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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第4章】まったりとした日常風景
52/139

【04-05】太陽神アマテラスの聖女

今日は、NMDC23667年8月1日だ。ちなみに、この世界に来てから132日目の朝である。

私はまだ日も昇らぬうちから起き出しており、サクラピアス大聖堂にある禊の泉に浸かって朝日が昇るのを待ち続けている。毎月1日に行われる『月初の大祭』の関連神事である『太陽神の復活祈祷』という神事を執り行うために・・・・・。

現在は夜が白みかけており、とっても清々しく、そして少し肌寒い早朝である。


ここコロラド王国では、北部や西部の山岳地帯を除き基本的には冬という季節はなく、雨季(1~3月・9~10月)と乾季(4月~8月)に別れており年間を通して常夏の季節が続く気候帯に属している。しかし、現在私たちが暮らすここムハマルド辺境伯領は、その希少な高山地帯に属しており、その中でもさらに北にあるここサクラピアスでは、季節はすでに冬の足音がすぐそこまで聞こえてきたいる。

そのため、山々は紅葉で色とりどりに色づいており、とってもきれいな季節・・・・・・・はとうに過ぎ去り、つい先日初雪が観測されてしまった。まだまだ10日に一度くらいしか雪は降らないし、地面も温泉の影響で暖かいため積もる事はないが、あと1カ月もすれば本格的にに街中でも積もりだすみたいだ。

すでに、遠くの山々は半分以上が綿帽子を被っており、中にはすでに下の方まで真っ白という山も散見できる。


・・・・まあ、それはともかく。


とうとう来てしまったのだ。あの日が・・・・・。


あっ!


ちなみに、もともと魔術師じゃなかったため、魔力操作ができなかったミオ(盗賊+短剣術)・コトリ(剣術+魔術)・ナオミチ(剣術)・ヨシナリ(長尺武器+楯術)の4人は、この約20日間でなんとか魔力操作を形にでき、現在は神々の権能を使いこなす訓練に入っている。

まあコトリは一応、形だけとはいえ魔術は使えたのだが、あの子本能で使っていたフシがあるからね。こうやってまじめに、魔力制御からやった事はないんだよね・・・・・。

この訓練の結果、ある程度の魔術も使えるようになるとは思うが、それはまた別の話なおで今は割愛する。


今日は、あの日・・・・・、私が正式に神々から『6大神の白巫女』という(ありがたくない)神勅を賜った日に、サクラピアス大聖堂側から請願された毎月1日に行われる『月初の大祭』が行われる日である。この日だけは、バティスティア聖国の身分を持っている者(この世界で暮らしている8割前後の人族すべて)たちに対しての義務であり、これを条件に聖国が身分を保証しているのだ。

まあ実際には、この日に町にいなければ参加しなくてもよいが、たいていの人々はこの日はお仕事を休んで、聖教の神殿ないし教会に参内するのだ。

ちなみに私たちの(バティスティア聖国での)身分はこうなっている。


ヒカリ・・・・在家巫女(6大神の白巫女)

コトリ・・・・在家巫女(6大神の黒巫女)

ハルナ・・・・在家司祭(治癒神『メディサリーヌ』の神子)

マキ・・・・・在家司祭(魔術神『イシスアマト』の神子)

ミオ・・・・・在家司祭(天空母神『シルフィール』の神子)

ナオミチ・・・在家司祭(剣神『アレスセメクト』の神子)

ヨシナリ・・・在家司祭(大地母神(地の神)『エルザノーム』の神子)


閑話休題。


私たちがサクラピアス大聖堂へと入ったのは、前日の7月40日の午後だ。それは、日付が変わる時間帯からすでに『月初の大祭』の関連神事が始まるためだからだ。

そして何故か冒険者ギルドに私たちのパーティ『ご主人様とメイドさん』名義で指名依頼の形で、神殿側から依頼?があったためだ。

実は、全員がCランクである私たちは、その実力はすでにBランクの上位くらいまである事は、一部の関係者には知られている事実でもある。

しかし、実績がないが故に、Cランクのままなのだ。

これは、冒険者ギルドとしては人材の無駄であり、さっさと上のランクへ上がってほしいのが本音である。

そのため、いろいろと強引に実績作りが行われ、その一環として『サクラピアス大聖堂から聖女様御一行に対し儀式への参加依頼』というモノが発行されてしまったのだ。

こうして今夏の儀式の前にも2度ほど同じような依頼があったほど。これから先も、儀式ごとに同様の指名依頼があると、すでに神殿側と冒険者ギルド側から宣言されてしまっている。

まあ、理由はどうあれ、これも立派な実績作りであるし、依頼側がサクラピアス大聖堂である。当然その貢献度も最上位に位置している団体様であるから、実績作りには最適な方法?でもあるのだ。


そのあたりの、大人の事情というヤツは置いておこう。


「おじゃましま~~~~す。」

「聖女様。お待ちしておりました。」


(まだ3回目だが)いつものように神殿の裏口から中に入る私たち一行。

裏口を守る門番にすら顔パスで通された私たち一行は、案内された建物(裏門近くにある小さな建物)でしばらく待つ事になる。これもいつもの事であり、私たちが通された部屋は、その建物の中でも一番格式のある部屋である。


”コンコン”

「はい。」


ノックの音に代表して、私が答える。


「サクラピアス大聖堂の聖女様以下、当神殿の代表者をお連れしました。」

「わかりました。入ってください。」


部屋の外にいる護衛の神殿騎士からのお伺いを許可する私。その後、部屋のドアが開かれて、部屋に入ってくるいつもの面々。

ここサクラピアス大聖堂のトップ、『サクラピアス大聖堂の聖女様』であるシスターアンタルと、枢機卿のパラゼウス5世様、司教のサーライ様、ダンデム様、エリザベート様。そして、私たちのお世話を担当している修道女が10名くらい。

なお、ここにいる修道女は、私たちと同じ日に洗礼の神事を受けていた者たちである。そのため、当然あの時私たちの総代だった、現在は太陽神(光の神)アマテラスの聖女(私コトリが聖女として君臨した時に、太陽神アマテラスからのご神託で『神子』から『聖女』になっていた)で現在はサクラピアス大聖堂の聖女であるシスターアンタルもいる。


このシスターアンタル(元の名をペニシニア=アンタルノースといい、出家した後の戒名がシスターアンタルとなっている)さん。なお私たちは、彼女が私たちの冒険者パーティ『ご主人様とメイドさん』にとある理由から加入した際に、普段は『ぺニア』という愛称で呼んでいる。


なお、現在はアマテラスの寵姫様なので、厳密に言えば修道女という聖位ではなく、聖女という名の聖位に就いているのだが、本人は今日のような儀式以外は修道女として生活したいという事なので、今でもシスターアンタルと呼ばれているだけである。そしてなんと、私とコトリ(6大神の聖女)がここサクラピアス大聖堂に不在の時は、2人の名代としての立場もあるのだ。


何故聖女でありながら、未だ修道女として振舞っているのかは、彼女の生い立ちが関係している。


シスターアンタルさん・・・・いや、パーティメンバーのぺニアは、実はここムハマルド辺境伯領と山脈を超えて隣り合っている西隣の国家『キリギネス連合王国』の公王令嬢であり、その当時は王太子・クラウド=ニア=キリギネス(様付けは、ぺニア本人からしなくていいと言われているので私はしていない)の婚約者だったのだ。ちなみに今から、3年ほど前の話であり、現在のぺニアの年齢は20歳である。

しかし、何かの陰謀でやってもいない罪を擦り付けられた挙句、『その身分と国民である事実をすべて剥奪し、終生国外追放処分』という判決を受け、着の身着のままの状態で国を追い出されてしまった。

その後、親切な旅商人に連れられて(詳しく聞けばこの旅商人はガイストさんだった事は秘密)サクラピアスへと来る事ができた。その後、バティスティア聖国以外は属したくないとの理由で、出家してサクラピアスで修道女として生活していたそうだ。


何処かで聞いたような話だね!まあ、それはいいとして。


その後、ぺニアがアマテラスの寵姫となった事は、出身国であり今は全く関係のないキリギネス連合王国にも、通信の魔導具を介して当然伝わっている。その結果、ぺニアを国外追放処分にした、当時は王太子で現在は国王であるクラウドから直々に、先日このような返信が届いている。


『キリギネス連合王国所属・アンタルノース公王令嬢ペニシニア=アンタルノースであり、現在は太陽神アマテラスの寵姫であり『サクラピアス大聖堂の聖女』であらせられる聖女アンタル様。

過去、我々があなた様に対し行った断罪は、再調査の結果冤罪と判明いたしました。

その結果、現在わが国では、聖女様に対し下された有罪判決を破棄し、すべての身分を回復している事をここに宣言しています。この結果、終生に亘る国外追放処分も取り消されているため、我が国への帰還をここにお願いしたく存じます。

NMDC23667年7月30日

キリギネス連合王国国王・クラウド=ニア=キリギネス』


この親書をぺニアから見せられた時、私はその場で破り捨ててしまおうかとも考えたほどだ。


どの口で、それをいいますか?

それに・・・・・・、王家が発した言葉をたったの3年で覆すなど、どんなに冤罪だったとしてもそれはいただけませんね。


ぺニア曰く、キリギネス連合王国は、狭い山岳地帯に築かれた国家で、前身は数百にも及ぶ都市国家らしい。その都市国家が、300年ほどの歴史をかけて分離・併合を繰り返し、現在の公王家20家によって纏まったのが今から500年ほど前である。そして国境を接している(コロラド王国を含む)強大国家と対峙するため公王家20家が纏まってキリギネス連合王国となったのが今から250年ほど前だ。

で、現在その連合王国を作るにあたってリーダーシップを取った公王家が王家を襲名し、それ以外の公王家が、領主となって各地を治めているという事である。ちなみに、ぺニアの実家だったアンタルノース公王家の領地は、ムハマルド辺境伯領と山脈を超えて隣り合っている。また、連合王国内では一番裕福な場所にあり、(いろいろな)国家資産の約4割を牛耳っていたほどだ。

ぺニアが国外追放された際は、国家に反旗を翻して現在は独立国家『アンタルノース公国』となっている。独立した時期がぺニアの国外追放の後だった事もあり、その時はすでに国の指示のもとに家族関係はなくなっているが、実は現在でも手紙のやり取りが行われているとの事。


そんなこんなで、すでに実家も連合王国から離れているのでぺニア自身、その国がどうなろうとあまり関心はないらしい。そこに住まう国民には悪いと思うが、戻る気も復縁する気もさらさらないのだ。


閑話休題。


軽く挨拶を交わした私たちは、そのまま連れ立って神殿奥にある住居区域へと足を運ぶ。まだ少し時間があるため、2回ほど行った神事において、仲良くなった神官さんたちともお茶タイムへと突入する。

当然私達女性陣は、ぺニア率いる上層部の女性陣との雑談としゃれこんでいる。なお男子2人は、先ほど仲の良い男性神官に連行されてしまったので、今はどこで何をしているのかは知らない。


「そうそう、今回の月初の大祭が終了したら、仕事でオークド村まで行く事になったから。ぺニアも同行してね。」

「えっ!どうして私まで行くんですか?普段のお仕事では、この町からは離れないはずですが?」


お茶の席で私は、今後の予定をぺニアに話した。ぺニアの言うとおり、今まで『ご主人様とメイドさん』として冒険者活動を行っていた際は、ぺニアはパーティメンバーでありながらサクラピアスにお留守番していたのだが、今回は少し事情が異なっている。

ちなみにぺニアは、私とコトリ(6大神の聖女)の名代に襲名した段階でわたしたち『ご主人様とメイドさん』と行動を共にする事が決定しているため、手続き上パーティメンバーとして登録してあるのだ。つまりぺニアは、冒険者としての資格も持っている。実は国外追放された際には、冒険者として旅をしていたためその実力も高く、現在はDランクとなっている。


「後で、枢機卿様からお話があると思うけど、先に話しておくね。今回の旅の目的は、雪に閉ざされる前に行う、オークド村での守護祈禱を行うため。去年までは、司教様か枢機卿様の誰かが行っていたけど、今年は私たちがいるでしょ?

そのお役目が、私たちに回ってきただけ。出立日については、枢機卿様から聞いてね。私もそのあたりに事は知らないから、あとで聞くつもり。」

「ああ。そういったお仕事があるんですね。去年まで私は、一介の修道女だったので知りませんでした。では、今回の神事が終了したら、枢機卿様のもとに出向いて一緒にお聞きしましょう。」

「同じ事を何度も話してもらうのも、申し訳ないからね。その予定でいいわよ。」


数日後のお仕事話もしたところで、ちょうどいい時刻になりました。さて、『月初の大祭』が今から始まります。

まず初めに体を清めるために禊の泉へと向かいましょうか。

私たち一行は、全員連れだって禊の泉がある『聖禊殿』へと向かって歩き出したのだった。



=追記=


『月初の大祭』の関連神事は次の通り。なお、新年1月1日に行われるこの一連の神事の事を、『新年の大祭』と特別に呼称されている。


ここでいう上位聖位とは、牧師・司祭・司教・枢機卿・教皇の事であり、神々から賜る加護である『聖女(女性のみ)』・『聖人(男性のみ)』・『寵姫(女性のみ)』・『寵君(男性のみ)』・『神子』の者が所属する神殿内にいた場合は、自動的に司祭以上の聖位を叙爵される事になる。

神託聖位とは、法皇・聖女・巫女の事である。なお神託聖位の名称は、男女の性別は関係なくこの名称で統一されている。そのため、法皇はともかく、聖女と巫女は男性がなるべき聖位モノではないとされており、基本的の女性化、男の娘のみが就任する事になっている。また神々も、男性(男の娘は除く)を聖女とみこのくらい言付ける事は滅多にない。


ちなみに私たちのメンバーでいえば、私とコトリは、当然在家巫女の聖位を賜っている。また、それぞれの神子であるハルナ・マキ・ミオ・ナオミチ・ヨシナリの5人は、在家司祭の身分を賜っており、シスターアンタルはアマテラスの寵姫であり、私とコトリ(6大神の聖女)の代理という立場なので、『出家聖女』の聖位を賜っている。


(1)月終の落日祈祷

毎月40日の日の入りの時刻に、各神殿にいる神官全員が神殿や教会等の西側に並び、夕日に向かってその月の平和と安寧が無事に迎え終了できた事を、太陽神アマテラスに祈りを捧げ感謝する神事。なお、10月40日の大晦日の神事のみ、『年終の落日祈祷』と別に呼称されている。


(2)月終の謝肉祭

1ヶ月間無事に過ごす事ができた事を、神々に感謝し当日朝までに奉納された食材を使用した食べ物を、神殿が庶民にふるまう大食事会。奉納された食材だけでは足りないため、実際はその町や村を治める領主や貴族が、残りの食材を負担する事になっている。


(3)月神神事

日付が変わる時間を挟んだ前後1時間、各月を守護している月神の交代を宣言する神事。基本的にその町や村に生活もしくは滞在している神官以上の聖位を持つ者全員の参加が義務付けられている。


(4)太陽神の復活祈祷

毎月1日の日の出の時刻に、各神殿における聖位の最高位(上位聖位もしくは神託聖位の中での最高位)に就いている者が日の出の時刻を挟んだ20分間の間、禊の泉に浸かって聖句を唱える神事。その月の平和と安寧を願って、太陽神アマテラスに祈りを捧げ祈願する神事。なお、1月1日の新年の神事のみ、『年初の復活祈祷』と別に呼称されている。


(5)聖浄行列

先月1カ月間に及び町中に堕ちた穢れを祓うため、決められたルートを神官全員で行進し、決められた場所で浄化の儀式を執り行う神事。町の大きさに左右されるが、2~10時間ほどかかる神事となる。


(6)成長祈願の勅杯

すべての神事の締めとして行われるのがこの神事。日没を基準に開始し、2~3時間ほどで終了する。その月に(神殿や教会が所在する町や村で)生まれた子供の中で、満年齢が1歳・3歳・5歳・7歳の子供すべてに対し、成長祈願を神々に祈る神事である。

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