【03-10】聖女様にはなりません!・・・・・いまのところ
「では信徒ヒカリよ、聖杯を持って祭壇へと進め。」
「はい。」
いよいよ私が、『神賜の儀』を行う番になる。なお、不思議な事に7人のうち私が一番先頭である。
他の面々が行っていたように、祭壇の中央まで進み、聖杯を数多の高さまで掲げる私。そこに、三三九度の杯の担当である修道女が、同じように各神々を模る神像の御前に供えられているお神酒を持ってくる。そして、掲げられている聖杯に、儀礼に則ってお神酒を注いでいく。この時、私の手に持つ盃にお神酒が注がれた瞬間、今までとは違った変化が起こってしまった。
そう・・・・・・・、起こってしまったのだ。
私は内心「ちっ!」と舌打ちをし、「特別待遇反対!」と、とある最高神様に抗議をする。受け入れられたかどうかは知らないが・・・・・・。
今までの人たちと、同じような待遇でよかったのに~~~~~。
本来神賜の儀とは、神々の加護を受けるために、神と契りを結ぶ儀式である。では、すでに特定の神と、何らかの契り(それも向こうからの一方的な?)を結んでいた場合はどうなるのか?
そういった者が、何も知らずに参加していた場合は?
・・・・・その答えが、この状況である。
そして、私の知らない間に、ハクトまでお外に出てきて・・・・・。それも、仔犬サイズではなく、最初に出逢ったの大きなサイズで私の真横でお座りなんかしていらっしゃる。
そしてその尻尾は高速で左右に振られているのを見て、『かわいいな~~~~~~』と、荒れ荒んだ心を落ち着かせる私。
・・・・・ちくせう!
・・・・・訴えてやる!
・・・・・どこに訴えるかは知らないけれど、確実に訴えたやるからな!
覚悟しとけよ6大神様!
そ~~~~んな事を思いながらも、何も知りません!私のせいじゃありません!みたいにすべてを無視して儀式を進めていきます。
私と・・・・・・・・、担当の修道女さんは。
しかしこの修道女さん。肝が据わっているというか・・・・・・、精神が図太いというのか・・・・・。
他の面々なんか見て視なさい。
観客なんかは、すでに魂を飛ばしてはいけないところへ飛ばしていますよ?
神賜の儀を受ける面々は、この雰囲気と光景を見て、少し唖然としているようですが・・・・・
そして、司祭様はと言えば・・・・・・・。
「伝記にある光景が・・・・・。目の前で繰り広げられている・・・・。」
とか何とか呟いており、こちらも半分ほど魂が抜けかかっているような・・・・・。
まあいいや。儀式を勝手に進めていきましょう。
1の杯で、3回に分けて注がれたお神酒を契りを結ぼうとする我々が3口で飲み干す。
2の杯で、同じく3回で注がれたお神酒を、祭壇に置かれた三方に3口に分けて中のお神酒を注ぐ。
3の杯で、再び3回に分けて注がれたお神酒を、1口目は自らが飲み、2口目を三方の中へと注ぎ、3口目は自らが飲んで飲み干す。
そんな感じの、三三九度の杯を行った後、お神酒を注いだ三方はと言えば・・・・・。
やっぱり、というか、・・・・・・・案の定。どっちでも同じ意味か。
案の定、ピカ~~~~~っと、七色に輝きましたよ。そう、輝いたんですよ、・・・・本当に要らない演出してからに。
特別待遇、は・ん・た・いです!
どの神がどんな加護を与えたのかが神勅文字で刻まれているのか、私には見ないでもわかります。唯一解らない事といえば、それ以外の神々が、・・・・というか、残りの5大神様がどう出るかですね。
こればかりは、私には理解不能な事なのです。神様たちの考えなんて、理解したいとも思っていませんが・・・・・・・・・・。
そんな私の願いもむなしく、ここぞとばかりに世界を統べる6柱の神々(空間神『スぺーリシア』・時間神『タイムリア』・創造神『クインメシア』・次元神『ディメンシア』・破壊神『ダークメシア』・重力神『グランヴィア』)からの私にとっては傍迷惑なお言葉が、この神殿にいる全員に届くように紡がれる。
『ここより違うたがう世界において、されどこの世界と同一の世界において、我らと類なる6柱の神々の寵愛を受けし者よ。その縁に則り、汝に我ら6柱の寵愛を授け、汝をこれより『6大神の白巫女』とし、我ら6柱の化身となる事をここに示す。』
ああ~~~あ~~~。そんな事を、こんな場所で宣言されると、私のこれからのお気楽異世界生活が、一変しちゃうじゃないですか!
ここはやはり、コトリも巻き添えにしないと、気が済まないというかなんというか・・・・。
『2人で1人、1人で2人となる存在なる『空間神の黒巫女』よ、我ら6柱の前へと姿を現せ。』
そんな事を考えていると、いきなりコトリが私の真横に転移してくる。当然コクトも仔犬サイズではなく、最初に出逢ったの大きなサイズでお座りしていた。
そして、私とコトリが祭壇中央に揃った瞬間、強制的に服装が変化する。そう、『空間神の白(黒)巫女』になった際にもらった?あの専用巫女服装備に変化したんですよ。
だ・か・ら!
特別待遇反対ですってば~~~~~!
そしてコトリは、神賜の儀もしていないのにその場で『6大神の黒巫女』に命じられてしまう。さらに言えば、ハクトとコクトも、本来は世界樹を回らないと進化しないはずなのに、何故か完全体へと進化してしまっており、その姿は轟々しくなっており、神の眷属という名にふさわしくなっている。
『これより汝ら2人を改めて、我ら6柱の権能をすべて扱える権利を与え、『6大神の白巫女』と『6大神の黒巫女』として、我らとともにある事の証として、6柱の神々から『聖女』の加護を与える事とする。
また巫女とは聖女であり、我ら6大神の聖女を巫女と称す。』
そんな(私とコトリにとっては)どうでもいい宣言を6柱の神々が行った瞬間、バティスティア聖教の神殿・サクラピアス大聖堂内において、この世のモノとは思えない光景が繰り広げられた。
6大神はもちろんの事、上位神である太陽神(光の神)『アマテラス』・月光神(闇の神)『ツクヨミ』・天空母神(風の神)『シルフィール』・生命母神(水の神)『ウンディーネ』・鍛冶母神(火の神)『サラマンダー』・大地母神(地の神)『エルザノーム』・無明母神(無の神)『パラケルスス』やその眷属神すべてが聖堂内に顕現する。
その上で、何やらいろいろと口上を述べた後、この場に参列していた全員に対し、与えていた加護を『史上初めて6大神の聖女(巫女)が誕生した祝杯』という名目で1つ上(ただし、聖女・聖人・寵姫・寵君は除く)にあげてしまう。なお、加護が上がったのは、このサクラピアス大聖堂の”敷地内”にいた者のみであり、敷地の外にいた者にはこの効力は(あとで聞いた話では)発揮しなかった。
ちなみに、まだ神賜の儀を行っていないハルナ・ミオ・ナオミチ・ヨシナリ・マキの5人は、儀式を行っていなくても何らかの神々の『神子』となっていた。
詳しくは、後ほど語るが・・・・・・。
その後、神賜の儀の残りの部分を滞りなく(超高速で)終了させた後、私たち7人は、神殿の奥深くにある建物へと連れていかれる。その際私たちは、(まったく関係のない)ガイストさんも道ずれにしているが・・・・。
なお、何かの時間稼ぎなのかどうか知らないが、神殿何のいろいろな建物を案内されながら進んでいる。
あれがどうとか、これがどうとか言われても、私には全く理解できませんでしたが・・・・・。
連れていかれた部屋には、何故かこの神殿の幹部全員が(盛装姿の正装で)整列していた。
何時の間に連絡があったのだろうか?
神賜の儀からまだ、30分くらいしか経っていないはずだよね?
普段着用の修道服でここにいるのならまだ理解できるが、明らかに10分では着替える事ができないほどの盛装修道服を着用している人物(たぶんこの神殿で一番偉い人)もいるのだ。
どれだけ早着替えをしたんだろうか?
まあ、いいや。
案内された応接間のような巨大な部屋で、私とコトリは、当然のように上座にあるソファーに案内される。そして、私たちから見て左側に神殿関係者が、右側にハルナ・ミオ・ナオミチ・ヨシナリ・マキ、そしてガイストさんが座る。
「まず初めにこちら側、バティスティア聖教・サクラピアス大聖堂の面々をご紹介いたします。こちら一番上座に座っておられる方が、この大聖堂のトップ、【枢機卿】パラゼウス5世様です。順に【司教】のサーライ様、ダンデム様、エリザベート様。司祭のエレケウス様、ケンフェール様、ワトソン様、プチタエール様、そして私が洗礼担当司祭のジョージです。」
まずはじめに、何処の誰だかわからない私達のために、自己紹介を始めたサクラピアス大聖堂の面々。私たちが『異界からの来訪者』という事で、神殿側の事情に全く知らないための処置なのかどうかはわからない。というか、普通の人は、ほとんど関係のない組織のトップの事など、余程の暇人でもない限り知らない事だろう。
「では、こちら側の自己紹介をします。私はこのたび、『武神の神子』と、『魔術神の加護』の加護を頂いたハルナです。」
最も下座に座っていたハルナから、こちら側の自己紹介は始まった。なお、現在の私たちの服装は、着替える間もなくこの部屋まで連れてこられたため、(私とコトリ以外は)真っ白な修道服である。ガイストさんも、デザインが少し違っている(首回りが詰襟の形状になっているだけ)で、真っ白な修道服を身に纏っている。私とコトリは、儀式の際に強制的に変更した専用の巫女服だ。
「私は先ほどの儀式において、『6大神の白巫女』となったヒカリという者です。私の隣でお座りしているこのオオカミは、私の眷属でもあるハクトです。」
私は、ハクトの柔らかい毛並みを堪能しながら(モフモフする事で、現実逃避しているともいう)自己紹介を簡潔にする。皆もこんな感じなので、詳しく語らなくてもいいだろう。
「あたしも先ほどの儀式において、『6大神の黒白巫女』となったコトリです。私の隣でお座りしているこのオオカミは、あたしの眷属でもあるコクトです。」
コトリもまた、私と同様にコクトの毛並みを堪能しながら自己紹介を簡潔に済ました。
この後、前置きという名の祝辞の言葉が、神殿側の面々から繰り広げられる。こういった席では、本題に入るまで時間がかかるのはあたりまであり、・・・・・どの世界でも同じなんだろうと諦める。
そして長い長い前置きが終了し、本題に入る時に私から釘をさしておく。
「1つ言っておきますが・・・・・。
私とコトリは、まだまだこの世界について勉強中の身でもあります。それは、私たち7人の肩書の1つが、『異界からの来訪者』だからです。そのため、我々は、聖女や神子としてを職務は行う事に異存はありませんが、専属としてバティスティア聖教の組織に組み込まれる予定はありません。」
私たちの肩書の1つである、『異界から来訪者』を前面に出しては見たが、これはただのお逃げの言葉でもある。この世界について勉強中なのは確かだが、ぶっちゃけてしまえば『まだどこの組織にも入る予定はありません』と断言しているようなモノだ。
まだまだほとんど楽しんでもいないここ、テラフォーリアの大地の隅々までとはいかなっけど、せめて半分くらいは廻ってから何処かの組織に入る事を考えたいのだ。
「その事は、神殿側も重々承知しております。聖女様たちの肩書は、在家聖女もしくは、在家神子とさせていただきます。その上でお願いがございます。できうることならば、毎月1日に行われる『月初の大祭』だけは、ここサクラピアス大聖堂もしくは、バティスティア聖教所属の神殿や教会等で参加していただきたいのです。
それ以外は、自由にして頂いて結構です。また、旅の途中などで町などに立ち寄れない場合は、無理をして参加していただかなくても結構です。」
「・・・・まあ、その位なら、別に構いませんが。」
その位なら別にいいかな?こんなたいそうな称号を手に入れたからには、何らかの宗教行事に参加しないといけないだろうとは思っていた。あとは・・・・・・・そうだね。あれを言っておかないとね。
「あと、まだ独身であり、これといった恋人や婚約者もいない私たちに対し、何処かの誰かを強引に婚約者にすると言った行為だけはやめてください。それをしてほしい場合は、こちらから言わせていただきます。」
「それは重々承知しております。あと6大神の巫女様の仰っている事なので、神殿すべてに伝達しておきます。」
そういう事になりましたとさ。これで私たちは、しばらくの間は自由である、




