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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第1章】トンネルを抜けたら異世界でした
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【閑話】或る日の鷺宮学園(その1)

鷺宮学園。


関東地方南部に位置する風光明媚な鷺宮市にある市立学園でである。鷺宮市は、関東きっての観光地でもあり、近年はIT企業が集積する都市としても有名になってきている。また、日本有数の大企業の本拠地でもあり、その企業の企業城下町でもある。


鷺宮学園は、幼稚園から大学院まで一貫して教える学園であるが、小学部・中学部・高等部・大学部において、それぞれ途中入学・途中退学が可能である。また、奨学金制度も独自で設定されており、独自の審査基準に合格すれば、どんなに実家が貧乏であっても入学できる。奨学金も、低金利型・無利子型・一部返済免除型・全額寄付型の4種類が存在し、生徒の成績等により受けられる奨学金が異なっている。また、成績次第では、途中から奨学金の肩が切り替わる事もあるため、(特に大学生は、奨学金が給付型から検査鋳型に切り替わるのを恐れて)遊ぶ事は控えて勉学に励んでいる者が多い。

そのため、一応お金持ちが通う学校ではあるが、貧乏人も普通に通っている学校であり、実家のおカネの有無によって生徒を差別する事もなければ、それによるイジメはほぼ皆無である。


サブカルチャーにも寛容であり、勉学を犠牲にしなければ、たいていのオタク文化は受け入れられる傾向にある。そのため、在校生はおろか教職員を含めた九割以上が、何らかのオタク趣味を公表しており、今では絶滅しているモノも普通に学園生活に溶け込んでいる。

事実、同性文化の極みである、『百合レズ薔薇ホモ』といったマニアックな事に関しても、すべての生徒がしたりされたりしており、またそれをネタにした妄想が、周囲の人たちを巻き込んで皆で楽しんでいたりする。もちろん、誰かと誰かを掛け算した場合、自分自身も誰かと掛け算される覚悟がないと行う事は禁止されているが・・・・・。


あれだ。『目には目を、歯には歯を』という精神が浸透しているのだ。学園全体で。


そのため鷺宮学園では、そういった分野を含めたオタク率が群を抜いており、オタク趣味を隠すといった行為は、教員・生徒含めて行われていないし、隠す事に意味を見出す事はない。

人間、何らかのオタク趣味を持っているのだ。

その趣味を、主となる収入源にしているかどうかで、その名称が『オタク』なのか『博士』なのか『学者』なのか、はたまた『専門家』なのかが変化するだけである。ある分野に精通しているという事は、その分野に関していえばオタク趣味に走っているという裏返しとなるのだ。

そんな鷺宮学園なので、生徒の出身地は日本全国津々浦々である。

わざわざスカウトをしなくても集まってくるため、必然的に部活動もとても盛んになっていき、運動系・文科系問わず、全国区で有名な学校になってしまった。・・・・・・皮肉な事に。


4月10日


今日はそんな鷺宮学園において、小・中・高校の合同入学式が行われる日である。

ちなみに大学は全国的に4月2日となっており、こちらはすでに成人(私たちの暮らす時代の成人年齢は18歳)しているので、各企業の入社式に合わせているだけだったりする。


そんな学園に私事、今宮光莉は、数年前に始まった飛び級制度によって、14歳という本来では中学2年生の年齢でありながら、大親友であり、産まれた瞬間からの腐れ縁でもあり、私の専属侍女でもあり、私と同じく14歳で飛び級してきた天璋院寿李ちゃんとともに、鷺宮学園高等部の新1年生として、今日の入学式に挑んでいるわけだ。


「新1年生代表。高等部1年1組・今宮光莉。」

「はい。」


司会進行役の先生に名指しされた私は、講堂の中央に作られている赤い絨毯敷きの花道を通って、学園長や理事長たちが並ぶ壇上へと歩を進めていく。

何の因果か、それとも主人公補正?のテンプレなのか知らないが、私が今回の学年の中で一番成績がいい。もともとエスカレータ方式なので、私をはじめとした新入生の約7割は高等部の受験を受けてはいない(というか、中学3年時点の学年末試験が、高等部の入学試験だったと後から聞いた)が、その中でもトップだったらしい。

そして、私のように飛び級で高校生している面々は、トップ50位以内に全員が食い込んでいるのだから恐ろしい事だ。


ここで、鷺宮学園高等部における指定の制服やら何やらについて。


まずは制服から。

男子の冬用の制服は、紺色のブレザーにチェック柄のスラックス。胸のポケットに鷺宮学園のエンブレムが入っている。薄い空色のワイシャツに学年で色の違うネクタイを締めている。ちなみに今年のネクタイの色は赤色となっている。

春・秋用の制服は、ブレザーが薄手のニット生地で作られたセーターになるだけであり、夏は、半袖のワイシャツにネクタイ・夏用スラックスとなる。

足元は、年間を通して学校指定の黒色のワイソックスに黒革のローファーで、室内履きはネクタイと同じ色の学校指定サンダルとなる。


女子の制服は、関東地方以外ではまだまだ現役らしいが、関東地方に限って言えば、ほぼ消滅してしまっているセーラー服となる。そもそも関東地方で、制服のある学校は全体の3割程度しかない。

学校指定のセーラー服は、冬用と夏用、春・秋用の3種類。この3種類のセーラー服と膝丈サイズのプリーツスカート。学校指定の白色のタイツか、黒色のニーハイソックスと茶色のローファーが、学校指定の服装となっている。

ちなみに冬用の制服は、襟以外の生地の色が白色で、黒色のセーラー襟とカフス。襟とカフスには、3本の白い線が入っている。胸当て部分には、鷺宮学園のエンブレムが入っている。スカーフの色は学年で異なり、私たち新入生は赤色のスカーフを襟に通している。

セーラー服の下には、アンダーウエアとして学校指定の首まで覆うハイネックの黒い長袖Tシャツを着用。

夏服は、半袖セーラー服(インナーとして、半袖の体操服を着用するように指導されている)、に夏用のスカート。春と秋の少し肌寒い季節に着るのは、生地の薄い長袖セーラー服(インナーは、夏用と同様となる)に冬用のスカートとなる。


ちなみに、中等部の制服(冬服)は、男子が薄いグレー色の学校指定の学生服(詰襟の形状が少し特殊)で、白色のハイソックスと白色のスニーカー。

女子はセーラー服となる。

セーラー服は、襟以外の生地の色が薄いグレー色で、白色のセーラー襟。カフスには、3本の白い線が入っている。胸当て部分には、鷺宮学園のエンブレムが入り。スカーフの色は学年で異なっている。薄いグレー色の膝丈スカートと、真っ白なニーハイソックスと白色のスニーカー。

夏服は、男子が学校指定の半袖ポロシャツで、女子が白色のセーラー服(セーラー襟が薄いグレー色で白色の3本線入り)となる。

初等部及び幼稚舎にも制服は存在しているが、永くなるのでこの辺りにしておこうかな。


次に、学校指定の体操着だ。

体操着は、初等部から高等部まで含めて、動きやすい半袖Tシャツ(肩から袖にかけて2本線が入り、首元と袖口は紺色のゴムが入った丸首型・ゼッケン付き)。2本線は、各学年により色が異なっている。

これに男子が紺色の短パン(両サイドに白線2本線入り)、女子が紺色のブルマ(両サイドに白線2本線入り)となる。靴については、男女ともに動きやすい靴ならばどんなものでも構わない。

ちなみにこれは夏服用であり、冬用は体操着が長袖になるだけで、下はブルマ(男子は短パン)のままである。関東地方でも比較的暖かい場所にある鷺宮市なので、こんな格好でも割かし寒くないのである。

校外学習や実習用のジャージはもちろんあるが、運動着として使用されることはほとんどない。

この服装は、初等部から高等部まで含めて、鷺宮学園の指定体操服となっている。ちなみに、初等部・中等部・高等部は、ブルマや短パン、体操着に入る2本線と首元と袖のゴムの色で区別されており、初等部が臙脂色、中等部が緑色、高等部が紺色となっている。


ちなみに大学には、指定された制服はない。そのため、みな自由な格好をしているが、運動系の学部やサークルでは、独自のユニホームや運動着を着用している。


また高等部では、一般教養として社交ダンスやテーブルマナー、礼儀作法などの授業があり、それらの授業を受ける専用服として、男子は執事服もしくはタキシード、女子はメイド服もしくはイブニングドレスを着る事になっている。社交ダンスについては、練習時は執事服とメイド服で行われるが、年に数回行われるパーティ時の本番には、それ専用の服装で挑む事になる。

なお、これらの服装は基本的に高額なため、実家が貧乏(年収ベースで規定あり)な子たちは、今宮家が出資してすべての服が用意される。用意される服は練習用と本番用であり、練習用は基本的に複数人で着回し(ただし、お金持ちは自前で用意する事が多い)となっているが、本番用はその時の体型に合わせたオーダーメイドであり、着用後はプレゼントされる。


閑話休題。


入学式も滞りなく終了し、何処の学校でも恒例行事と化している、体力測定及び身体測定の日がやってきた。

今日1日をかけて行うこの行事、私たち生徒全員は、体操服姿での参加となる。つまり私の服装は半袖ブルマなわけで。

実はわが鷺宮学園でも、制服はともかく体操服であるブルマをスパッツにしようという話が出てきた事があった。この時、ブルマをこよなく愛するオタクどもが頑張った結果、全校集会による全校投票を経て、ブルマを残す事が決定。その結果、絶滅危惧種に指定されているブルマ姿で行う体育光景が、日本で唯一残る事になった。

このブルマ以外にも、ここ鷺宮学園では、『日本で唯一』といわれているモノがたくさん残っている。そのすべてが、それらを愛するオタクどもの各堂の結果というのだから、オタクパワーはすごいと思う。

さらに言えば、この半袖ブルマ姿を惜しげもなく晒す女子生徒(私を含め)も、半ばコスプレ感覚で楽しんでいる節があるのも、ここ鷺宮学園の新しい伝統なのかもしれない。


数あるオタク文化を楽しみ、積極的に参加しない者は、ここ鷺宮学園に通う事が出来ないのも、また1つの事実なんだが・・・・。

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