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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第3章】異世界に来てから最初の町です
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【03-08】洗礼の神事(その1)

冒険者ギルドの用事を済ませ、お昼を食べて次はバティスティア聖教の神殿・サクラピアス大聖堂が、目的地である。なお昼食は、港周辺にある屋台街だった。自分に家で食べる事も(家計の上では)大事だが、いろいろな物価を調べて覚えていくには、こういった食べ歩きも重要な要素になるのだ。


で、バティスティア聖教の神殿・サクラピアス大聖堂に到着である。

玄武岩でできた武骨な作りの神殿は、冒険者ギルド同様に有事の際の住民の避難場所としての機能も有している。そのため、結構頑丈にできており、防衛機能としてみても及第点を上げれるほどである。

まあ、それはいいとして。

大通に面した正面出入り口を入り、巨大な吹き抜けのだだっ広い(直径50mほど)エントランス空間を歩く。厳粛な空間かと思いきや、壁際にはテーブルとイスが並んでおり、庶民の憩いの場のような雰囲気を持っている。というか、修道女らしき人物が給仕をしているのでまるで喫茶店である。

そんな空間は、1階から最上階となる5階まで見渡す巨大な吹き抜けになっており、ドーム型の天井には巨大なシャンデリアが釣り下がっている。

私たちは、そんな喫茶店スペースに置かれている机を占拠し、近くを歩いていた修道女に用件を伝えた。


「ようこそ、サクラピアス大聖堂へ。本日は、どのようなご用件でしょうか?」

「信徒身分を得るための洗礼を受けに来た。俺ではなく、こいつらにだな。ついでに、コーヒーを人数分くれ。」

「かしこまりました。では担当者をお呼びいたしますので、しばらくここでお待ちください。コーヒーはすぐにお持ちいたします。」


そう言って修道女は、軽くお辞儀をしてからいったんこの場を立ち去った。何気に修道女の行動を観察すると、カウンターのような場所で注文したコーヒーを受け取りながら、別の修道士に私たちの用件を伝えているようだ。


「お待たせしました。ご注文のコーヒーです。料金は2400テラとなります。」


ここで飲むコーヒーは、1杯300テラらしい。物価的に見ても、日本とあまり変わらないみたいだし、『円』を『テラ』に置き換えれば済む事なので大きく変える必要もないだろう。『1テラ』=『1円』みたいだしね。


ここテラーフォーリアでは、共通通貨制度を導入しているため、国境を越えるごとにその国の通過に両替するといった、めんどくさい事はしなくてもよい。あれって、結構面倒くさいんだよね。いちいち為替レートを考えないといけないし、通貨の価値によってもろその国の力関係が分かっちゃうからね。

ちなみに共通通貨は次の通りである。なお、各国ごとに通貨の表面の意匠が異なっているため、コレクターなるモノが存在しているらしい。ちなみに、インフレやデフレなどに対応するため、国単位や地域単位で独自通貨を発行している場合もある。


1テラ・・・・・小銅貨(1円玉くらいの大きさ)

10テラ・・・・大銅貨(10円玉くらいの大きさ)

100テラ・・・小銀貨(10円玉くらいの大きさ)

1000テラ・・大銀貨(100円玉くらいの大きさ)

1万テラ・・・・小金貨(100円玉くらいの大きさ)

10万テラ・・・大金貨(500円玉くらいの大きさ)


100万テラ以上になると、『鑑札』と呼ばれる金属板に金額が印刷されたモノになる。この鑑札は、銀行ギルドが発行する魔導具であり、銀行ギルドに大口口座(最低が1億テラ以上となっているらしい)を持っている者でないと発行する事が出来ない。

鑑札自体の偽造は可能だが、お金が増えるどころか偽造した鑑札を使用された場合、発行元の手元のお金が減るだけなので偽造するだけ無駄である。

当然、偽造すれは犯罪者となって、町に出入りする事が出来なくなる。


閑話休題。


コーヒーを飲みながら待つ事約15分。


「お待たせしました。洗礼を担当している、司祭のジョージといいます。」


そう言って私っ体の座る席に現れたのは、司祭用の黒色を基本色とした修道服に身を包んだ20だ尾前半の男性だった。司祭はそのまま空いている席に座ると、手に持っていた書類を私たち7人に配る。


「まずはその書類に、必要事項をお書きください。」


言われたとおりに書類の空欄を埋めていく私たち。


「今回の申請には関係ないのですが、ここにある『在家神官』と『出家神官』は、どう違っているんですか?」


書類にはすでに、『申請する身分』の欄の『信徒』という欄に〇が打たれているので選びようがないが、後学のために一応聞いておく事にする私。


「そうですね。信徒の場合は在家も出家も関係なく全員が『在家』となるのですが、1つ上の『修行僧』と『修行尼僧』からは、在家なのか出家なのかを選ばないといけなくなります。

この違いは、現世の戸籍・・・・、今現在持っている各国家が発行する戸籍をそのままに、2つ目の身分としてバティスティア聖国の戸籍を得る方を、『在家〇〇』と呼称しています。逆に、現世の戸籍を破棄して、バティスティア聖国の戸籍のみになる方を『出家〇〇』と呼称しております。この呼称は、司祭であっても司教であっても、また最高位である聖女であっても同じです。

要は、バティスティア聖教の施設内で日々の生活を営んでいる方を『出家〇〇』と呼称し、日々の生活はバティスティア聖教の施設でなく市井で暮らしているが、各種就業行事はそれぞれの身分で参加されている方を『在家〇〇』と呼称しています。」


なるほどね~~~~。つまり、現状の私たちには、あまり関係のない事柄なのね。この先の身分を目指していくのならともかく・・・・・。

あれ?

そういえば私とコトリって、『空間神の白巫女』と『空間神の黒巫女』だったよね?さらに世界樹巡りをすれば、他の5大神の巫女のもなるみたいだし?

もし私とコトリの空間神の白(黒)巫女(この最機密事項)が神殿側にバレた場合って、いったいどういう扱いになるんだろうか?


「あと伝えておきますが、たとえ聖女様になっても、紙との結婚ではなく、普通の結婚は認められております。現に、私達市債の9割は既婚者ですし、神官の身分になった後でも結婚している者もいます。これは、『子孫繁栄とは、生物が生まれた瞬間から持っている普遍的な理(ことわり)であり、何人たりとも、例え紙が観であろうともこの事割に関連するあらゆる出来事や慣習等を邪魔する権利はない』となっているからです。

また奴隷以外は、好きでもない者に操を捧げる事はなく、その行為を強制してはならないとなっています。そのため、身分の貴賤なくそういった行為を行った者は、即座に所属する国家と我がバティスティア聖国の市民権を剥奪され、町で暮らす事ができなくなります。」


また、強姦は重犯罪だと宣言しているような内容ですね。

なお話によると、私たちが貰った市民証は、ギルドカードと同様に魔導具であり、各国家単位でそのカードの所在地(各町や村(小さな村は除く)にある城門で、カードを翳す魔導具が設置してある)の情報がリアルタイムで管理されているそうだ。

そして、神が定めた重犯罪を犯した者は、犯した瞬間にその魔導具に登録され、市民証の効力が失効するらしい。なお、これが有効に作用するのが『バティスティア聖教の信徒である事』となっているわけだ。

そのためガイストさんも、真っ先に私たちをサクラピアス大聖堂へと連れてきたわけである。


閑話休題。


「・・・・・はい、記入漏れはありませんね。では早速ですが、『洗礼の神事』を行いましょう。この初禊の儀は、バティスティア聖教の信徒になるための宗教儀式です。そのため、『バティスティア聖国の身分を申請する者は、すなわちバティスティア聖教の信徒である』という教義の下、申請者全員に行っていただいている儀式になります。

では、こちらへどうぞ。」


司祭のジョージさんに連れられて、神殿の奥へと進んでいく私たち。たくさんある部屋の1つに案内されると、何やら着替えを手渡される。


「まず初めに、この部屋で現世の穢れを落とす『初禊の儀』を行っていただきます。

男性は右の扉を、女性は左の扉を進んでください。

中に入りますと、係の者から沐浴着の入った袋を手渡されます。その袋を持ったまま奥の更衣室で沐浴着に着替えてください。なお、下着を含め、すべて袋の中にあるモノに着替えてください。

その上で、今まで着用していた衣服や装飾品等は、沐浴着の入っていた袋に入れていただき、それぞれの身分証を袋のこの部分に差し込んだのち、係の者に預けてください。

一連の儀式が終了した後、お返しいたします。


沐浴着に着替えた後は、その先にある禊の間において『初禊の儀』を執り行います。詳細については、禊の間にいる係の者の指示に従ってください。

初禊を終えた者から、専用の修道服に着替えていただきます。その後、大聖堂において、神官となる『初誓願の儀』、神々から祝福を受ける『神賜の儀』を執り行い、晴れてバティスティア聖国の身分、すなわちバティスティア聖教の下位聖位である『信徒』という身分が与えられます。この身分は、他の国家においては『平民』と同じと考えておいてくれても差し支えありません。

この3つの神事を併せて、『洗礼の神事』と呼ばれています。

ここまでで、だいたい半日くらいお時間がかかると思っておいてください。

では早速出会うが、まいりましょう。」


男女別に別れた入り口を潜る私たち一行7人。

まずは、沐浴着に着替え、男女に別れて初禊の儀に挑む。

入り口を潜ると、各人のサイズにあった沐浴着を手渡され、そのまま更衣室へと歩みを進めていく。

袋の中に入っていた沐浴着は、真っ白なワンピースの形になった貫頭衣。下着・・・・・・は、入っていないようだ。つまり、これ1枚のみを着用してこの先へ進めという事だ。まあ、これから水の中に入るので、下着があろうとなかろうと構わないのだが。

そして、この身につけるモノは、沐浴着の他にもう1つ。

銀色の鎖に繋がれているエンブレムで、2重の円の中に、六芒星を3つ重ね合わせたようなデザインである。よくよく見てみると、ここまで案内してくれた修道女や、その他係の者たちもこれと同じモノを首から下げていた。

たぶんこのエンブレムが、今回私たちが洗礼を受けるバティスティア聖教の世界観を表している、キリスト教でいうところの十字架のようなモノなんだろう。


私は、今現在着用している服からこの沐浴着に着替えた。モノ自体はワンピースみたいな貫頭衣なので、着替えるのも簡単である。今まで来ていた下着とメイド服を、沐浴着の入っていた袋にしまい、名札代わりの市民証を袋の所定い位置に入れてから係の人に預けておく。そして、先ほどのエンブレムを首にかけて完成である。他の面々の着替えたので、そのまま次の部屋へと進んでいく。

なお、履物はなく裸足である。ここから先は裸足だが、禊の後は何か履くのかどうかはまだ分からない。


まあ、いいや。


龍のようなデザインの注水口から流れる水(たぶん、聖水だと思われる)が満たされた聖泉に、1人ずつ入っていく。聖泉の深さも、いろいろな体格の人が使用するためなのか、階段上になった部分がいろいろな深さになっているのが見て取れる。

係の修道女の指示に従い、胸の高さまで浸かる程度まで階段を下りて、その場で1分ほど胸の前で手を合わせて合掌する。なお合掌する際に、首から下げているエンブレムを両手で包み込むようにする。

水から上がると、不思議な事が起こった。

普通あらば、ポタポタを水滴が滴り落ちているはずなのだが、着用している沐浴着を含め、聖泉に入る前同様に乾燥しているのだ。

どういった理屈で、このような現象になっているのか知らないが・・・・・。


『初禊の儀』を行った後、私たちは次の部屋へと案内される。

そこでは、この今着用している沐浴着の上に、真っ白な洗礼用の修道着に着替える。つまり、沐浴着が下着代わりとなるわけだ。

そして、この服装に着替えたら、『初誓願の儀』と『神賜の儀』が執り行われる神々の神像が祀られている大聖堂へと修道女の案内で向かっていく私たちである。

ちなみにこの後、たまたま礼拝に来ている(そうでない場合もあると思うが)一般人に公開する形で行われる『初誓願の儀』と『神賜の儀』では、この修道服以外は何も身に纏う事は出来ない。


なお、この洗礼用の修道服は、この1回のみの着用となる。沐浴着は、そのままプレゼントされる。

その後、私たちが着用していた修道服は、犯罪者が処刑される際に着用する処刑着として再利用される。当然ながら、犯罪者たちにも処刑の際は下着の着用は認められていない。

なぜこの洗礼用の修道服が、処刑される者たちの処刑着として再利用されるのかというと、『洗礼の神事で与えられる加護が、多少なりとも残っている』という前提で、処刑される犯罪者たちに最後の慈悲を与えるという名目があるからだ。

この名目上の前提条件故、処刑時において神官による懺悔のミサ等は行われる事はない。また、処刑自体が、犯罪者たちが行う最後の懺悔の時間であり、その結果神からの許しの洗礼を得て、輪廻の輪に加わる事ができるとされているからだ。

そのため、この洗礼用の修道服の形状は、男女ともに同じデザインとなる。

それは、この神事の後に回収されたこの修道着が、そのまま犯罪者が収監されている牢屋敷(中世ヨーロッパのように教会の地下ではなく、独立している施設)へとそのまま送られる。その後は男女関係なく、ただサイズの見合わせられて処刑判決を受けた犯罪者に着せられる。

そしてそのまま、死に装束となるのだ。


ちなみに、処刑される者以外は、『リトル・ホワイト・ドレス』という死に装束として着用するドレスがある。このドレスは、成人・未成人・身分の貴賤、そして男女問わず、死亡した際このドレスを着用して棺桶に納められるわけだ。なお、棺桶に納められた後は火葬されて、それぞれの家族が用意した墓に納められる。お墓自体もまた、防壁のある都市内にあるため、土葬するほどの土地がないという物理的理由もあるわけだが・・・・・。

なお、死者を火葬するのは、ゾンビやスケルトンといったアンデットになるのを防ぐためである。もちろんこの火葬処置には、身分の貴賤で土葬するなどもってのほかであり、いかなる立場の者でも守らないといけないルールとなっている。

そのため、動物にカテゴライズされている生命体は、それぞれの事情によって異なるが、すべからず火葬される運命にある。なお、魔物や動物については、魔石や皮、骨などの素材を剥ぎ取った後に、残った部位を火葬する事になる。

それでも、いろいろな理由によって、アンデット化してしまう例はそこらへんに転がっている。そのため、冒険者の仕事として、アンデットの処理は最優先事項であり、冒険者の義務となっている。

なお、アンデットを処理しても、基本的には報酬は出ない。

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