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一大事は突然に。

※マーシュダイル→マーシュリザードに変更しました。


ふりっふりのメイド服を着たミナトがリセッテと共に露店の売り子をすることに!

スキル『魅力的な外見』が猛威を振るう?


 

 ふぅ、やっと終わったぁ・・・・・・。


 宿の部屋でコンカフェ風メイド服からいつもの冒険者装備へと着替えていると、自然と安堵のようなため息が出てしまう。


 冒険者の装備とはいえ、邪神による転生で女の子になってスカートを履いているこの姿にほっとしてしまうとは、オレも馴染んできたもんだ。嬉しくないけど。


 リセッテの露店の売り子として手伝っている最中、うっかりカップルの男を呼びこんでしまい彼女さんに睨まれるというアクシデントもあったものの、露店の商品は昼前に完売させることが出来た。


 それから露店の片づけを終えてお子様達と遊んでぐったりしていたクーちゃんを回収してリセッテと宿に戻り、オレが着替えたらシオンとミレニアがいる冒険者ギルドへ迎えに行ってそこで昼食を皆で食べる予定である。


 シオンとミレニア、無双&ぼったくり(色んな意味で)やり過ぎてないといいけどなぁ。


「じゃあ行こうか、リセッテ、クーちゃん」

「はーい」

「・・・・・・」


 着替え終わったので声をかけたところ、リセッテに抱かれたままじっとオレを見ているクーちゃんと目が合う。


 いや、そんな恨みがましい目をされましても。


 確かに一陣目のお子様達と遊び終えて力尽きて戻ってきた直後に、「はーい! 次、この子と遊びたい人―♪」なんて二陣目のお子様達を呼び寄せてドナドナ(二周目)させたのは悪かったかなと思わなくもないけど。


 でもあれは戻ってきたクーちゃんが売り子中のオレの足元から上を向いて「ウォフフ、ウォン<お前が女物の下着とか、草>」なんて鼻で笑うのが悪いと思うんだ。


 夕食に分厚い肉をやるからと頭を一撫して一応の謝罪をし、リセッテと共に一階へ降りて店番をしていたスヴェトラーナさんの旦那さんに挨拶をしてから、店を出てギルドを目指して歩いていく。


「今日はミナトさんのおかげで在庫処分もできましたしぃ、ありがとうございましたぁ」

「いやまあ、お役に立てたようでなによりです・・・・・・」

「うふふぅ、よかったらまたあの服を着て一緒に売り子しませんかぁ?」

「後ろ向きに検討させて頂きます・・・・・・」


 実際にやってみてあーいう服装は自分で着るより、他の女の子が着ている姿を見て楽しむべきなのだと痛感した・・・・・・。


 ましてやこちとら男子のままの意識があるもんだから、気分は完全に女装である。勘弁してほしい。


「ウォンウォン~<まんざらでもなかったくせに~>」

「あはは、またお子様の渦中に放り込んでやろうか?」

「クゥン・・・・・・<やめろよぉ・・・・・・>」


 クーちゃんが『念話』で調子こいてきたので半目を向けて釘をぶっさしてやると、あっさりと凹んでリセッテに「あらあらぁ」と頭を撫でられていた。


 まったく、他人事だと思ってからに。


 それからたわいもない会話をしながらギルドへ到着し、中に入ってシオンとミレニアを探す・・・・・・べくもなく、併設されている酒場の一画に紫色の猫耳の頭と小麦色の頭が見えたのでそこを目指して向かっていると、向こうも気づいたようでシオンがひらひらと手を振ってくれた。


 テーブルはちょうど四人掛けでオレはシオンの隣に座り、リセッテは抱っこしたクーちゃんと共にミレニアの隣へ腰を下ろす。


 酒場のおばちゃんに人数分の飲み物と軽いおつまみを注文し終わると、隣のシオンが少し距離を詰めてきてそっとオレの太ももに手を触れて、顔を軽く覗き込んでくる。


「お疲れ、ミナト。そっちは、どうだった?」

「あはは、まあ完売は出来たかな・・・・・・」

「ミナトさんのメイド姿はぁ、とても好評でしたよぉ」

「ウォンウォン<男共に色目使ってたぞ>」

「・・・・・・どういうこと?」


 リセッテはいいとして、なんてこと言ってんだクーちゃん(お前ーっ)!?


 あ、ほらみろ! 笑顔のシオンの目が笑ってないんだぞ!?


「ミナト、浮気?」

「いや浮気とかじゃなくて、普通に接客してただけだから! ね、リセッテ!!」


 中身が男のオレが男相手に浮気とか嫌すぎるって! いやそもそも浮気うんぬんじゃないし助けてリセッテ!!


 そう思って助けを求めて視線を投げたリセッテは、なぜか即答してくれずに顎に人差し指を当てて「うーん」と考えるように頭を傾ける。え、なんで!?


 あ、まって、こっちに向けたその微笑はなんか嫌な予感がするよ?


「えーっとぉ、確か男性客の手を握って誘ってましたっけぇ」

「はああああっ!? ちょ、それ言い方っ!」


 それってお釣り渡すついでに手を添えてたことだよね!?  しかも誘うのも男性客自身じゃなくて、おまけで他の商品もいかがですかってやってたやつ!!


「あー、ミナトさんに手を握られて鼻の下を伸ばす男達の顔が思い浮かびますね」


 ミレニアもそんな同意はいらな―――あだだだだっ! 待って待ってシオン! オレの太ももが鈎爪のごとくがっちりホールドされたシオンの握力によって握りつぶされそうになってるからー!!


「お、おち、落ち着いてシオン・・・・・・そういうんじゃなくて・・・・・・それに、て、手を握るなら、男よりシオンの方がいい、から・・・・・・」

「・・・・・・本当?」


 太ももをがっちりホールドされて悶えるに悶えれないまま、なんとか絞り出した答えをお気に召したようでシオンの声が和らぎ手の力が緩んでいく。


 しかしここで弁明の手を緩めてはいけない。怒らせた彼女を鎮めるポイントは謝って褒めて撫でることだ、浮上した二股疑惑が誤解だったものの両頬を真っ赤な紅葉に染めた従兄が言っていた!


「本当だよ。シオンの小さくて可愛い手を握ってた方がオレも嬉しいから・・・・・・ね? 信じてくれる?」

「・・・・・・うん、わかった。疑ってごめんね、ミナト」


 オレの太ももを握りつぶさんばかりのシオンの手をそっと取り上げて両手で包み込み、じっと見つめながら必死に出した答えはどうやら受け入れてもらえたようだ。


 さっきまでの般若の気配は収まり、今では懐いた猫のようにオレの肩に頭を摺り寄せているシオン。


 よかった、許された・・・・・・。


「なんでしょう、目の前でカップルの惚気を見せつけられてるみたいでちょっとイラっとする気がするのは・・・・・・」

「まあまあ、お二人はいつものことですからぁ」

「ウォフ<バカップルめ>」


 ・・・・・・向かいの二人と一匹がなんか囁き合ってるのが気になるけど、シオンのご機嫌を損ねるのは得策じゃないので黙っておくことにする。


「・・・・・・シオンとミレニアはどうだったんだ? 怪我とかしてない?」

「ウォウォン<露骨な話の反らし方で草>」


 いやかましいわ! こっちだって頭どころか身体まで摺り寄せて来たシオンに緊張して、いっぱいいっぱいなんだよ!!


「ふふ、こっちはシオンさんのおかげで、皆で豪華な夕食を食べられるくらいには稼がせてもらいましたよ? ね、シオンさん」

「ん、とっても有意義な時間、だった」


 ミレニアの答えにオレから身体を離して席に座り直したシオンが頷く。ちなみに離れる間際にオレの首筋で深呼吸していったのは一体なんだったんだろうか・・・・・・。


 それはともかく、テーブルの上に乗っていた木の深皿に大銀貨の小山をみればなんとなく相手の冒険者(哀れな羊)達の想像がつくよ。


 稼ぎすぎてそのうちギルドから出禁なんてことにならないかちょっと心配だけども。


 そんな事を思っていると、酒場のおばちゃんがやってきて飲み物と……なんか頼んだ以上のおつまみ、炒った豆や細切りの燻製肉が大盛に盛られた木皿をドンとテーブルに置いてくれた。


「はいよ、お待ちどうさん。これミナトちゃんが冷やしたエールで儲かった分のサービスだよ。よかったらまたお願いね」

「いえいえ、あんなんでよかったらいつでもやりますよ」


 まあ魔力を使うとはいえ元手はタダだしね? それにこうして何かの機会にこうして親切にしてもらえるのはありがたいし。


「そうかい?ありがとね。じゃあそん時はまたサービスするよ」


 ウインク一つしておばちゃんが颯爽と去っていくと、各々で食べたいおつまみに手を伸ばしていく。


 そうしておつまみを摘みながら今後の予定や雑談していた時だった。


 いきなりギルドのドアが蹴破られたような勢いで開き、なにごとかとそっちに顔を向ければ、倒れこむような姿で入って来たのはボブカットの青い髪を振り乱した軽装の皮鎧の女性で、


「お願い、誰か手を貸して! うちのパーティーがマーシュリザードの群れに襲われて、森で立ち往生してるんだ!!」


 スヴェトラーナさんのパーティーの斥候を務めるミッチェさんだった。




子供のパワーってすごいですよねぇ。

一時間遊んだ後に『ちょっと休憩しようか』なんて15分くらいを考えていたら、『ちょっと休んだ! 遊ぼう!!』まさかの三分後に元気溌剌で手を引っ張られた思い出⊂⌒~⊃。Д。)⊃



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― 新着の感想 ―
ミナトちゃんはおしまい? 最近一次の方を読み始めた
本編メンバーと会うにしても、位置関係が悪すぎるのでは(笑) 東印のバックパックがギルドから売り出されるのは、本編の時間経過からすると異世界転移から約60日後くらいだし、盗賊落ちしたクラスメイトに会う可…
クーちゃんは基本的に自業自得で身から出た錆ですね、 ミナトの扱いがひどい気もするけど、気がするだけで良いかな…。 いつかナオ達と邂逅する時が有ったら良いなぁ 後、更新のたびにエタって無くて良かった、…
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