【04-06】最奥の村への護衛依頼(その1)
月初の大祭も無事に終了し、今日は少し小雪がぱらついている・・・・・。まだまだ、サクラピアスの街中には雪が降り積もる事はないが、すでに遠くの山々は真っ白に雪化粧をしている。
そんな今日は、NMDC23667年8月5日の早朝である。
私達『ご主人様とメイドさん』のパーティメンバー8人は、サクラピアス大聖堂において朝の祈りを捧げていたりする。この世界に来てから136日目の朝である。
ちなみに私達『ご主人様とメイドさん』のパーティメンバーは次の通り。
まずは前衛の5人から。
ミオは、盗賊技能と短剣術を治め、日々その腕を極めてきているこのパーティの目であり鼻である斥候だ。最近は天空母神『シルフィール』の神子の権能を使いこなすようになって、素の状態ではパーティ最速の移動速度を持つ事になった。
コトリは、剣術と魔術をうまく組み合わせた戦い方を好み、素の状態でも出す事の出来たあの火炎衝撃波(私命名)が、さらに魔術を組み合わせる事によってグレードアップしてしまった。なお、6大神の黒巫女の権能については、その力の及ぶ範囲が広大なため、現在は全体の2割程度しか使いこなせていない状況である。
ナオミチは、剣術オンリーの完全物理攻撃だったが、剣神『アレスセメクト』の神子の権能を使いこなせるようになった副次効果で、念願だった魔術も少しだが使えるようになっている。現在は、剣術と魔術をどうやって組み合わせていくかを、コトリに師事して特訓している状態である。2人とも脳筋なので、その考え方と使い方も、どちらかといえば脳筋よりになってしまっているが・・・・・。
ヨシナリは、長尺武器全般をすでに使いこなせていたが、今は楯術にも興味を示しているパーティのタンクである。スキップ申請の時は付け焼刃だった楯術も、対戦相手だったダイサムさんに師事して、急成長を遂げている。大地母神『エルザノーム』の神子の権能も使いこなして、まずます皆を守護する最強タンクの道を邁進している。
前衛の最後は、ぺニアだ。
何と、新たなメンバーであるぺニアは、修道女と言っても『魔祓い師』になっている脳筋よりの修道女であり、その武器も退魔を専門とする武装剣術と、変形戦鎚(頭の部分が鎚と斧になっている)重量武器を振りまわるパワーハイターである。
なお、修道服姿で重量武器を振り回すぺニアは、それはそれはいろいろなアニメに出てくる同系統キャラに被ってかっこよかったが、今のメイド服姿でも結構イケてる感じかな?私もそうだけど、修道服よりもメイド服の方が、聖女様という雰囲気がないためいろいろと好都合である。
そんなぺニアは、武器の持ち運びに、何時も苦労していたみたいなので、ついつい【アイテムボックス】をぺニアに付与してしまった私である。この付与された【アイテムボックス】によって、ぺニアの武器はさらに多種多様な重量武器が揃えられていったのは、笑い話になってしまったほどである。
ちなみに、たち5人にも、ハルナたちが神々の権能が使いこなせるようになった段階で、【アイテムボックス】の付与自体は終了していたりする。
次に後衛の3人。
まず私事ヒカリは、魔術と徒手空拳で闘う前衛よりの魔術師である。私もどちらかといえば、脳筋よりなんだけどね。基本的に前も後ろもバッチコイ!な戦闘方法だが、現在は前衛陣が多いこのパーティでは、魔術師として働いている私である。
ハルナもまた、治癒と支援術でパーティを支えるヒーラーなんだが、私の愛弟子という事で、脳筋御用達の徒手空拳も極めている。なお治癒神『メディサリーヌ』の神子となった事により、治癒術に関しては私よりも上で、その腕はサクラピアスで最上位に位置しているほどだ。
マキは、魔術神『イシスアマト』の神子の権能によって、どっちつかずな私よりも魔術の腕はピカイチな魔術師として成長した。一応短剣術を持ってはいるが、それは自己防衛手段として嗜んでいる程度なので、物理攻撃力はパーティ内で一番下である。
閑話休題。
私独自の暦である月経歴で計算すると今日は5月1日なので、生理が始まる日なのだが、バティスティア聖教の信徒になり、さらにはトップである巫女になってからは、生理はしっかりと来るのだが、今までのように生理痛のようなことは起きず、魔力もに関しても普段通りである。
なので、この私独自の暦は今日までとし、今後は一切使わないと思っている。
そして信徒になると、特に女性側にこう言った体調に関する変化が起こり、結婚の儀を踏まない限り子供ができる事はなくなる。ちなみに、すでに結婚の儀を終えて夫婦となっているマキとヨシナリは、何時でも子供を作る事が可能になっている。
なお、強姦などに遭ったとしても、蹴魂の儀を踏まない相手とは、一切男女2人で行う運動会もできなくなっているのは余談だ。それでもやるバカはいるのだがね・・・・・。
さて、早朝のお祈りを終えた私達『ご主人様とメイドさん』のパーティメンバー8人は、ガイストさんたち鮮血の雷と、そのほか50人くらいが待つ西門へと歩いていく。
「ガイストさん、おはようございます。」
「おはようさん、ヒカリちゃん。今日はよろしく頼むな。」
「私こそ、よろしくお願いします。今日は初めての護衛依頼ですから、ご指導のほどよろしくお願いしますね。」
まだ開門していない門の前で、ガイストさんたちを発見して朝の挨拶を交わす私たち8人。その後は、ガイストさんに連れられて、本日のお仕事である護衛する団体様に挨拶をしていく。
なお、挨拶を交わしていくのは、リーダーである私だけだ。今は仕事着であるメイド服なので、私たちの事を巫女様だの聖女様だのと呼ばないように、ついでに話し合っておく。ちなみにぺニアも、現在は私たちパーティの制服?であるメイド服を着こんでおり、私たちが誰なのかは、言わない限りただの冒険者である。
”ゴ~~~~ン”と、日の出の合図と共に重たい城門が開かれる。我先にと門を飛び出ていく冒険者たちは、近場の依頼を受けて、今日中にサクラピアスに戻ってくる者たちだ。
その後に出発する私たち一行は、荷物を満載した馬車が数台並ぶ旅商人と、長距離を走破する辻馬車の一行である。今回私たちは、サクラピアスと魔境側に入った最前線の開拓村であるオークド村までの護衛を依頼として受けている。
ちなみに、護衛集団としての冒険者は、兼業汲めて20人の大所帯。護衛される側は、商人さんが15人と、辻馬車のお客さんが20人の計5人。合計55人にも及ぶ大所帯である。ちなみに、馬車の数は合計で15台にも及んでいる。
全行程の予定日数は、15~30日間をみている。
もっと少ない人数なら、10日間ほどで走破する距離みたいだが、今回は50人を超す団体様であり、さらに言えば重たい荷物を満載している馬車が隊列を作っている。そのため、工程には余裕を持っているわけである。
なお、途中に3カ所小さな村があるが、宿泊施設は小さいモノしかないため、今回は必要物資の身を調達したら通過していく予定である。
のんびりと川沿いを沿うように走る街道を進み、その日の夕方前に私が再建したあの橋の袂に到着する。前回はここまで半日ほどで行けたのだが、やはり人数が多いと予定通りにはいかないモノだとつくづく感じてしまう。
橋を渡る前に広がる広場を野営地と定めて、本日の野営の準備を行っていく面々。ちなみに橋を渡らないのは、ここから先は魔物の領域であり、いつどこから魔物が襲ってくるかわからないためだ。そのためここならば、橋を防衛拠点として、襲ってくる魔物と対峙できるので、防御・攻撃併せ持つ一石二鳥な場所なのである。
街道を塞がないように左右に展開して、野営準備を始める面々。私たち8人は、ガイストさんたちと共に橋に一番近い場所で野営をする。
「まずは、寝床の作成なんだが、俺たちは女の子が多いからな。」
「・・・・そうなんですよね。普通だったら、女の子を馬車の中に押し込めて、男が馬車の外で野営・・・・・と行きたいんですけどね。」
「まあな。普通ならそれでいいと思うぞ。しかし、俺たちは全員冒険者だ。自分の身程度なら、余裕で守れる戦闘力を全員が持っている。」
ガイストさんの困惑した喋り方に、私がその理由を推測して答えていく。男が5人に女が7人のパーティ編成なんだが、全員が全員何らかの戦闘スキルを持っているので、さらに話がややこしくなる。
さらにややこしいのが、今回私たちは護衛依頼を受けているため、この団体様を護衛するのが最優先事項になる。
まあ、私たちだけで悩んでいても仕方がないので、護衛集団としての冒険者20人の位置決めを行うべく、冒険者全員を招集する事にする。なお、護衛される立場の商人さんや辻馬車のお客さんたちは、私たちの意見に従うように厳命されている。勝手な行動をとられると、護衛する立場としては何もできなくなるからだ。
「さて、今後も絡んでくる事柄だが、基本的な護衛計画をここで決めてしまおう。」
「そうだな、それがいいかな。これだけの大所帯だと、基本計画を決めておかないと、後々大変な事態を引き起こしかねん。」
今回の護衛団の団長を務めているのは、ガイストさんと、『鮮烈のサイコキック師団』というAランク冒険者パーティのリーダーであるムライムさん。リーダーが2人いるのは、移動時において最前列を担当している鮮血の雷と、最後尾にいる事が多い鮮烈のサイコキック師団のリーダーだからだ。基本的に護衛団を務める冒険者たちは、それぞれ隊列をなしている馬車に2~3人ずつ分散して乗車している。
護衛される馬車に、乗車できる亜希が存在していれば、護衛と言えど馬車ににって護衛するのが当然である。歩きと馬車とでは、その移動速度が倍近くあり、さらに有事の際に『歩いていてつかれていました』ではお話にならないからだ。
「今回もそうだが、この先も、基本的に野営する場合は、街道を挟んで左右に展開する事にする。そして野営時は家族とか仲間とか、そういった事は一切関係なく、男女で左右に別れて野営していこう。もちろん、護衛団も男女に別れてもらう。食事については、皆で纏めて行う事になるが、・・・・これでどうだ?」
ガイストさんが、野営の際の護衛方法の叩き台を提示する。
「そうだな。そうした方がいろいろと精神上安全だな。子供はどうするんだ?」
ガイストさんの意見に、ムライムさんが賛同し、他の面々も基本的には賛同する。そして、この団体様の中に5~6人いる、子供の扱い方の確認を行うムライムさん。それに対しガイストさんは。
「基本的には、子供も関係なく男女に別れてもらおう。聞き分けのない場合は、どちらかの親に預けてしまえ。」
という事になった。もちろん不寝番の順番も、当然決めておきましたよ。
さて、護衛される面々も巻き込んでの、野営準備が本格化する。この辺りの事情は、『旅は道ずれ、夜は情け。仕事しない奴には飯はなし』という宣言の下、全員が一致団結して野営準備を行っていく。
まずは護衛団の中から、周囲の警戒を行う者を決め、それぞれの配置について警護をする。ちなみに、橋を渡った先に3人、サクラピアス側の街道上に2人、野営地の奥側(街道から一番離れている場所)に3人ずつの合計11人が配置に着いた。
そうしたうえで、連なっている馬車を等分に別け、左右の野営地の周囲に展開していく。馬車と引いていた馬は、一番安全なサクラピアス側にある木々に手綱を結わえておいた。
「子供たちは、あたしに続いて川に水汲みに行くよ!」
コトリに続いて、6人の子供が、それぞれ桶を両手に持って川へと降りていく。
私やマキが魔術で水を出せば水汲みはしなくてもいいのだが、これは子供たちに仕事を与える意味もあるので、水の確保は子供の仕事となっている。
何往復もして、本日の夜の分の水を確保した後は、馬たちの世話を御者さんたちと共に、子供たちが手分けして行っていく。これもまた、子供たちに与えられている仕事の1つである。
子供だろうと何だろうと、できる事をやってもらわないと、何時まで経っても野営は出来ないのだ。
さて、そんな子供たちを横目に、私を含めた情勢メンバー全員で、55人分の食事の準備を行っていく。先ほど川の向こう岸にいた、トンブーという名の豚の魔物10匹を暇を持て余していた男ども(テントなどを張り終えて暇をしていたのだ)仕留めてもらい、すぐさま手が空いている者たちで手早く解体。今晩のおかずとして、現在スープ内で煮込まれたり、塩をふって焚き木で焼かれたりしている。
なお、同時進行で明日の朝ごはんの準備も行っているのは、女性人のみの内緒ごとである。
ちなみに、明日以降の朝食の準備は、不寝番の最終組である私とコトリのお仕事でもある。
「晩ご飯、できたよ~~~~。」
私の合図で群がる男ども。それぞれの織機を持参してもらって、女性陣が配膳をし、野営地全体に広がって食べてもらうスタイルになっている。なお使い終わった食器は、各自で川に下りて洗ってもらう事になっている。
こうして、護衛依頼1日目の夜が過ぎていったのだった。




