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狐の嫁入りを見てしまったら、九尾の狐の婿になりました。 〜普通ってどこに売ってる?〜 異世界スイートテイル(肉球マーク)  作者: 2番目のインク
第三章:戦闘民族

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21.共闘の銀閃、死を拒絶する翼

ヒッポグリフの翼が、戦場の煙を切り裂いた。


巨大な影が低空を駆け抜ける。


カテリーナの身体が、ふわりと浮いた。


次の瞬間――


強い腕が、彼女を抱え上げていた。


「掴まれ!」


パパタローだった。


ヒッポグリフの背で、彼はカテリーナを引き寄せる。


ローズが鋭く旋回した。


「おい、カテリーナ! 派手にやってんじゃねぇか。……ん?」


パパタローが、空中で顎をさすりながら、アンデッドの群れを凝視する。

 彼の黄金の瞳――「狐の印」が、カテリーナと同じ「真実」を捉えた。


「……なんだぁ? アレ。おい、カテリーナ。お前んとこの『アンデッド』ってのは、背中からうようよ白いもんを漂わせんのが、流行りなのか?」


「……パパタロー様、あなたにも……見えるのですか」


カテリーナは、絞り出すような声で応えた。

 死神である自分に見えるのは道理。だが、この異邦の少年もまた、この世界の「裏側」を正確に観測している。


「ああ、丸見えだぜ。気色わりぃ糸が、どっかの誰かの指先まで繋がってやがる……」


「指先?」


「ん?見えない?指先。あのピエロ。魂がないぜ?」



「ちっ」


地上からネクロスが舌打ちする。


「逃がすかいな!」


黒と赤の蛇のような口が地上の影から空へ放たれる。


だが――


エリスが地面を蹴った。


銀の剣が閃く。


空へ伸びた蛇の頭を、一閃で叩き落とした。


火花が散る。


エリスは振り向かない。


ただ短く言う。


「行け」


パパタローが叫ぶ。


「ローズ!」


ヒッポグリフが翼を大きく打つ。


突風が戦場を薙いだ。


カテリーナの視界が揺れる。


炎。


煙。


アンデッドの群れ。


そして――


その中心に立つエリスの背中。


小さく、しかし揺るがない背中だった。


カテリーナが叫ぶ。


「エリス様!」


エリスは振り向かない。


ただ剣を構えたまま、肩越しに言った。


「心配するな」


ネクロスたちを見据えたまま。


「まだ終わってない」


モルグレイブが笑う。


「三対一だぞ?」


ヴェイルが扇のように手を広げる。


「勇敢ですこと」


ネクロスが肩を回す。


「すぐ終わるで」


そのときだった。


空から、もう一つの影が落ちてくる。


黒い影。


十二。


地面へ次々と着地する。


メイド服。


戦闘装束。


メイド十二人衆だった。


一人がモップを担ぎながら言う。


「お嬢様」


もう一人が剣を抜く。


「お待たせしました」


ネクロスが眉をひそめる。


「……なんやねん」


モルグレイブが首をかしげる。


「メイダ?」


ヴェイルが笑った。


「増えましたわね」


エリスは小さく息を吐く。


「揃った」


メイドたちが横一列に並ぶ。


その中央で、アビゲイルが言った。


「姫!」


メイドが微笑む。


「掃除の時間です」


その瞬間。


十二人が同時に動いた。


戦場が――


再び、爆発した。


「掃討してやれ!」


エリスが叫んだ。

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