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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第4章】まったりとした日常風景
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【04-07】最奥の村への護衛依頼(その2)

草木も眠る丑三つ時・・・・・・という言葉がよく似合う真夜中。

私とコトリは、もぞもぞとテントから這い出て、広場の中心で燃える焚き木まで歩いていく。


「おはよう・・・・、ハルナ。大丈夫だった?」

「おはよう、ヒカリちゃん、コトリちゃん。私の時間帯は、何もなかったから大丈夫よ。それに、ヒカリちゃんが渡してくれたあれのおかげで、夜に襲ってくる魔物もいなかったしね。」

「あれはまだ実験段階だからね。アレの性能を試すために今回試験的に運用しているけど、性能を過信しちゃいけないよ?」

「わかっているよ、そんな事。だからこうして不寝番も行っているんでしょ?」


今回の護衛依頼において、先日開発したとある魔導具を試験的に運用していたりする。その事は一応、護衛団の団長であるガイストさんとムライムさんには話してあるが、他の面々にはその性能を過信するといけないので何も話してはいない。

なお、この試験中の魔導具は、まだ実験段階のためその効力は約1日しか持たない使い捨てになっている。今回の実験が成功したら、もう少し長く持つモノも開発しようとは思っているが・・・・・。


「それじゃあ私は朝まで眠るから、あとよろしく~~~~。」

「あっ!そうそう、これ飲んで寝るといいよ。・・・・ぺニアもね。あとは、そっちのガイストさんたちもね。」

「おう!ありがとな、ヒカリちゃん。でも本当にその薬、よく効くよな?」

「本当ですよね、ガイストさん。私なんかは、日付が変わる時間に毎日神事が1つありますので、このお薬にはとってもお世話になっております。」


そんな事を言いながら、とある液化薬ポーションを、不寝番の真ん中を担当していた冒険者全員に手渡していく私。

なんの薬は解らなかった私たち以外の人に聞かれるが、『安眠液化薬スリープポーション』というお薬で、(今回の調整では)約3時間の眠りで、約6時間分の睡眠をとった事にできるお薬だと説明しておく。こういった不寝番において、特に睡眠サイクルが崩れやすい真ん中を担当する者にとって、たぶん必要になるお薬だ。

私の説明を聞いた面々は、小さな薬瓶(手の中指ほどのサイズ)に入った安眠液化薬スリープポーションを、一口で飲み終えた面々はそのまま自分たちの寝床へと消えていく。


ちなみに私が皆に渡したお薬、『安眠液化薬スリープポーション』とは、(この世界では認識されていないが)レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを圧縮し、普通なら約90分サイクルで行われるそれを、約30分に圧縮して安眠を促す液化薬ポーションである。今回はこのような時間配分だが、ある成分の比率を変えれば、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを調整できる。10分で1サイクルにもできるし、逆に6時間で1サイクルとかも可能である。

つまり(今回の調整では)約3時間の眠りで、約6時間分の睡眠をとった事にできるという、ある人種にとっては夢のようなお薬なのだ。

なお現在、この前過去の文献から再現した『魔力検査盤』とともに、その他10種類ほど纏めて特許出願中である。この手のお薬は、誰かがすでに特許を取っているのかと思っていたが、私が出願順では初めてだったらしい。もっとも、お薬自体あまり特許を取っている者は少ないみたいなので、何処かの誰かが作っている可能性は捨てきれないが・・・・・。


「じゃあコトリ、朝ご飯の支度をしながら不寝番をしていこうか。」

「そうだね。55人分の食事だと、いくら簡単なモノだといっても時間かかっちゃうからね。」


男性陣も不寝番を交代している事を見届けて、私とコトリは朝ご飯を支度をしながら不寝番に入るのだった。朝ご飯を同時に作っていく事で、私とコトリが最終組の不寝番となっているのだ。


朝食が出来上がった後に、日の出の時刻を迎える。

私とコトリは日の出前に交代しながら橋の下(ここならみられる心配がないからね)で禊を行い、聖女としてのお勤めを行う準備をする。なおこの禊には、私たちの他にも、ぺニアとハルナたち神子組の参加していたりする。

私たち8人全員が(旅の間に着用する)簡易的な修道服に着替えて、簡易的に拵えた祭壇を朝日に向けて設置する。祭壇の上には、先ほど作った朝ごはんの盛り付けた小皿が並べられており、ご神体の代理である日の出を今か今かと待ちわびている状態だ。

私たち8人を先頭に旅のお仲間合計55人全員が並び、さらには昨晩サクラピアスへ向けて移動し、ここで野営していた(橋の向こう側で野営をしていたが)ていたグループも加わって朝のお祈りが始まる。


昇ってくる朝日を神に見立てて朝のお祈りを行う。

私たちのお祈りの祝詞に合わせて、全員が一斉に同じ祝詞を唱えていく。場所は違えど、毎朝欠かさず行われているバティスティア聖教の伝統的な朝の祈りの時間だ。

私は毎朝、市場へと向かう前にサクラピアス大聖堂に立ち寄って、一緒についてきているコトリとぺニアと共に、大聖堂内のご神体に向けてお祈りを捧げていますが、・・・・・何か?

もちろん神殿内の禊の泉に浸かって、普段着のメイド服ではなく、6大神の巫女様専用衣装でお祈りを捧げています。なお、朝のお祈り後は、私は市場に、コトリとぺニアは冒険者ギルドに行ってお仕事を取ってくるのが、最近の日課となっている今日この頃です。

他の面々の事は知りません。現在身を寄せている鮮血の雷ブラッディサンダーズ本拠地ホームで、朝日に向かってやっている事でしょう。

そこまで私は、干渉していませんので・・・・・・。


まあ、それはいいとして。


朝のお祈りを済ませた後は、朝食の時間です。ササッと朝食を食べ終えてから、(神官の制服としての)修道服から(普段着であり戦闘着でもある)メイド服に着替えて移動が始まります。

2時間ほど移動すれば、街道が分岐する場所に刺しかかります。

ここの十字路をまっすぐに行けば、私たち一行の目的地であるオークド村へ。右折してクネクネと山道を進んでいけば、ムハマルド辺境伯領最大の鉱山町・クエトロへ。左に曲がって街道沿いを流れる川を渡っていけば、ハルナたちがいたあの滝(今では私たちの修業の場になっているが)のそばを通過し、そのまま山道を進んでいけばぺニアの故郷であるキリギネス連合王国とアンタルノース公国へと抜けていく。

アンタルノース公国はともかく、その先にあるキリギネス連合王国には、多分足を延ばさないだろうなとは感じている。


「この先へは、行った事がありませんね。左側は、ちょっと先まではありますが・・・・・。」

「・・・ん?ああ、そうか。この先がヒカリちゃんたちがこの世界に来た際に、”落ちてきた場所”だったな。」


そんな十字路で、小休止を取っている私たち。私の小さな呟きに、隣でお茶を飲んでいたガイストさんがこう答えた。


「いえ、私とコトリは違いますよ。私とコトリは、そのずっと先の魔境の最奥が”落ちてきた場所”ですからね。ハルナたちがいた場所よりも、さらに3か月近く山道を進んだ場所になります。

どうやって歩いてきたかは解りませんが、その道中に”世界樹の1本”があります。連れて行けと言われても、連れていく事は出来ませんが・・・・。」


少し訂正を入れておく私。

なお、ぺニアの話では、この分岐路から国境であるジャポニ=アススペイ山脈まで辻馬車で約1カ月、その間小さな町と村が4カ所ほどあるだけらしい。その後、峠の切通しにある国境砦を抜けると、(現在はぺニアの実家が国王として君臨している)アンタルノース公国に入り、山道をひたすら下る事約半月で、アンタルノース公国の公都ペンシルべレニアへと到着する。

その後は、2カ月ほどいくつかの公領を通過して進めば、キリギネス連合王国の王都・ソンクルバーグへと到達するみたいだ。


「では、ここでお別れですね。」

「ああ、それぞれ無事に目的地へ到着する事を祈っている。」

「俺たちも同じだ。今年は無理だが、雪が解けたらまたサクラピアスで会おうぞ。」


アンタルノース公国の公都ペンシルべレニアへと向かう商隊と辻馬車の軍団とは、この十字路でお別れである。そのためガイストさんと、そちら側の護衛団のリーダーである『鮮烈のサイコキック師団』リーダー・ムライムさんが別れの挨拶を交わし、そういえばといった感じで私に商談をしてくる。


「・・・・・そうだヒカリちゃん、昨日貰ったあの薬、在庫があるのなら買い取りたいのだが・・・・・。あとは、レの試験している魔導具も、こちらでもサンプルを集めたいと思っている。」

「いいですよ。お薬の方はどのくらいいりますか?1本あたり1500テラで販売しますが?試験中の魔導具については、まだ値段設定がしていないので、今回は無償で差し上げます。しかし、レポートをペンシルべレニアに到着した際に、サクラピアスの冒険者ギルド宛に送っておいてください。」

「ああ、了解した。それじゃあ・・・・・、薬の方は、200本ほど、例の魔導具は40個ほどくれ。あと、普通の治療薬と毒消し、魔力回復もあったらくれないか?」

「わかりました。ではこのアイテムバックに入れておきますので、お薬の方は、安眠液化薬スリープポーション生命力回復ヒーディング液化薬ポーション、あと毒付与状態回復キュアポイズン液化薬ポーションを50本、魔力回復液化薬マナポーションが50本と、例の魔導具を40日分入れておきます。合計で51万テラになります。袋はサービスしておきます。」

「ああ、ありがとな。51万テラだ。確認してくれ。」


ちなみに、安眠液化薬スリープポーションが1本あたり1500テラ、生命力回復ヒーディング液化薬ポーションが1本あたり500テラ、毒付与状態回復キュアポイズン液化薬ポーションが1本あたり1000テラ、魔力回復液化薬マナポーションが1本あたり3000テラである。値段の差は、使われいる素材の価格の差だけだ。作り方はぶっちゃけてしまえば、基本となる生命力回復ヒーディング液化薬ポーションに、さまざまな特殊素材(中には聞かない方が幸せなモノもある)を規定数配合していくだけである。

なお、アイテムバックは私の自作なので、おカネはかからない。だって、端切れで作った袋に【アイテムボックス】の魔法を付与しただけだからね。


大金貨(10万テラ)5枚と、小金貨(1万テラ)1枚を受け取り、商品の入ったアイテムバックをムライムさんに渡す私。いい買い物をしたと言いながら、手を振って無効に合流していくムライムさん。

なおここから先、オークド村までの護衛は、ガイストさんたち鮮血の雷ブラッディサンダーズの4人と、私達ご主人様とメイドさんの8人となる。ちなみに護衛していく商隊と辻馬車の人数は20人、合計32人の旅である。ちなみに馬車の数は9台だ。


「それじゃあ俺たちも出発しよう。先ほども話した通り、先頭の馬車には俺とサム、最後尾の馬車にはヒカリちゃんとコトリちゃんが乗車する。残りは1台飛ばしで2人ずつ、前と後ろでペアになるように乗車していってくれ。」

「了解!」


という事で、前から1台飛ばしでガイストさんとサムさん、ハルナとリュートさん、ヨシナリとマキ、ぺニアとミュートさん、ミオとナオミチ、私とコトリの順になっている。


川に沿って敷かれている街道を、さらに山奥へと進んでいく私たち一行。

サクラピアスから5日間の野営(もっと人数が少なければ、3日ほどで到着するみたいだ)の後、昼過ぎに到着したのは道中にある最初の村でるジムニー村である。人口は200人足らずの小さな村で、村にはこれといった産業のない(この世界では)ありふれた村である。

村には、30人が泊まる事ができる宿屋が1軒あるのみ。今回は詰めれば何とか全員が泊まれるため、宿を確保する事に成功する。ベッドで寝れるのなら、詰めてでも寝たいのが全員の意見だったからだ。

宿屋を確保した後、商人さんたちはさっそく村の中心にある広場を借りて、各々露店を開く準備に取り掛かる。道中の村々で商売していくのも、彼ら商人たちの義務であるからだ。


私たち一行は、この村で2日間ほどの少し長い休憩を取る事になった。

この2日間は、旅の疲れを取るための休みであり、反対側からくるだろう商団から、この先の街道の状況を聞くためのミーティングの時間でもあるからだ。なお当然、情報交換の場であるので、私達からも街道の状況を伝える事になる。

どちらにしても最新情報である事は変わりないが、双方が通過した後で起こった出来事については無干渉となるわけだが。


「さて、それじゃあ私たちは、ここからは神官として働くよ~~~~。」

『おお~~~~!!』


私の号令とともに、神官としての肩書を持っている8人が一斉に片手をあげる。

そして、借りた部屋で修道服(今回の修道服は、サクラピアス大聖堂内で普段着用されているモノだ)に着替えて、この村にある小さな教会へと足を運ぶ私たち。

ここで私たちは、出張診療所をメインとした奉仕活動に勤しむ事になる。

これが、サクラピアス大聖堂から私達『ご主人様とメイドさん』のパーティに出された指名依頼でもあるからだ。本来は旅する神官としての義務なので、指名依頼をしなくてもやらないといけない内容なのだが、私たちの特殊事情故にこういった特別扱いを受けているだけである。

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