりとした所謂関係者であり、一部海外からも私立という利点を生かして特異体質者を全国各地から集めていた。


それはいいとして。


そんな記事が出た頃にはすでに、特異体質者たちの(ゲーム内での)基礎訓練は終了しており、(地球上での)実践による応用訓練へとシフトしていた頃だ。つまり、ゲーム内で身につけた能力を、実際の体になじませるための実地研修?を行っていたわけだ。

戦闘関連の特異体質者たちは、世界各地の紛争地帯へ行って、戦闘訓練の代わりに戦争に参加していた。なお、戦争に参加する場合は、(資金提供国が主体となった)特異体質者だけの傭兵軍団が作られ、時には両陣営へ、時には片方の陣営に雇われる形での参加だ。そして、特異体質者たちが参加した途端、戦闘がいきなりファンタジーな感じに様変わりするのだ。核攻撃すら、無力化してしまった事もあった。

また、そうでない者たちは、それぞれの特異体質に合った職場(わざわざ立ち上げたモノもある)に就職して、その腕を如何なく発揮したりしていた。こちらの場合は、世界各地で、一時期いきなり生産能力が向上したり、全く新しい発明品や工業製品が世に乱立したりして話題になった。


で、私の特異体質は、『世界各地に受け継がれてきた魔術の再現』という、ファンタジーな能力である。

よく『地球では魔術文化はない』と言われているし、世間一般でもそれは常識となっている。しかし、地球にも魔術は存在し、人類すべてが魔術を使用できるための下地を持っているのだ。

ただ、魔術を十全に扱える人材がごく少数なだけ。それこそ、数百万人に1人いるかどうかだ。

また魔術にも、多種多様な種類が存在しており、一概にどういった現象が魔術なのかを断言できないのが、『地球では魔術文化はない』という言葉の根源である。


話を元に戻すが、VRMMOの『リアルメーカー』の事をすっぱ抜いた時には、すでに当初の目的はほぼ達成できていたため、すでに次の段階へと話は進んでいた。


『特異体質持ちではない者たちにも、このゲームを行えば似たような能力を扱えるようになるのか?』


当然、各国政府も、ゲーム開発者も、もちろん特異体質持ちだった私達にも、この疑問は開発当初から議論されてきたのだ。そして、特異体質者たちの(ゲーム内での)基礎訓練は終了しており、(地球上での)実践による応用訓練に移った段階で、この疑問を解決すべく新たな実験が立ちあげられた。

その実験こそが、『このゲームを世に送り出すため』という口実の下、特異体質持ちではない一般人をベータテスターとして参加させ、『一般人でも、ゲーム内のスキルを現実世界でも使えるのか?』という実験が開始されたのだ。


つまり、文屋がすっぱ抜いたのは、この実験に参加させるための人選をするために、ゲーム会社(と支援した関係者)がわざとリークした内容であり、もともとそうする予定だったのだ。


さて、そうして始まったこの実験という名のベータテスト。

ちなみにベータテスターは、世界各地に散らばって約10万人ほど。その人選には、政治介入はなかったが、ゲーム会社(というか親会社である私の実家の会社)の意向が多分に反映されている人選だった。事実、ベータテスターとして選ばれた者たちの国籍を見れば明らかであり、そのすべてが資金提供国家だったからだ。そして、データテスターの約6割が、病院のベッドの上で一生を過ごすしかないような人たちの中で、特に40歳以下の前途ある若者や、所謂脂ののっている年代の者たちが選ばれ、残りの4割が特異体質者の推薦枠となっていた。


ちなみに寿李は、特異体質者ではない一般参加枠で、私からの推薦である。

なお推薦枠自体は、各特異体質者毎に5~10名程度(同じ国内にいる者に限るという条件付き)だったため、私は知り合いの中で特に仲の良かった男女10名(男子5名・女子5名)を推薦し、全員がベータテスターとしてゲームに参加をしていた。

そして、学園関係者にいた特異体質者が、私と同じように推薦していたため、学園関係者の内の約4割が推薦枠で、ベータテスターになってしまっていたのには驚いたものだ。まあ、後で知ったが、世界的に見ても同じような傾向になっていたらしいが。


なお余談になるが、ベータテスト開始時に、資金提供国ではなかった国家の国民から結構な非難・中傷があってネット内が大炎上していたみたいだ。中には、ゲーム何に侵入して悪さをしようとする者や組織も現れてたが、そういった個人や組織に対しては、そっち方面の特化していた特異体質者によって、根こそぎ排除されていたらしい。

それはもう、徹底的であったらしく、組織に在籍していたスタッフ全員と各個人は、軒並み『生きた人形』と化して精神が崩壊してしまったらしい。その上で組織を運営していた国家や団体が世に晒されてしまい、国家や組織の権力が地に堕ちてしまったんだとか。


『今回、わが社のサーバーに攻撃を仕掛けてきた個人や組織、そしてそれらを資金援助もしくは運営している各種団体や政府のある国家には、正式版の発売時において、接続機器の一切を販売しないものとする。

その上で、わが社の独断により、その国家に在籍している国民に対しての販売を、数年間の停止もしくは延期。販売個数の制限を行う。』


ある程度の排除が終了した段階で出されたこの警告文によって、国家単位で制裁にあってしまったのだ。そして、こんな些細な事で内戦になってしまった国もあったらしい。

ちなみに、資金提供国の国内では、そういった行為はすでに法律により根絶やしになってしまっている。なんせ、そういった行為を行っただけで『サイバーテロ犯』と認定され、裁判なしで逮捕後に、資金提供者もろとも、私財すべてを没収の上即日死刑とされているからだ。なお、実行犯の家族・親族・同居人については、犯罪を予防もしくは阻止できなかった罪で、一審のみ(殺人罪を含めた普通の罪では、最低三審まで行える裁判権は認められている)の裁判の上5年以上15年以下の懲役刑(実刑自体はすでに確定している)となる。

つまり、自殺願望のある者しか、そういった行為は行う事がなくなったのだ。また、実行犯の家族・親族・同居人においても、犯罪者にはなりたくないので、そういった行為を行いそうなものがいた場合はしっかりと監視しているのだ。


正式版発売後も、方々からの非難・中傷があるが、それはまた別の話なのでここでは割愛する。

そういったゲームであるVRMMOの『リアルメーカー』で身につけた能力は、私が持っている能力と同義なので、この世界でも使用可能だと踏んだのだが・・・・・。

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