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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第3章】異世界に来てから最初の町です
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【03-06】冒険者ギルドのスキップ申請(その1)

「お前たちも体が温まったころだろうから、早速始めさせてもらおうか。」


全員で1時間くらい、準備運動がてらの乱取り稽古をやっていたら、突然背後から声がかかった。突然というか、30分くらい前からずっと見ていたのは知っていたけどね。


「そうですね。武器エモノにも慣れてきましたし、そろそろいいでしょう。で、あなたは誰ですか?」

「そうだね、ヒカリちゃん。それに、何時声をかけてくれるのかと、ワクテカして待っていたんだよ!」


私は、汗1つ掻かずにコトリとの乱取りをやめ、声の下方向へと振り向く。

私とコトリの言葉に、そこ・・・・というか、ガイストさんの隣にに誰かいた事は知ってはいたが、私のように声がかかるまであえて無視していたという気配に敏感な者。

同じく気配に敏感で、無視するわけではなく、殺気を飛ばしながら器用に乱取りをしていた者。

ガイストさんの隣に誰かいたという事実を、全く気が付かなかった者とに別れていた。


「ああ、俺か。俺は、ここのギルド支部長を任させているガードリという者だ。今日はお前たちの、スキップ申請の審査員を買って出てきた。」

「審査員というか、書類仕事がいやになって逃げてきただけでしょう?支部長?・・・・まあ、ちょうどいい休憩として許してあげますが・・・・・。」


そんな事を言いながら、入り口から歩いてくるスーツをビシッと決め込んだ女性。たぶん、支部長の秘書さんかなんかなんだろうと思うが・・・・。


「まあ、いいか。今の乱取りからすれば、第1試験はクリアーだな。」


第1試験?・・・・ああ、スキップ申請をする者たちの中で、この時間に準備運動をしていない者もいるのかな?私たちは、準備運動どころか乱取り稽古までしているからね。

私の予想は当たっていたようで、この2時間くらいの時間で、体を温めるための準備運動を行っていれば50点。ここで用意されている練習用の武器の習熟を目的に、軽く乱取りでもしていれば100点満点らしい。

あと、仮に武器を扱った事がない者であっても、この時間で誰かに教えを乞うていれば100点である。


「いや、俺からすれば、試験官との乱取りもやらなくてもいいと思うぞ。・・・・・まあ、せっかく依頼までして試験官役を集めているから、やって損はないとは思うがな。」


そんな事をガイストさんが支部長と話している最中に、入り口からゾロゾロと屈強な男たちが入ってくるのが見える。あの人たちが試験官役という事かな?


「では、スキップ申請のルールを説明する。まずお前たちが戦うこいつらは、全員がCランクの上位のやつらばかりだ。この中から1人1試合行ってもらう。

ルールは単純。30分耐えたらCランク、20分でDランク、10分でEランク相当と認めそのランクに昇格だ。

さあ、誰からやる?」

「じゃあ、私から。」


そう言って、前に出たのはミオ。ミオの相手は・・・・・・、巨大な斧を持った大男だ。2人が、だいたい10mくらい離れて対峙したところで。


「ではスキップ申請者・ミオと、Cランク・ガートの試合を始める。はじめ!」


ギルド支部長を任させているガードリさんが、開始の合図を送る。

その瞬間ミオは、目にもとまらぬ速さで掻き消える。たぶん、対戦者の周囲を超高速で動き回っているんだろう。(素の状態での)私の目でも、捉えきれないほどの速さである。この速さだと、おそらくはパーティで一番早いんじゃなかろうか。

対するガートさんは、巨大斧を両手にしっかりと持ち、何処から攻撃が来てもいいように体制と整える。


開始直後から、ヒュンヒュンとガートさんの表面に次々と傷がついているが、本人は「そんな攻撃効かぬ」を地で行っているようにずっしりと構えている。

一瞬の沈黙の後・・・・・。

足元の土が激しくめくれ、その土がガートさんにかかる。ミオが目くらまし目的で投げつけたんだろう。ガートさんは、その先に斧を振るうが、激しく土を巻き上げただけで空振りに終わる。

そして、地面に突き刺さった斧が停止した一瞬をついて、ミオがガートさんの胸元に現れてそのまま短剣を喉元に突き入れた。


「そこまで!ミオはCランク昇格だ。」


ガードリさんの宣言に、ニコニコ顔で戻ってくるミオ。私たちも「おめでとう」と囃し立てて迎える。


「次は誰だ?」

「それじゃあ、わたくしが行きます。」

「お前、申請書では魔術師となっていたが、短剣とナイフそんのモノも使う事ができるのか?」

「ええ、魔術は主な攻撃手段ですが、自己防衛のために短剣とナイフこちらも少しばかり嗜んでおります。ちなみに、ヒカリちゃんとハルナは徒手空拳でお相手するつもりですよ?」

「・・・まあ、パーティで後衛だとしても、自己防衛手段は持っておいた方がいいな。あとで魔術の方も見させてもらうから、マキ・ヒカリ・ハルナの3人は、半分の時間粘れればいい事にする。ああ、途中で魔術を使っても構わない。

ではスキップ申請者・マキと、Cランク・ペリニカの試合を始める。はじめ!」


ギルド支部長を任させているガードリさんが、2人が定位置に着いたところで開始の合図を送る。

先ほどとはうって異なり、進行に間合いを詰めるマキ。何やら、手に持っている短剣に魔術をかけているようだが、無詠唱で魔術を行使しているので、何をかけているのかは判断できない。

私だって、できる事とできない事があるのだよ。特に、武器等に無詠唱でかけられた魔術を見破る事は、目の前にあるの名がともかく50m以上離れていると鑑定できない。

これが鑑定スキルの限界なのかどうかは、ちょっと悩むところだけどね。


対する女性冒険者のペリニカさんは、手に持っているサーベルのような細剣をマキの方に向けて素早く接近。細剣を素早く動かしてマキを翻弄する。元々後衛職のマキは、敵に接近されてからが本番であるため、この接近戦は本望であろう。

激しく突き出される細剣を短剣で裁きながら、反撃の機会を待っている。

すると、いきなりペリニカさんの持つ剣が砕け散り、根元10㎝位の長さになってしまった。よくよく見れば、剣の先端部分は石のようになっている。これはアレだね。あのマキが持っている短剣に、石化呪錆(触れたモノを徐々に石化させていく魔術)がかけられていたな。

その後マキは、その短剣をペリニカさんの喉元に突き立てて終了となる。


「そこまで!マキはCランク昇格だ。」


ガードリさんの宣言に、ニコニコ顔で戻ってくるマキは、そのままヨシナリに抱き着き、いつものようにいちゃつき始めた。なお、マキが握っていた短剣は、魔術の効力がなくなった途端に急激にさび付いて、ガラクタ以下の代物になり果てて散る。これは、【〇〇呪錆】と呼ばれている魔術全般にある欠点みたいなモノで、この魔術を架けられた武器は、使用後は必ずこうなってしまうのだ。


「次は誰だ?」

「それじゃあ、俺が行くわ。」


そう言って手を挙げたのは、マキとイチャイチャしていたヨシナリだった。


「ではスキップ申請者・ヨシナリと、Cランク・ダイサムの試合を始める。はじめ!」


ギルド支部長を任させているガードリさんが、2人が定位置に着いたところで開始の合図を送る。

ヨシナリは、長さ2mほどの槍を右手に持ち、左手にはタワーシールを持っている。本人曰く、自分の体重の10倍程度なら普通に持ち上げる事が可能との事。これはゲーム内の話なので、当然この世界テラフォーリアでも適応されている。

なぜ、そんな怪力持ちなのかというと、〇〇湖ののボスだとか、〇〇沼のボスを釣り上げようとすれば、その重量が100㎏・200㎏程度は可愛いもので、中には10トン・20トンといった大物もいるらしい。そんな怪物と格闘しているうちに、いつの間にかこんな状態になってしまったんだそうだ。

なので今回持っている槍は、ここにある中で一番重量のある槍であり、手に持っているタワーシールドは、最愛の彼女であるマキの5倍程度の重量があるみたいだ。なお、楯については私の言葉をうのみにして1時間ほど前から持つようになり、声をかけられる10分ほど前にようやく形になったという、正真正銘の付け焼刃である。


対するダイサムさんも、同じく騎士タイプのタンクみたいだ。もっとも、持っている獲物は槍ではなくロングソードだが。そのためこの対戦は珍しく、同じポディションの者同士の対戦という事になる。

さて、2人とも同じような戦術を用いる事になるのだから、当然間合いをジリジリと縮めてていく事から始まる。

初めに己の間合いに入ったのは、当然だがヨシナリだ。いくらロングソードとはいえ、槍の間合いとは倍以上の距離がある。さらに槍の間合いは伸縮自在である。まずは単純に突き出す攻撃を入れるヨシナリ。それを剣捌きで躱し、楯を壁にして前進するダイサムさん。

そのまま剣の間合いに入ると、右から左に剣を振りぬく。それを付け焼刃の楯術で躱し、半分ほどの長さに持ち替えた槍の石突部分を同じように降りぬき、手手で防がれたらすかさず逆方向に振りぬくヨシナリ。この時自分の楯を間に挟み、ダイサムさんの楯を使わせないように邪魔をする事も忘れていない。

激しく切り替わる攻防を繰り返しながら、攻めあぐむ2人。そのまま無情にも時間切れとなり、せっかく面白くなってきた試合が中断される。


「そこまで!30分間耐えたので、ヨシナリはCランク昇格だ。」


ガードリさんの宣言に、お互いの攻撃をやめるヨシナリとダイサムさん。そして武器を下ろすと、がっちり男の握手を交わして、何やら話し合いながらこちらへと向かってくる。


「せっかく面白くなってきたのに、・・・・惜しい事をしました。」

「そうだな。今度は時間制限なく、君と闘ってみたいものだ。」

「俺なんて、まだまだですよ。特に楯なんかは付け焼刃でしたからね。誰かに師事して、しっかりとならいたいものです。」

「あれで付け焼刃だったのか!そうだな、君さえよければ、俺が指導してやろうか?俺はまだCランクだが、戦闘指導の資格だけはあるからな。」

「それじゃあ、よろしくお願いします。時間については、あとで相談しましょう。」


どうも、楯を教えてくれるいい師匠が見つかったようだ。

ニコニコ顔で戻ってくると、ヨシナリはマキに抱き着いた。


「次は誰だ?」

「それじゃあ、俺が行くわ。」


そう言って手を挙げたのは、、我らがご主人様(笑)事ナオミチである。


「ではスキップ申請者・ナオミチと、Cランク・サミーラの試合を始める。はじめ!」


ギルド支部長を任させているガードリさんが、2人が定位置に着いたところで開始の合図を送る。

次は、ロングソードが武器であるナオミチと、女性冒険者で双剣使いのサミーラさん。これはまた、面白そうな取り合わせである。


「あたいが女だからって、ナルシスト気取っていると大怪我するよ!坊主!」

「ああ、わかっている。そんな事いうヤツは、真っ先に戦場から消えていくからな。男だろうが、女だろうが、この剣の錆にしてやるから、覚悟しておけ!」

「いうね~~~~、坊主!お前こそ、あたいの剣の錆にしてやるさね。」


2人して、何やら啖呵を切りあっているが、顔つきを見るに楽しそうであり、それぞれの動向をしっかりと見ている。じりじりと間合いが狭まっていき、何やら殺気みたいなモノがぶつかった?際、そこから火花が飛び散った。そして、周囲の空気もビリビリしており、まさに一色触発の空気が出来上がっている。

そんな空気を創り出した2人は、さっきの壁を突き破る事ができずに、すでに10分以上構えたまま動けなくなっている。いや、動いてはいるが、さっきの壁を中心に円を描くように回転しているだけだ。

激しく切り替わる攻防を見るのも面白いが、今回のように一瞬で勝負が決まるのも、また見ていて面白いモノだと感じてしまう私は、・・・・・やっぱり”脳筋”なんだろうね。

そんな音すらなくなった空間で対峙する事20分。


”ゴ~~~ン!ゴ~~~ン!ゴ~~~ン!ゴ~~~ン!”


朝4つの時刻を知らせる鐘の音が、隣に建つ神殿から鳴り響いた。

その瞬間。

対峙していた2人が同時に動き、さっきの壁を突き破ってそれぞれの獲物を振りかざす。刹那の時間に、左右から迫りくる刃を、己の獲物で弾き飛ばしてその刃をサミーラさんの首元に充てるナオミチ。

クルクルと真逆の方向へと跳んでいった2本の短剣が地面に突き刺さった時、いきなり動いたたため舞い上がった砂煙が同時に晴れる。


「そこまで!、ナオミチはCランク昇格だ。」


ガードリさんの宣言に、首筋から剣を外し鞘に納めたナオミチ。そしてふっと、周囲にまき散らしていた殺気が晴れ渡る。


「今日は完敗だが、次は負けないよ!」

「ああ、次も叩き潰してやる。何なら寝込みを襲ってきてもいいぞ?その時は組み敷いて、同意の上で犯してやるからな!」

「それは面白いお誘いだね。その時は、せいぜい寝首をかかれんと、あたいを犯してみな。」

「じゃあその時は、お互い結婚しようか。例の魔導具持参でこいよ?」

「いや、そこはお前が用意しておくんじゃね?」


本気だか冗談だかわからない会話をしながら、私たちの方へと歩いてくるナオミチとサミーラさん。どちらも満更ではなさそうなところが、また何とも言えないところだ。


あと残っているのは、私とコトリ、そしてハルナの3人だけだね。さて、誰から行こうかな。

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