草原オオカミ
今回、少し短めです。というのは切る場所でかなり迷った結果なのです......
気配察知に他のモンスターは引っかかっていない。どうやら敵は目の前の一匹だけのようだった。
オオカミから視線を外さずにニィナと作戦を相談する。もちろん私もニィナもほぼ初期状態でできることなんて大してない訳だけど、ひとまず私が前で応戦しながらニィナが隙を見つけて背後から攻撃すると決まった。体力も防御も俊敏もそこそこある私が耐えながら、ニィナの大剣スキルでダメージを狙う方針だ。あらかじめステータスを確認しておいてよかったと心底思う。
難しいのは私もダメージを出さないといけない点だろう。そうしないとヘイトがニィナに向いてゲームオーバーになりかねない。
「草原オオカミね。できればもう少しレベルが上がってから会いたかったな」
「ルーティが欲張ったから」
「魔力草一本はさすがに厳しすぎるよっ、と」
最初のうちは突進してくるだけの意外と単調な攻撃だった。狙いも速度も大したことはなく、私は走ってくるオオカミを避けて体側を短剣で切り付けるだけで良かった。口を開く余裕まであったくらいだ。
しかしそれもずっとではない。
「ルーティ」
「分かってる」
草原オオカミは今までしていなかった地面を蹴るモーションを取ると、直後ジャンプしてこちらに跳びかかって来た。私は背中を地面に着けるようにして慌ててこれを躱し、オオカミの懐に潜り込んでそのふさふさした腹を蹴飛ばす。頭上の開いた口から「グゥ」と低い唸り声が漏れ出た。リアルだったら涎が滴ってきていたかもしれない。
蹴りを喰らったオオカミの一瞬の硬直を狙ってニィナが【グレートスラッシュ】を発動した。振り抜いた大鎌がオオカミを真横に吹き飛ばす。
「助かる。あと三分の一くらいだし何とかなりそうかな」
「ん」
ニィナはまだ攻撃を受けていないし、私の体力もまだ半分は残っている......いや、念の為に回復しておくのが良いかもしれない。万が一ということもあるし。
そうして私が右手に短剣を構えたまま、左手でインベントリを操作し始めた時だった。【気配察知】によって背後に悪寒が走った。
先程までのオオカミはまだ目の前にいる。そのことが私を混乱させて判断を遅らせた。
「ルーティ!」
叫び声と同時、私は背中に車でも突っ込んだかのような衝撃を受けて前方に吹き飛ばされた。
戦闘描写、これで良いんですかね? 本当によく分からない。
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