表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第4章】まったりとした日常風景
56/139

【04-09】盗賊さん、いらっしゃ~~~い

馬車の隊列は、推定高さ300mの岩山を迂回するように右に曲がる街道を走る。岩山に沿うように敷かれた街道に先には、40人規模の盗賊さんが待ち構えている橋を渡る事になる。

そんな手前の街道を進みながら、先ほどの会話を思い出して黒い笑みを浮かべる私たち。


「たぶん・・・・というか、絶対なんだけど、私たちが橋の中間付近に差し掛かったところで、橋の量止めを塞ぐんだと思うんですよね・・・・・盗賊さんたち。」

「そうそう!下は深い谷側だったから、そうすれば逃げ道はなくなるからね。盗賊さんたちにとって私たちは、『網にかかったお魚さん』状態だよね。」

「まあ、『網にかかるお魚さん』は、盗賊さんたち(向こうの方)なんだけどね。」


私の絶対的な(盗賊さんたちの)行動予測に、周囲の状況を観察していたミオが追加捕捉しながら答えていく。そんな女子トーク的な会話を繰り広げたミオは、現在この場にはいない。岩山のてっぺんで待機するミュートさんとともに、とある任務を遂行中である。


岩山を迂回した先には、予定通りに橋が架かっている。全長は300mほどだろうか。橋のたもとを無警戒で進みながら、藪に潜む盗賊さんたちの人数をしれべて行く私。え~~~~っと、こっち側には12人、向こう岸には20人だね。


「そういえばガイストさん。来月の”12”日に開くパーティーですが、参加人数は”20”人でいいですよね?」

「ん?そうだな。もう少し増えるかもしれんが、今の予定人数はそれでいいぞ。」


私は、ガイストさんと暗号を使って盗賊さんたちの人数を伝えていく。ちなみに、パーティーを開く予定は、今のところ私にはないし、招待状が届いているといった事もない。

そんな取り留めのない会話をしながら橋を渡っていく私たち。すべての馬車が橋の上に乗った時点で、予定通りに前後の道が塞がれた。


「通行料金徴収の間だ!商品とカネ、女はここに置いてゆけ!男はそこの川に飛び込め!」


テンプレ通りの鬼畜宣言、ありがとうございます。盗賊さんに見せかけた何かではなく、100%盗賊さんと確定しました。


「ところでオタクらは?」


一応テンプレ?通りに、先頭馬車に似っている私が盗賊さんたちに聞く事にする。


「この状況で分からんとは、たいしたお嬢ちゃんだ。俺たちはここいら一体を荒らす盗賊団『クレイジイキャット』だ。つべこべこべ言わないで、さっさと商品とカネ、女を出せと言っているんだ!」


また何ともおかしな名前の盗賊さんですね!発狂した猫なんて。・・・・・まあ、人の事は言えませんが。


「ところでガイストさん、猫が発狂すると、どういった反応を見せるんですかね?私、地球(向こう)でもテラフォーリアこっちでも、猫を飼った事無いので解らないんですよね。ガイストさんはありますか?」

「俺か?・・・・そういえば俺も、猫を飼った事はないな。そもそもサクラピアスには、猫を飼っている家はないと思うぞ?どうしてか知らないが、あのあたりには猫がいないからな。」

「そうだったんですか?・・・・そういえばサクラピアスで、猫を見た事ありませんね。犬ならたくさんいるみたいですが・・・・・。」


盗賊さんの事をすっぱりきっかり無視して、猫談議に華を咲かせる私とガイストさん。この間探知魔法で、私たちの方の面々が配置に就くのを首を長くして待っているわけだが・・・・。


「犬と言えば、あの子たちと遊んであげないといけませんね。最近あの子たちを、かまってあげていませんでしたし?」

「あの子たちって、あれか?ヒカリちゃんとコトリちゃんのペットの・・・・。」

「そうですよ。ちょうどいいので今から遊んであげましょう。出ておいで、ハクト!」

「じゃああたしも!出ておいで、コクト!」


いきなりひょこっと顔を出したコトリとともに、ハクトとコクトを呼び出す。そして、いつの間にか、橋の中央部に転移させられている(集められてしまった)盗賊さんたちと、オークド村方向に転移している私たちの乗っている馬車の集団。


「ハクト、コクト、そこにいるおじちゃんたちとちょっと遊んでもいいよ。その代わり殺したらだめだからね。」


私は、橋の両サイドを塞ぐように顕現しているハクトとコクトに、盗賊さんたちの相手を頼んだ。ちなみにハクトとコクトは、いつもの仔犬サイズではなく、本来の大きさである大型犬サイズである。

私たちは楽しく狂ったねこさんたちと戯れる大型犬サイズのオオカミ2匹のじゃれ合いを、高みの見物で眺めている。2匹のスキを狙って橋から川に飛び込んだ盗賊さんたちは、何故か再び橋の上に現れるという不可思議な体験をしている。

私がそうなるように、橋の下の空間に転移魔術をかけて、ただ固定しているだけなんだけどね。そうとは知らない盗賊さんたちは、橋から飛び降りても再びハクトとコクトのじゃれ合いに参加する体験を永遠と受ける羽目になるわけだが。


「さすが猫さん。あんな高さから飛び降りても、全く無傷で着地するなんて!」


パチパチパチと、拍手をしながらそんな不可思議な体験をしている猫さんたち(盗賊たち)を見てはしゃぐ私。ちなみに、橋の上から両サイドへと逃げようとする盗賊さんたちは、サイドに控えている私たちの手によって、頭と体が泣き別れする事になっている。やっているのはハルナたち『人を殺した事がない者たち』である。冒険者をやる以上、避けては通れない事なのだ。ここは心を鬼にして、殺す事をしてもらっている。人を殺せないと、この先冒険者なんてできないからね。ちなみに、Bランクへと上がる条件にも、『人を殺す事ができる』というモノがあるしね。


「ただいま~~~~~!」

「お帰りなさい、ミオ、ミュートさん。そっちはどうだった?」

「向こうには、捕まった女性たちが20人と、奪われただろう商品やおカネが結構な数保管されていたよ!

向こうで待機している盗賊さんが10人くらいいたけど、全員始末しておいたから。あと、女性たちはおもちゃにされて全員やられてしまっていたから、あとで心のケアが必要かな?」

「その女性たちは何処にいるの?」

「ミュートさんが、捕まっていた女性冒険者の手を借りて、捕まった女性たちが20人を、向こうにあった馬車2台にに乗っけていまこっちに向かっているところ。奪われた商品やおカネ(盗賊さんたちのお宝)に関しては、あたしの【アイテムボックス】に入れて全部回収しておいたから。」


別口で、盗賊さんたちのアジトを襲撃していたミオとミュートさん。2人で制圧してしまったんだね。あ、そうそう、これを聞いておかないとね。


「そういえば、向こうの盗賊さんたちを殺したのはどっち?」

「それはあたしがやったよ。ちょっと吐き気がしたけど、通らないといけない道だったから、ミュートさんに監督してもらいながら殺して回ったよ。」


ミオは、この試練を何とかクリアーしたみたいだ。それじゃあ、あと監督さんたちの前で殺していないのは、私とコトリだけだね。私たち二人はすでに地球あっちで人を殺した経験はあるからね。サクッとやってしまおうか。


「じゃあ、ガイストさん。最後の締めをやってくるから、確認よろしく!」

「おう!がんばれや!2人とも!」


今回の盗賊退治を、この『Bランクへと上がる条件』の試験としていたガイストさん。そのため盗賊を殺して回るのは、私達『ご主人様とメイドさん』の仕事になっているのは最初から決まっていた事だ。

私とコトリは、それぞれの武器を片手に、橋の上でハクトとコクトとじゃれ合っている盗賊さんたちの首を、瞬く間に斬り落としていったのだった。


「全員合格だな。サクラピアスに戻ったら、この事はギルドに報告しておく。今日は頑張ったな。」


少し顔色が悪く吐きそうな顔になっていたのは、『人を殺した経験がなかった』ミオとナオミチの2人。2人には無理をしないでこの場で吐いてもらう事にする。まだまだミュートさんが戻っていないからね。

少し顔色が悪いだけなのが、『人を殺した経験は持っているが、まだ慣れてはいない』ハルナ・マキ・ヨシナリの3人で、少し待っていればいつも通りに戻るだろう。

全く素面なのが、私とコトリ、ぺニアの3人である。ぺニアはともかく私とコトリは、人を殺した経験もそれなりにあり、惨殺現場の中を練り歩いた経験も持っている。なので、『人を殺す事が3度の飯よりも大好き』みたいな殺人狂ではないものの、必要があれば殺す事に躊躇しないくらいの心構えは持っているのだ。

その後、ここで殺した盗賊さんたちの頭部以外を1カ所に集め、火をつけて灰にしてしまう。こうしておかないと、後々この橋周辺で、頭のないゾンビさんが生まれてしまうかもしれないからだ。

ちなみに、盗賊さんたちの持ち物や着用している者の中で、売れそうなものは全部剥ぎ取ってある。


閑話休題。


ミュートさんが御者をしている馬車と女性冒険者が御者をしている馬車が、私たちの集団と合流する。御者をしている女性冒険者は、何やら大きな布に包まっているので、着用できる服がないと予測できる。


「ミュートさん、女性たちには服はありますか?」

「いや、ないな。あったら来ているが、全員全裸で鎖に繋がれていたからな。そういえばヒカリちゃん、なんか余分に服を持っていないか?」


20人分の服で、しかもサイズフリーとなると・・・・・・・。そういえばこういう時のために、色物や柄物の反物を50点くらいと、長めのチャックを100本近く持っていたんだっけ。


「手持ちにはないので、今から作りましょうか。どのくらいのサイズになりますか?というか、一番大柄な女性のサイズを教えてください。あとは全員女性なので、サイズ的にもどうとでもなるワンピースオンリーになりますが。」

「作るって、ヒカリちゃん。どうやって作るの?布も何もない状態で・・・・・。」


普通なら、それを考えますよね。でも私には、不可能な事を可能にできるいろいろなスキルを持っている。材料さえあれば服の1着や2着を作る事くらい、どうって事はない作業だ。

という事で、早速ワンピースをその場で作る事にする。材料となる反物とチャックを取り出し、スキルを発動。ほんの数秒で、フリーサイズのワンピース1着と下着一式が出来上がる。ちなみにサイズ的には、目の前にいる女性冒険者のサイズを、とあるスキルで分析して作っただけだが。


「そこにいる女性冒険者の方、まずはこれを着用してください。着替え場所は・・・・・、その馬車の近くでいいですね。」


そう言いながら私は、2台並んで止まっている馬車の近くの広場に、適当に地面の土を使って壁を作る。ちなみに、全裸の女性が乗っている2台の馬車を囲むように壁を作ってある。

そうして、適当に作ったワンピースと下着を女性たちに与えて、この場で着替えてもらう私。


「後は・・・・靴ですね。さすがにこの気候で、裸足はまずいですよね?」


不気が降っているので、裸足で出歩くと、凍傷などに遭うので危険だ。一応靴下は履いてもらっているが、さすがに何か履物がないといけないだろう。


「とりあえず、いやかもしれませんが、この盗賊さんたちが履いていた履物で我慢してください。」

「それは仕方のない事だ。ないよりマ増しだから、私はそれで構わない。他の子たちはどうだ?履くも履かないも、好きにしてくれていいぞ。後、何かいらない武器があったらくれないか。これでも一応冒険者だからな。武器さえあれば、何とか戦闘くらいは参加できる。」


女性冒険者の助言もあり、盗賊さんたちが履いていたモノを履くのは、女性たちの自由意思に任せる事にした。『履くも履かないも、自由にしていい』としておけば、その先どうなろうとその人の責任になる。

あと女性冒険者(名前を聞いたら、レニシアというBランクの冒険者だった)には、盗賊さんが使っていた武器からもともと所有していた武器・防具を見つけてもらい、それを身につけてもらっている。


「そうそう、私たちの目的地であるオークド村なんですが。何か緊急事態が起こっているみたいなので、すんなり中に入れる保証はありません。何が起こっているのかは解りませんが、その状況次第では、手前で待機してもらう可能性があります。」


一応この先にあるオークド村の状況も、分かっている限りで伝えておく私。先ほど岩山のてっぺんに登って確認してみたけど、モクモクと煙が立ち上っている事は確認できたが、それ以上の事は解っていないのだ。ちなみに、あまり使っていないので、【千里眼】というスキルの有効範囲も少ない私である。

こうして1昼夜馬車を飛ばして、オークド村を見渡せる高台まで来た私たちの目の前には・・・・・。


数千数万の魔物の群れに取り囲まれた、オークド村があったのだ。


つまるところ、スタンピートが起こっていたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ