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人質王女は幼馴染の国王の執着から逃れられない  作者: 狭山ひびき


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エピローグ

お読みいただきありがとうございます!

最終話です!

 わたしとお兄様と婚約式は、とてもよく晴れた秋の日のお昼に、王都にある大聖堂で大々的に行われた。


 ラングトン公爵家という高位貴族の一族を取り潰ししたり、王弟グラッドウィン殿下や王太后アナスタシア様を断罪して幽閉の発表をしたりと、ここのところ国の中枢はとっても慌ただしくてピリピリしていた。だからこんなに急いで婚約式をしても大丈夫かしらと思ったのだけど、お兄様と宰相によると、国をまとめ上げるためにも急いだほうがいいとのことだった。


 手紙でのやりとりはしていたけれど、お父様とお母様に会うのも十年ぶりで、わたしは式の前だというのに泣いてしまって、お化粧直しが大変だったわ。


 わたしは知らなかったのだけど、お兄様が折に触れてはわたしの肖像画をお父様たちに送っていたんですって。だからお父様たちはわたしが成長していく姿を見ることができたと言って、お兄様にとっても感謝していた。


 婚約式には国中の貴族が駆けつけてくれて、そこにはギブソン公爵令嬢ダーラの姿もあった。

 ダーラはずっとわたしのことを心配してくれていたようで、お兄様に閉じ込められたと聞いたときは本気でわたしの救出を考えてくれていたんですって。それを聞いたときは、ついつい笑ってしまったわ。


 急に決まった婚約式だからドレスの準備が心配だったけれど、そこはさすがお兄様と言うべきか、わたしが知らないところで抜かりなく用意されていた。


 ……お兄様はもう少し、報連相が必要だと思うわ。いつもびっくりさせられるもの!


 だけど、用意されていたのはお兄様の瞳のような青色のドレスで、とっても美しかったからついつい文句も言えなくなっちゃうのよね。

 お兄様は青色が大のお気に入りみたいなんだけど、自分はあまり青色の服を着ないから聞いてみたところ、自分の瞳の色をわたしが纏っていると気分がいいんですって。あきれちゃうわよね?


 髪留めにもお兄様の髪と同じ銀色のものが用意されていて、ドレスの裾にも銀糸で刺繍が入っている。

 お兄様の色を纏ったわたしは、全身で「お兄様のもの!」とアピールしているみたいでちょっぴり恥ずかしいけれど、嬉しい気持ちもあるのよ。


 婚約式は結婚式ほど厳格ではなくて、祭壇の前で婚約宣誓書にサインをして参列客に婚約を発表するだけだから、それほど長い時間ではない。

 だけど、結婚式と同じように、結婚するその日までお互いがお互いに難く節操を守って不貞はしないっていう宣誓はするのよ。神様に。


 お兄様がぽそっと「不貞じゃなかったら守らなくてもいいのか」なんて意味不明なことをつぶやいたのは……聞こえなかったことにしておきましょう。


 ……だって昨日なんて、婚約式でのファーストキスがすめばいつでもキスしていいんだな、なんて確認してきたんだもの! これ以上は考えるのがちょっと怖いわ……。


 もともと一緒に過ごす時間は多かったけど、両想いになってからはタガが外れたみたいに、お兄様ってばずっとくっついているのよ。ダイアナがあきれ顔で「そろそろ鬱陶しいです」なんて文句を言うくらいに、座っているときはわたしを膝の上に抱っこしているし、歩いているときは手を繋いでいるし、二人きりの食事の時は「あーん」ってされるの。

 もちろんお兄様とくっついているのは嬉しいのだけど、周囲の視線が気になるのよ。お兄様は気にならないみたいだけど。


 ……二人きりの時ならいいのだけど、ダイアナがいるときとかはやめてほしいの。


 恥ずかしくって顔から火が出そうになるんだもの。

 お父様とお母様が滞在する間は、本当に気を付けておかなくっちゃ。べたべたしすぎて呆れられるかもしれないわ。

 そんなことを考えていると、お兄様に腰を引き寄せられた。


 ……い、いよいよ、よね。


 お兄様とキスするのだと思うと、ドキドキしてがちがちに緊張してしまう。

 ファーストキスは婚約式がいいなんて言ったけど、もしかして事前に何度か練習しておいた方が心臓的にはよかったのかしら。

 見つめられるだけで顔が熱くなってきて、お兄様の目を直視できないわ。

 ちらちらと視線を上げては落とすを繰り返していると、お兄様がくすりと笑った。

 とろりと甘く青色の目が細められる。


「カレン」


 優しく呼ばれて顔をあげれば、触れるだけの優しいキスが落ちてきた。

 ホッと息を吐くと、一度離れてまた重なる。

 そして――


「ん⁉」


 お兄様の手がわたしの後頭部に回ったと思うと、そのままキスが深くなって。

 膝に力が入らなくなってしまったわたしは、なんと、お兄様に抱きかかえられて退場するという、目も当てられない状況になってしまったのだけど、お兄様はとっても満足そうだったわ。


 これは、あとでちょっと文句が必要かしら?

 なんて……。


 なんだかんだ言ってわたしも足元がふわふわするくらいに幸せだから、こんなお兄様の小さな悪戯も結局許してしまうのよ。




最後までお付き合いいただきありがとうございました。

これにて完結となります。

よかったら、ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて作品の評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ

どうぞよろしくお願いいたします。

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