008「06 厄災の始まり」
「06 厄災の始まり」
「彼女が行方不明になった」とのメールを受け取り
勇気が花井に会ったのは・・・利用者も疎らな会社の社員食堂
話の途中で花井の上司が現れ
花井を連れて行ってしまったが為、勇気は何も知らないまま
翌朝のニュースで・・・
「昨日、花井の両親が血痕を残して姿を消し…
探偵だと言って、彼女の事を訊き回っていた男達の一人が
花井の両親の家で遺体となって、通いの家政婦に発見された」
と、言う事を知る
ニュースでは・・・
「大きな金庫が持ち去られている為
金銭目的の強盗で、金庫を開けさせる為に
花井の両親は連れ去られたのだろう」との、憶測が飛び交う
心配になって勇気が花井に電話をすると・・・
想定外な事に花井は勇気の家の近くまで来ていた。
花井は、勇気の家の玄関先で
彼女が不自然な居なくなり方をしている状況を勇気に話す
それなのに非協力的な警察の対応をされたと嘆く
花井の眼は充血し、目の下に色濃くクマを作り
昨日から寝ていないのか?凄く疲れている雰囲気を醸し出している
勇気は取敢えず花井を家に入れ、風呂に入らせ、食事をさせた後
勇気の自分の部屋のベットに、花井を無理矢理に寝かせる
『彼女を保護できるのはお前だけなんだぞ
見付ける前に倒れて貰ったら困るんだよ、だから今は寝ろ!』
花井は意外と簡単に勇気の言う事を聴き
精神的にも肉体的にも限界だったのだろう、深い眠りに着いた。
取敢えず勇気は・・・
職場へ連絡し、自分の今日の休みを確保して
そのまま回線を花井の所属する課に回して貰い
花井の上司に、体調の悪い花井に会社を休ませる事を伝えて
その上司から、何か情報を仕入れるつもりで…
逆に情報提供を求められた。
夕暮れ時、仕事を終えた花井の上司と同僚の1人が勇気の家を訪れる
その同僚は・・・
花井と共に花井の彼女が元いた会社へ、取引に行っている
その取引の責任者だった
責任者である花井の同僚から齎された情報は・・・
彼女が最近まで働いていた会社の「数十人の社員」が姿を消し
会社の機能を停止した…と、言うモノ
ずっと眠っていた花井が、その話の途中で目を覚まし
それを訊き直して聴いて、関連付けて
「その会社に行って真相を確かめる」と息巻く…
でも、取敢えず『今から行っても、会社が閉ってるから』と
3人がかりで押し留める。
そして、『協力者を増やそう』と、提案した花井の上司が
勇気の部屋の窓を開け
『ちょっと、捕獲してくる』と、勇気の家を出て数分後
警官だと言う「おっさん」と「若い感じの男」を連れてきた
勇気は警察の登場に驚き身構える
勇気はまだ、花井に話していない事があるのだ
勇気は、「彼女との関係は否定」したけれど
その事で有耶無耶になってしまった「噂の真相」をまだ
花井に話せないでいる
「昔の事を調べられてて、花井の前で話されたらどうしよう」
勇気は、気が気ではなかったが
おっさんと、花井の上司は最初から知り合いだったらしく
『協力する代わりに協力して貰う事にした』と、宣言され
勇気はこの先、警察との接触が避ける事はできないモノになり
秘密を抱えたままの勇気は・・・
何時、気付かれ知られ話されてしまうかと
不安を抱え続ける事になってしまったのであった。
勇気が昔、警察に捕まった時に勾留され
尋問を受け、体験した恐ろしい記憶を思い出さない為に
カラフルに彩られた部屋の中
警察官の2人が参加してから勇気は、自分の部屋の中で・・・
若干、蚊帳の外にいた
勇気を覗く大きな男5人が真剣に情報を出し合っている
狭くは無い筈の勇気の部屋が
狭くムサくて苦しい空気感に彩られていた。
そうこうして分かった事は・・・
花井の同僚の「山中」の同棲中の恋人も
花井の彼女が働いていた会社で働いていて
残業後、花井と飲みに行って朝帰りした時には
花井の彼女と同じ様な状態で居なくなっていた事
今日までまだ、恋人と連絡が取れていないと言う事
その会社で働いていて、居なくなった人は皆
花井の彼女や山中さんの恋人と同じ様に
何も持たずに居なくなっているらしい事
花井の彼女の住むアパートの…
もしくは、近隣の家庭の子供や母親達が多数
同じ様に、姿を消している現実
一致する事柄に警察官のおっさん「林」は、長年の感から
『連続した事件の気配を感じる
大船に乗ったつもりで情報提供をしてくれ
俺がこの手で解決して見せよう』と、張り切っていた。
で、その部下の若い感じのする「橘」が溜息を吐く
『またですか…それって、泥船じゃないでしょうねぇ?
後で、始末書を書かなきゃいけない様な事だけは駄目ですよ
僕に迷惑ですから、本気で避けて下さいよ』
こちらは、巻き込まれただけの人で気の毒かもしれない。
花井が少し笑う・・・
『林さんが、俺の両親の事での事情聴取してくれてれば
あんな嫌な思いしなくて済んだかもしれないな…』
全員が今朝のニュースを思い出し、雰囲気が暗くなった
林は・・・
『そちらは任せておけ!元々その仕事の為に此処に居る』
と、言って…場を沈黙させた。
『だろうな』と、花井の上司の「池田」が苦笑いをする
『先輩、さっきから突っ込み入れようと思ってたんですけど
守秘義務って知ってます?序に…
何の為に此処に居るかも理解出来ていなかったりもしますよね』
「潜入捜査的な考え」で、この場に参加した橘は
駄目な先輩を見下す様な眼差しで見詰めていた
気付きもしなかった勇気と花井は
花井が尾行されていた事に気付き、少し不快な気分になり
山中だけが・・・
「へぇ~そう言う事もあるんだぁ~」と、和んでいた。
彼等はまだ、知らなかった・・・
怨念から作られた蜘蛛達が、恨みを晴らす為に行動している事を
恨みの晴らし方が分からなくて
加害者であった彼等のやっていたのに近い遊びを始めた事も
蜘蛛達は、奪ってみる事から始めていた・・・
でも、自分達を貶めた加害者の大切な物を奪って破壊しても
面白くなかった、そんなに面白いと感じる事ができなかった
だから、彼等がやってた狩りを始めた
自分達を貶めた加害者の大事な者を殺しても食べても
加害者達が楽しんでいた様に楽しくなかった
仕方無しに加害者本人にも苦しみを味あわせてみたけど
驚かし事故らせ、怖い思いをさせても
殺して食べて、残して捨てても気が晴れる事は無かった。
そして・・・
晴れぬ恨みを晴らす為、大きな親蜘蛛の恨みに便乗する
便乗して、遊戯的なつもりで奪って
楽しむ為に狩ってみて、ゲーム感覚で戦わせて遊ぶ
だから、最初に無くなり亡くなり姿を消すのは・・・
加害者の愛用の持ち物、加害者の宝物の数々
又は、もっと大切な子供や恋人、可愛がっているペット達
そう、加害者の大切にしている物や
加害者の大切な者達が、他の加害者の元に遺留品を残して
この世に存在しなくなるシステムを作り出す
そして暫くして、大きな騒ぎになる前に
加害者本人も事故やトラブルを起こして亡くなるか姿を消す
蜘蛛の思う通り行動してくれなくてツマラナイから
行動が停滞して、面白味が全くないから
蜘蛛は、腹を立てて食べてしまう…
暫くして、違う遊びも見付けた・・・
加害者に事故を起こさせ
自分が起こした事故で、その加害者が大切にしている者を亡くし
加害者がどうするか見るアトラクション
でも、それも最後は楽しくなくなって蜘蛛が食べてしまって御仕舞。
世の中に事件や事故が一時的に増え
最後に時々、失踪する者達を残し
しっかりとした証拠の見付からない事件や事故は
花井の彼女が姿を消した翌週には減っていく
死霊と生き霊の怨念から作られた蜘蛛達は
親蜘蛛の願いが全て叶っては、自分達が消えてしまう為
大きな親蜘蛛が複雑な怨念を向ける対象2人を残し
自分達が怨念を向けて良い対象を失ってしまった
向ける相手を失った怨念は、黒いだけの感情になり
時間と共に知性部分を失い
蜘蛛は獲物を食べるだけの存在に変化していった。




